「野党共闘」の研究④

「市民連合」からの正式回答

1 これまでのおさらい


 2024年4月24日に市民連合より同団体の政治資金について回答がありました。その回答を見ていきたいと思いますがその前に私が行った2回の問い合わせ内容をまず確認しておきましょう。

 

1回目の問い合わせ(2024年4月1日:2020-2022年の政治資金収支報告書をもとに)

政治資金パーティーの実態政治資金パーティー「市民連合政治講演会」の実態について、登壇者や形式を質問(Webサイト等では非公開の上、コロナ禍でも収益規模が変更なかったため)

政治資金パーティーの日程→政治資金報告書のパーティーについて日程を確認

2021年の街頭宣伝グッズの購入と活動との関係→2021年(令和3年)にパンフレットやガイドブック、ビラ、桃太郎旗を販売しているが一般に街頭宣伝で用いるものを販売していることについて活動との関係

 

2回目の問い合わせ(2024年4月13日:2016-2022年の政治資金収支報告書をもとに)

・政治資金報告書のパーティーについて日程を確認

社民党からの入金履歴→2017年の社民党からの入金について、市民連合の政治資金報告書での該当項目について問い合わせ(市民連合の政治資金報告書には、寄付及び収益事業において社民党からの入金履歴はないため)

政党に対する独立性の認識(政党からの資金の流れ)→特定政党からの資金の流れについて、野党間の調整を行う組織として政党に対する独立性をどう考えるのか(社民党の献金は確定的、日本共産党から迂回での献金が疑われる状況)

利益率の高い政治資金パーティに対する立憲江田氏の「違法性」指摘→市民連合は、特定団体がパーティー券を購入する利益率の高い政治資金パーティーを行っているが(22回の政治資金パーティの平均利益率は93.1%、利益率95%以上のものが8回)、立憲民主党の江田憲司議員は同様のパーティーについて(事実上の企業団体献金であるということで)違法性があるのではないかと国会で質問しているが市民連合としての見解は?

 

 また、2回目の回答をWebサイトに掲載したところ、2024年4月16日に私の名前を間違えた、私の素性を必要以上に探る、Webサイトに掲載したことを暗に非難する、そして、問い合わせへの一切の回答のないまま、電話番号を知らせろとする奇妙なメールが事務局名義で返ってきました。

 その後、知り合いの伝手をたどり、運営委員の法政大学の山口二郎先生、上智大学の中野晃一先生らに内容の確認をお願いしておりました。

「野党共闘」の研究①:「市民連合」への問い合わせ

「野党共闘」の研究②:「市民連合」からの回答

「野党共闘」の研究③:「市民連合」の政治資金について

2 市民連合の回答

 以下の回答は2024年4月24日の18時10分に私のメールアドレスに到着したものです。


蒲生諒太様、


お名前の漢字を間違えてしまい失礼しました。


政治資金収支報告書に記載している内容については、適宜関係者の助言を受けながら法令上問題がないことを確認の上、提出しています。また法令上公開すべき政治活動は、すべて公開しています。


ネット上での意見交換に必要と思われる送信者のバックグラウンドの確認、電話連絡の要請が“威嚇”と受け取られるとは、予想しませんでした。そのような意図はありません。


以上、事務局から回答させていただきます。


市民連合事務局

3 回答についての評価

 事務局の回答内容は、「政治資金収支報告書記載内容には法令上問題がない」、「法令上公開すべき政治活動は全て公開している」、「先のメールについては威嚇ではない」ということです。

 私が問い合わせた内容と比較しましょう。

 

・政治資金パーティーの実態→回答なし(法令上公開すべき内容ではないため?)

・政治資金パーティーの日程→回答なし(同)

・2021年の街頭宣伝グッズの購入と活動との関係→回答なし

・社民党からの入金履歴→回答なし

・政党に対する独立性の認識(政党からの資金の流れ)→回答なし

・利益率の高い政治資金パーティに対する立憲江田氏の「違法性」指摘→直接的回答はないが「報告書内容には法令上問題がない」ということで適法性を示唆

 

 興味深い内容として、市民連合は「政治資金収支報告書に記載している内容」の適法性を指摘している点です。この認識だと江田議員が違法性を指摘する、そして市民連合も行っている「特定団体がパーティー券を購入する利益率の高い政治資金パーティー」について、江田議員が単に自民党を批判したいがために難癖つけていると言っているようにも思えます(同様の指摘あるいは違法性までは言及していない他の野党、大手メディアについても同様の認識を示唆)。

 岸田文雄総理は2023年11月28日の参院予算委員会で日本共産党の田村智子議員に利益率が約9割の政治資金パーティを批判された際、「政治資金規正法における議員立法を通じての改正等において、これは定められているものがありません」と答弁し、適法性を示唆しています。この点、市民連合と岸田総理の認識に通じる部分があります。

 回答されなかった問い合わせについて改めて明記しておきます。

・政治資金パーティーの実態

・政治資金パーティーの日程

・2021年の街頭宣伝グッズの購入と活動との関係

・社民党からの入金履歴

・政党に対する独立性の認識(政党からの資金の流れ)

 

 なぜ回答できないのでしょうか。意図は不明です。


*この後、市民連合の政治資金について週刊誌と連携し調査取材を行いました(こちらをクリック)

公開日:2024年4月30