筋診断法

当院では筋診断法で治療をおこなっています。鍼灸の治療では「つぼ」(経穴といいます)に施術します。つぼに鍼をしたり灸をしたりします。しかしつぼは全身で約360以上ありますので、全部を使用するわけにはいきません。その施術するつぼを選ぶ方法には1)脈診 2)腹診 3)問診 4)舌診 など色々な方法があります。筋診断法では 2)の腹診と筋肉の触診をもとに施術するつぼを決めていきます。(詳しくは筋診断協会のホームページなどをご覧ください。)

筋診断法による治療では鍼灸院で一般的にみられる筋骨格系の治療(腰痛、肩こり、膝痛など)以外にも様々な症例があります。そのような症例をご紹介したいと思います。

筋診断協会の会報に掲載しました症例を転載いたします。(2014年1月号 Vol28 特集脾経(2) 2014年1月16日

1、脾経の症例報告 山口 武

1、頚椎症 52歳女性 保育士

2011年ピロリ菌の除菌療法が一回では効果なく2回目の抗生物質服用で胃痛発生、同時に左頸部~左手にかけて激痛としびれ発生。右脾虚ー左肺虚を中心に治療3回ほどで頸部の激痛と胃痛治まり3か月10回の治療でまったく痛みしびれなし。2013年末現在再発なし。

2、交通事故後遺症 52歳女性 エレクトーン教師

1年前後部より追突され乗っていた車が一回転して大破、気を失った状態で病院に運ばれる。幸い数か所の骨折で命に別状はなかった。しかし頸部のひどい痛みが残った。1の患者の友人で同じ頸部の痛みが治ったと聞いて来院。この患者も右脾虚ー左肺虚で痛み軽減、1年続いた痛みが1ケ月5回程度で激減、三カ月10回程度で痛みなし。2013年現在頸部の痛みは再発していない。

3、腰椎分離症後遺症 14歳女性 新体操部

1年前腰椎分離症でその箇所が痛い。左脾虚右大腸虚を取穴し動きのない腰椎周辺に鍼治療、その後痛みは発生していない。

4、軽度の股関節痛 14歳女性 新体操部

右股関節の痛み~左脾虚胃虚で改善。次回来院時に顔色が非常によくなる。時々色々な痛みで治療をするが脾経を中心とした治療で改善。時々おきていた頭痛もなくなる。

5、急性腰痛後遺症 52歳男性 会社員

9月24日来院。9月5日発症椎間板ヘルニアと診断受ける。右臀部から下腿にかけしびれ。そって歩くと楽で前屈不可。肝経も腎経も効果なく左脾経を取穴すると急に楽になる。最終的に左脾虚右肺虚を取穴。杖をついて家人に支えられて来院したが帰りは杖がなくて帰れると言う。26日2回目だいぶ楽になっているとのことだがやや足を引きづっているので左脾虚左大腸実に変更すると足を引きづらなくなった。28日3回目痛みなく左脾虚右大腸で終了

6、下腿のしびれ 60歳女性

2~3年前から右下腿(ふくらはぎ)が痺れる。通院するが原因不明とのこと。触診するとヒラメ筋がっ緊張している。右脾虚胃虚取穴しびれ軽減。1ヶ月5回の治療で痺れなくなる。

7,頚椎症 63歳男性 測量士

10月1日来院先週より左頸部~左肩~左手の痛み、痺れ。左の小胸筋部も痛いと訴える。河野先生によると小胸筋部に痛みがでる場合は難治の場合が多いそうである。右脾虚左肺虚を中心に取穴。当初夜寝られない程の痛みで最初の2~3回は痛みがかなり残ったが5回程度の施術で痛み痺れが激減した。12月10日現在治療継続中であるがほとんど痛みはない。

8,めまい 56歳男性 会社員

定期的に通っている方で通常首こり肩こりを訴えるがめまいはなかった。これまでは左肝経胆経の取穴が多い。8月17日急にめまい発生 頸部右回旋で発生。右肩こりも訴えるので試しにいつもの左肝胆を取穴するが効果なし。頸部のこり、右肩のこりを指標にして診断。左脾虚右大腸を取穴。かなりめまいが減少するが残るというので左右を確認。最終的に右脾虚左大腸虚で肩こり、めまいほぼ無くなる。12月現在奥様によると1回の施術でめまいは治まったとのこと。

9,頭痛 30歳 女性

15年以上前から頭痛が毎日ある。生理痛がひどい。特に初日、薬を飲まないといられない。貧血、肩甲間部がこる。9月13日来院右脾虚胃虚取穴。9月20日2回目 頭痛減少した。今日は天候が悪いせいかこめかみから前頭部が重いと訴える。右脾虚左大腸で軽減するも帰宅途中でひどい頭痛になる。連絡を受け左脾虚胃虚で頭痛おさまる。10月4日4回目生理、生理中はいつも左鼠径部から左足が重い。右肝胆取穴。10月12日生理中は薬のまなくても過ごせた。右脾虚胃虚

