シンポジウム

大会準備委員長企画

8日(土) 15:00~17:00 

公開シンポジウム

 「子どもの育ちの援助者を支える:保育・療育者支援の観点と方法」

企画:小林智(新潟青陵大学)・本間恵美子(新潟青陵大学)

司会:佐藤亨(新潟青陵大学)

第一部:保育者支援総論

話題提供:平野幹雄(東北学院大学)・柴田理瑛(東北福祉大学)

第二部:特別な配慮を必要とするこどもの保育・療育における支援者支援

話題提供:齊藤勇紀(新潟青陵大学)・高梨琢哉(発達支援ユニコーン)

第三部:指定討論・パネルディスカッション・質疑応答


概要 こどもに関する施策を総合的に推進することを目的としたこども基本法が2023年4月1日から施行された。この法律に掲げられる施策の立案・実行の司令塔となる機関としてこども家庭庁が新設されたことも話題となった。こども家庭審議会において「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針(仮称)」の制定に向けた取り組みが報告されるなど、乳幼児期はこどもの生涯にわたる幸福(well-being)の基礎を培う時期と位置づけ重視されている。さらにこうしたこどもの幸福の基礎を培うために、保護者・養育者の「こ育て」を支えるだけではなく 「こどもの育ち」の質に社会が目を向け、乳幼児期の育ちをひとしく保障していく社会への転換が必要であると訴えられている。本シンポジウムでは、こどもの育ちを支える社会資源としての保育者や療育者がその機能を十分に発揮するための支援(保育・療育における支援者支援)について、心理学の立場から考究したい。

1.保育における支援者支援の意義と展開  平野幹雄 (東北学院大学)

 筆者らは、2011年度に発生した東日本大震災後の沿岸被災地における保育士や保健師、放課後児童クラブ指導員を対象に巡回相談をおこなってきた。気になるこどもの発達アセスメントを通じて支援者支援をおこなってきたが、同時に、そうした支援者自身の心理的サポートもおこなってきた。今回は、コロナ禍における支援者のニーズ調査を含めてこれまでの経過を報告し、支援者支援のあり方について議論したいと考える。

2.保育者のフラストレーションへの対処  柴田理瑛(東北福祉大学)

 保育士の業務内容は多岐にわたり、慢性的な人手不足の状態にある。このことは、高いストレスやフラストレーションを抱える保育士の存在を示唆する。本発表では、保育士のメンタルヘルスの維持増進と保育力向上を目的に、セルフ・コンパッション(Neff, 2003)の概念を取り入れた保育研修の実践について報告する。

3.特別な配慮を要するこどものための個別の指導計画の立案と運用  齊藤勇紀(新潟青陵大学)

 保育においては、こどもの姿を「できる/できない」の2項対立視点で捉えるのではなく、集団・包括的な視点、個別・具体的な視点へと段階的に捉えていくことが望まれる。また障害のあるこどもの育ちを支えるには、遊びを中心とした日々の生活を充実させる視点が重要である。本話題提供では、障害のあるこどもの多様な発達の姿を捉えるための記録と評価を活用した個別の指導計画の立案方法を紹介する。

4.通所支援事業所での多職種連携における心理職の役割  高梨琢哉(発達支援ユニコーン)

 施設運営におけるケアとセラピーの共存の模索、ケースカンファレンスでの「まとめないまとめかた」などについて日々の取り組みを紹介する。多領域における多様な文化を抱えながら、それを扱うに耐えうる器としての施設の機能を考える。


9日(日) 13:00~15:00

シンポジウム

 「公認心理師・臨床心理士:養成の現状と将来像」

企画:大会準備委員会

報告者: 小林大介(新潟青陵大学)

     中嶋豊(新潟大学)・新潟大学現代社会文化研究科(臨床心理)大学院生有志

コメンテーター: 田中恒彦(新潟大学)


概要 公認心理師法が2017年に施行されてまもなく6年となります。その間、現職の心理職のほか、若い大学院生が国家試験を受け、資格を取得してきました。

 しかしながら、公認心理師養成に携わっている大学関係者にとって、その現状について自身の指導学生の状況のほかはよくわからないという状況も生じています。

 そこで、本シンポジウムでは、新潟県内の2つの大学からそれぞれの現状を報告していただき、フロアの方々も交えて今後の人材養成をどのようにしていくべきか、将来の見通しを共有できればと思います。

 また、公認心理師に先んじて社会的に認知されてきた臨床心理士は、多くの大学で公認心理師と並行して養成が進められています。並存に伴って生じる難しさなどあればこれらも共有できればと思います。