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ウーパ!

エッセイであった新白河原人12の焼き直し漫画版である。

実録的であった新白河原人にフィクションも混えてあるが、消費生活に倦んだ作者が福島の山を購入し、そこを開墾していく物語である。全10巻。

1巻 開墾と丸太小屋建築

2巻 サウナ小屋建築

3巻 炭焼き窯 ※以後レギュラーとなる釣りの名人カンノ氏との邂逅

4巻 東日本大震災と石窯作製

5巻 竹竿作製

6巻ワカサギ釣りとその釣具作製

7巻丸太小屋建築(妻・ミキ氏の小屋)

8巻 ツリーハウス建築とサケ釣り

9巻 炭焼きと犬ゾリ

10巻 カヌー作製

守村大の漫画は「あいしてる」の頃から大好きなのだが、どの漫画でも「カッコいい」かどうかが主人公の行動原理になっている処が一番好きなのだと思う。

4巻、原発事故で放射性物質が撒き散らされたため、山菜などは当然汚染されており、食うか食わざるか逡巡する作者。最後に言い放つ。

「ヒトだけが 自分たちが まいた汚物を きらって さわいで カッコワルイ!」

当時の原発騒ぎと2021年現在のコロナ騒ぎは相似していると思うのだが、どちらも目に見えないだけに質が悪い。目に見えないから恐ろしくもあるし、またその病原性もはっきりと予測がつかないからまた恐ろしい。騒いでも騒ぎすぎということはない、これもまた一旦の真実ではある。

ただ、原発をはじめとした現代の科学による利益を享受してはいたが、結果的にそこから抜け出すことになった作者の言葉には、シンプルながら重みがある。要するに、現代社会での生活は気持ちよくもなくカッコよくもなかったから山に入ったのが作者なのである。

ただ固定資産税を納めるだけのウチの山も、開墾できればいいのだが......

はい、わしの夢は60過ぎたら百姓と木こりになることです。