薬物依存症者への悪意に満ちた表現に『No』を言う会
2018年11月7日(水)放送のテレビ朝日系ドラマ『相棒 Season17』、第4話に登場した薬物依存症者の表現について
ドラマでは、 ゾンビのような描写で重度の薬物依存症者の女性が刑事の一人を撲殺するシーンがあった。
43歳の主婦という設定ですが、取り調べ場面では「シャブ山シャブ子です! 17歳です!」と何かにとりつかれたように話す。
その後、刑事たちの会話で責任能力が問えないという。
株式会社テレビ朝日 御中
薬物依存症者への悪意に満ちた表現に『No』を言う会
私たちは、2018年11月7日に放映された「相棒season17」第4話における薬物依存症者の誤った描写に対し抗議します。
上記番組内においては、次のような描写が展開されています。
・覚せい剤を使用していると「殺人などの凶悪事件を起こす」と受け取られる表現
・白目をむいたゾンビのような犯人の女性に自ら「シャブ山シャブ子」と名乗らせる場面
このような描写は、薬物依存症者とその家族の人権を著しく侵害し、深く傷つけるものであり、とりわけ女性の薬物依存症者に対するヘイトスピーチにすらなっています。
薬物依存症は、今なおさまざまな偏見や誤解が根強い病気です。そのため、必要な治療やリハビリテーションにつながりにくい現状があります。
高視聴率を保持している人気ドラマ「相棒」のなかで、こうした描写がされることは、「覚せい剤依存症=凶悪な犯罪者」という偏見を助長するのみならず、薬物依存症者への差別を強めるものと言わざるをえません。
国連は、「今、世界で起きている薬物の問題を解決するためにわたしたちがすべきことは、法的措置によるアプローチから、薬物使用者の人権を最優先にしたアプローチへの転換である」とする主旨のキャンペーンをまさに展開中であり、WHO(世界保健機関)と共に薬物問題を犯罪としてではなく健康問題として扱うことを世界各国に求めています。今回、そのような世界的な潮流に逆行するような表現が貴社の番組内で見られたことを非常に残念に思うものです。
私たちの抗議声明をぜひとも真摯に受け止めていただき、社会的影響力の大きさを自覚された上で薬物依存症に関する正しい認識に立ち、下記の要請に応えていただくことで社会的責任を果たされますよう切望します。
①同番組における薬物依存症者の描写が不適切であり、薬物依存症者への人権侵害であることを認め、同番組内および貴社ホームページ等において明確に謝罪すること
②薬物依存症が回復可能な病気であることを含め、病気としての正しい理解と認識を啓発する報道を今後実施・継続していくこと
以上
テレ朝職員との面談
12月20日(木)にテレ朝ディレクターさんたちと面談を行えました。
抗議参加者は、松本先生、今成さん、上岡さん、田中さん、私加藤が参加しました。
テレ朝からは、ドラマ制作部エグゼクティブディレクター、ドラマ制作部担当者、法務部弁護士が参加されました。
抗議署名 1,378名分をテレ朝にお渡ししました。
こちらからは、それぞれの立場からこの件についての意見や今後についてお願いする形で伝え、終始弁護士が応答するという感じでした。
また、あのような描写になったドラマの制作のプロセスがドラマ制作部担当者から説明されました。
抗議内容として、番組内で謝罪。社内教育の機会を作る。薬物問題を解決可能な問題として伝える。回復ストーリのあるドラマ作り。などを伝え提案として出しました。
即答はできないので今回の件を持ち帰り、何が出来るか、今後について社内で検討するとの事でした。
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発起人
友杉 明日香(認定特定非営利活動法人京都DARC)
福岡 ともみ(ウィメンズカウンセリング京都)
加藤 武士(NPO法人アパリ 木津川ダルク)
今成 知美(特定非営利活動法人アスク代表 )
松本 俊彦(国立精神・神経医療研究センター)
倉田 めば(FREEDOM)
石塚 伸一(龍谷大学法学部教授)
横川 江美子(全国薬物依存症者家族会連合会 理事長)
事務局
619-0214
京都府木津川市木津内田山117
木津川ダルク 気付
TEL&FAX 0774-51-6597
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担当:加藤