大会委員長挨拶

第 44回京都学校教育相談研究大会委員長

 京都市立岡崎中学校校長

 大曽根 好宏

 第 44 回京都学校教育相談研究大会の開催にあたり、一言ご挨拶申し上げます。 

 本研究大会は、昭和 53 年の第 1 回大会より子どもの健やかな育ちに向けた学校教育相談の研究場として、 多くのご支援をいただきながら開催を重ね、今年 44 回目を迎えます。 

 現在の社会は経済やビジネス、個人のキャリアに至るまで、ありとあらゆるものが複雑さを増し、将来の予測が困難な状態にあります。さまざまな国の政治の先行きが不透明であり、今までやってきたことやスタンダードだと思われてきたことが、ここにきて崩れていっているような気さえします。 

 さらに、新型コロナウイルスの流行や、地球温暖化に伴う気候変動や異常気象、台風や地震といった災害、終わりの見えないロシアとウクライナの戦争など予期せぬ事象が次々と起こり漠然とした不安を抱えながら毎日を過ごしている子どもも多く存在するのではないでしょうか。 

 そんな中で、本来は最も安心して過ごせるはずの場所である家庭内でも保護者からの過干渉、過保護、否定、罵倒、暴力などで辛い思いをしている子どもたちの存在を教育に携わる私たちが目の当たりにする場面が年々増加しています。 

 このような中、「子どもの心に寄り添い、人とのつながりの中で子どもの成長を支えていきたい」という学校教育相談の場に携わる私たちの思いを込めて、今回の大会テーマを『子どもの「行動」に込められたメッセージ』といたしました。 

 全体会では、奈良市の佐保川診療所で地域医療・カウンセリングに従事しておられる医師・臨床心理士である田中茂樹先生に、「子どもを信じること」というテーマで多くの事例や心理学の概念を引用しながらお話しいただきます。子どもが家庭で楽しく過ごせること、子どもが自分を好きになること、生きることを好きになるために大切なそれ らのことを、親はどうサポートしてあげられるのかなど多くのヒントをいただけると思います。 

 尚、今年度の大会につきましても感染症対策を徹底するために、オンラインにて開催することにいたしました。多く の皆様にご参加いただき、実りある大会となりますよう、どうぞよろしくお願いいたします。