10月20日電話があり頭痛が気にならなくなってきたとのこと。

10,肘痛 手首のガングリオン 57歳女性 主婦

5月14日急性腰痛、18日来院右腎膀胱取穴。5月22日2回目来院 腰は楽になったが起床時にかたまるし、中腰がまだ痛いと訴える。他にここ何年も右肘が伸びず伸ばすと痛みがでてママさんバレーを休んでいるという。右上腕三頭筋を触診すると緊張あり。右脾虚胃虚で肘が急に伸びて痛みがない。中腰も楽とのこと。3回5月28日 右脾虚胃虚取穴。 6月7日 4回目来院 朝の痛みや固まることはなくなった。中腰も問題ない。8月29日11回目来院 肘は全く痛くない。ママさんバレー再開。また手首にできていたガングリオンが知らない内になくなっていたとのこと。(主訴が腰痛だったため肘や手首には鍼はしていません)

11,頭痛 19歳男性 専門学校生

中学時代から2時間ぐらい本を読んでいると頭が痛くなるとのこと。肩こりから頭痛になるが運動しても頭痛はでない。左胸鎖乳突筋に緊張あり。7月3日来院 左脾虚胃虚 8月9日まで5回来院。すべて左脾虚胃虚取穴。途中で中間テストがあり長時間本を読んでいたが一度も頭痛は出ていないとのこと。

12,頭痛 29歳 男性 会社員

7~8年前から頭痛が毎日発生し憂鬱になる。目が痛くなってくると3~4時間して頭痛頭の芯が痛いとのこと。肩こりあり右>左。7月4日来院 目の奥が痛いということで腎や肝の異常を疑うが最終的に左脾虚胃虚を取穴 10月8日9回目来院まで全て左脾虚胃虚を取穴し途中頭痛の発生はなかったとのこと。(当院では慢性痛=一ヶ月以上続く痛みには3ヶ月10~15回程度の通院をお願いしています。)

13,退職後の不安感 65歳男性 無職

7月18日来院 去年11月に退職。やることがなく朝起きるのがつらい。起床時に不安感がある。目がしょぼしょぼする。足の裏が熱く感じる。病院でMRIをとるも異常なしとのこと。友人にすすめられて来院。左肝胆取穴。

20日2回目来院 起床時に不安感なくなった。3回目7月25日から胃のむかむか発生。左脾虚胃虚取穴 目の異常や起床時の不安感 、足底の異常はなくる。9月25日までの間に7回来院3回目以降は左脾虚胃虚。シールを貼らなくても不安感や目の異常などおきなくなったので治療終了する。

14,原因不明の背部痛54歳 男性 衣料品店経営

9月6日発症 夜半突然の背部の痛みで救急車で搬送されるが、原因不明。9月24日現在も痛みが酷く良く寝れない。一度寝ると寝返りできない。少しでも動くと息が出来ないくらい痛いと訴える。

他に左右の足の親指から薬指にかけてしびれている。痛みの中心は右脾兪穴付近。治療は腎、肝ともに思わしくなく左脾虚胃虚でやや尻が持ち上がる。9月26日2回目来院 前回の治療で寝れるようになったとのことだがまだ動作時に痛みが強い。診断すると右脾虚胃虚となる。9月28日3回目右脾左肺虚 段々楽になってくる 10月3日4回目 右脾虚左大腸虚で呼吸しても寝返りしても痛みがなくなる。 10月17日 背部の痛みや呼吸時の痛み、足指のしびれなくなったので治療を終了する。右脾虚胃虚

15、左膝痛 13歳 女性

9月28日来院、剣道部所属1年前より踏み出す足の左膝が痛く部活を休んでいる。レントゲンでは異常なしとのこと。

歩行や軽い踏み込みで痛みがある。右脾虚胃虚で歩行や踏み込みの痛みなし。

10月9日2回目来院 痛みはなかったが運動会で走ったら痛みがまた出てきた。同じく右脾虚胃虚を取穴。痛みはなくなる。忙しくなかなか来院できないので左足首に黄色紐を巻くように指示。

小中高生の異常は脾経が本当に多い。

平成21年3月3日 急性腰痛(ぎっくり腰)になったら

例年4月ぐらいから多くなる急性腰痛ですが今年は天候のせいかどうかお正月明けからちらほら来院されるようになりました。

先日急性腰痛で来院された方は一週間痛みに苦しみ杖をついて来院されました。治療後は杖なしで帰られましたが、それまでの一週間を聞いてみたら、発症したときに入浴し体をあっためたそうです。すると翌朝おきられなくなったとの事。それでもあっためれば治るかと思いずっと毎日あっためたそうです。通常急性腰痛は2~3日で軽快するものが多いのですがあっためると長引く場合が多いです。急性腰痛は腰部の捻挫と考えればわかると思いますが冷やして安静にするほうが早く楽になります。

