■大島の地蔵堂

大島の地蔵堂(新開発・赤井・小林)は、平成16年5月18日、大島町の指定文化財(建物)に指定されました。

この3棟の地蔵堂は明治30年(1897年)前後」にかけて、堂宮大工や彫刻、建具などの職人が技術の枠を競い合うように造ったとされ、緩やかに反った美しい軒や豪華な屋根、精巧緻密に施された彫刻などがあり、小規模ながら雄大さを感じさせ、後世の改造も少なく、文化的価値が高い建造物でした。そこで、当時の大島町教育委員会は、平成16年5月18日に、新開発・赤井・小林の地蔵堂3棟を「大島町の地蔵堂」として町指定有形文化財(建物)に指定しました。

地蔵堂の指定文化財は全国的に例がないとされ新聞紙上でも取り上げられました。

大島町では、地蔵堂の傷みが激しいので、平成17年5月から3棟の修復保存工事を実施しました。

修復保存工事のための解体調査の結果

赤井の地蔵堂は小屋裏棟木に「棟梁 五十嵐善次、彫刻師 大島五作」「明治33年(1900年)6月竣工」の墨書きが発見

小林の地蔵堂は「明治29年(1896年6月上旬)

新開発は建立年代。作者名の特定は不明

意匠や構造様式から、同じ職人一派が関与したものと推測されました。

3棟の屋根は改修前は瓦葺でしたが、新開発の地蔵堂から発見された「大正13年(1924年)屋根葺替」の墨書きから、それ以降瓦葺であったことが判明しました。

調査結果をもとに、建立当初の柿葺に復元、修復が完了しました。

(柿葺:柿板と呼ばれる「さわら」や「栗」などの薄い割り板(3~6mm)を竹釘によって打ちつけて葺いた屋根)

新開発の地蔵堂

赤井の地蔵堂

小林の地蔵堂

平成17年10月31日 大島町教育委員会発行「大島町の地蔵堂」より