急性腰痛になったら冷やし(氷や冷シップ)て入浴はさけるようにしましょう。

平成21年2月14日 肌身につけるもの

筋診断法では治療点であるつぼに色片というものを貼り付けて治療をおこなっています。このつぼへの施術は筋診断法では 鍼(はり)に始まり磁石、色片と変遷をとげてきました。より微弱な刺激で治療をするようになっています。

そういう治療をつづけていますと体に身につけるものが気になることがあります。私自身、腕時計も指輪も、ネックレスもなどもまったくつけておりません。何か気になるのです。

これまで来院された患者さんの中にはいろいろなものを身につけてこられました。ネックレス、数珠(木や水晶)、ミサンガ、片方のイヤリングなどなどです。

師匠の教えで、治療時には寝るときにはずしているものははずしてくださいとお願いしております。そして治療後に十分に柔らかくなった体がそれらを身に着けるとどのように変化するかで患者さんにとっていいものであるかどうか判断してきました。(ご病気の方は敏感になっているかたがいらっしゃいますので)

今回、上記のようにはずすものははずし治療し、腰痛が無くなったことを確認した患者さんが帰りの身支度をされ腰を動かされていたらまだ痛いとおっしゃいます。その方はめがねはしてらっしゃらないので唯一あらたに身に着けたものは腕時計だけでした。そこで腕時計をはずして動作をしていただくと今度は痛みがないとおっしゃいます。つけると痛みはずすと痛くないのを何度か確認してしばらくはずしていただくようにお願いいたしました。腕時計はチタン製でした。筋診断協会の同僚の山本先生にうかがったところやはりチタン製の腕時計で痛みがでたれいがあるそうです。(通常は大丈夫だと思います。経絡の乱れがあるときには影響がでるようです。)

また、次の日常時肌着の腹部にホッカイロをつけているという患者さんがこられて治療しておりましたらなにか十分に腹部がゆるまないのでホッカイロをはずしていただくと腹部がつぼの施術に反応してゆるんできたことがありました。ホッカイロの中は鉄粉だからでしょうか体になにかしらの影響をあたえたのかもしれません。

ミサンガなどは古い昔なにか治療に使用されていたのかもしれませんね。

皆さんも肌身につけるものは十分きをつけてください。

(当院で治療中はそうしたものをはずすようにお願いしております。=磁石の腹巻や数珠、ミサンガなどなど)

寝相と筋診断法~寒いのに万歳~

○平成20年12月17日

ある患者さんが「急に万歳して寝るようになったんですが、どうしたんでしょう?」と質問されました。筋診断いたしました結果「肝虚」と判断しました。筋診断法では肝経の診断筋に菱形筋という肩甲骨の内側の筋肉があります。この筋肉が硬くなっていました。万歳するというのは実はこの筋肉をストレッチしている姿勢だということを師匠からうかがったことがあります。

寝相は無意識の筋肉ストレッチの場合があります。急にうつぶせ寝になった。胡坐をかく姿で寝る。など変わった寝姿があります。これも何かの意味があります。皆さんも急に寝相が変わったらどこの筋肉をストレッチしているか考えて、昼間も同じようにストレッチすると体調がよくなると思います。

筋診断法創始者の河野忠男先生はこうしたことをふまえて筋診断体操を考案されました。

受験と筋診断法 ~腎虚~

○平成20年12月

受験のシーズンに入ってまいりました。受験生の方も今一生懸命がんばっていることでしょう。

精一杯がんばって本番で十分力を発揮していただきたいと思います。

しかし、まれに試験本番直前に急にもえつきたようになり、なにも手につかなくなりボーとしてしまったりして本番の試験で力を発揮できない方もまま見られます。

このような状態に受験生は陥ることがあります。

筋診断法ではこの状態を「腎虚」と表現しがんばりすぎて非常に疲れ精も根も尽き果てた状態と見ています。また季節的にも冬は腎虚になりやすい時期です。

通常若い方は筋診断を行いますと脾虚とよばれる状態が多いのですが、腎虚になると急に親に文句を言わなくなったりボーとしていたり試験直前としては考えられない様子をみせます。(腰痛などを併発する場合もあります)

もし、このような状態に子供がなったらそれは腎虚の可能性があります。筋診断法では腎虚の治療をしてこの状態を解消するようにしています。

(高校受験や大学受験だけでなく司法試験の受験生にもこの腎虚がみられた例があります)