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謎の「東京理科大学オンライン授業アンケート」を追え!

A-n-I/23

1 はじめに

これまで「大学生対面授業再開プロジェクト」について見てきました(A-n-I/21-22)。

実は、このような「対面授業再開運動」学生団体はコロナ禍において幾つか存在しました。「大学生対面授業再開プロジェクト」はアンケートやTwitterデモにより、自分たちの考えを世間に訴えてきました。A-n-I/22では提出された陳情書について批判的な見解を述べてしまいましたが、アンケート実施においては誠実であろうと学生たちがしていた痕跡があります。例えば、創設者の女子学生はバイアスがかからないように様々な学生に声をかけて、偏りが生まれないような自分なりの努力はしていました。

一方でそれなりの成果を挙げたにも関わらず、かなり杜撰な調査で「学生の声」を代弁し、政治に影響を与えようとしていた団体も存在しています。それが東京理科大学オンライン授業アンケート​​です。

この団体は東京理科大学という私立大学に限定された活動であるもののそこで集められたアンケートは当時の萩生田文部科学大臣に届けら、さらに返答があったのです(と自称している

私たちはこの団体について調査し、関係者にコンタクトを取ることができました。しかし、関係者たちは沈黙を貫いています。そのため、この団体に関して多くのことは語れないのですが他方でかなり不可解な点があり、「コロナ禍の大学」をめぐる事象として報告せざるを得ないと判断しました。

2 東京理科大学オンライン授業アンケートの実態

(1)アンケートで文科大臣にアプローチ

同団体に関して簡単にその概要を説明したいと思います。この団体は主にTwitter上で活動をしていました。団体の活動期間をTwitterの更新期間と考えるなら、活動期間は最初の投稿2020年8月3日[下左]から直近の投稿2021年3月22日[下右]です。この団体が行った主要な活動は次のようなものです。

最初の投稿がアンケートの案内文[下左]です。

違和感があるのは最初の投稿時点で46件集まっているということです。別の方法で最初アンケートを集めていたが回収数が伸びないのでSNSアカウントを作成して呼びかけたのかなという推測ができます。

さらに違和感があることですがこの団体は収集途中のアンケートを小分けで公開しています[下右]。

このような投稿が断続的に行われています。例えば、「理科大生は現在こんな悲劇的状況を強要されています。理科大生の皆さんからもっともっと沢山の回答が欲しいです」、「理科大の先生方、学生の悲鳴が聞こえてますか?」。

アンケートの切り抜き投稿について、オンライン授業へ好意的な内容がないか確認しました。ありませんでした。つまるところ、この団体は対面授業を行わない大学を批判するために、アンケート利用し、さらに同じ想いの学生を呼び寄せて(お決まりのハッシュタグ「#大学生の日常も大事だ」を使って)、「理科大生の皆さんからもっと最もたくさんの回答が欲しいです」と大学叩きの材料を補充していたというわけですす。当然集まるのは「反自粛/反大学」の意見ばかりです。

このアンケートに関しては、当時の萩生田文部科学大臣に届けられ返答が得られたと同団体のSNSで公表されています。以下、その内容です。

萩生田光一文部科学大臣からのご返信 2020.10.14■大臣のこれまでのご発言に沿った全般的なご見解(要旨)○大学での教育はオンライン授業だけで完結はせず学生同士や教職員との交流も重要。○新入生への対応含め学生が納得する対応や工夫が必要。○これまでも各大学に対面による授業の実施を求めてきた。○全国の好事例を調べ、各大学に活用を促している。○今回のご意見は私としても非常に重要な問題と考えている。 ■理科大とのやりとりについてのご報告(原文)「ご連絡いただいた実態については、早速、担当を通じて東京理科大学に確認いたしました。東京理科大学では、学生間のコミュニケーションを重視し、対面による実施を行っている授業もあるものの、学生の皆さんへの感染リスクも留意し、感染対策を十分に講じることができる一部の科目での実施にとどまっているようです。大学からは、現在の対面での授業実施は十分ではないのかもしれませんが、今後の感染状況も鑑みながら、できるだけ対面での授業実施を増やしていきたい、との回答をいただいています。また、学生間の交流のための機会についても、希望する御意見を踏まえて、まさに検討を進めているところだと伺っています。」「中には、どうしても十分な感染対策ができず、広く対面による授業を行うことは難しいという大学もあるかもしれません。しかし、そのような場合であっても、学生や保護者の皆さんに丁寧に説明し理解を得るなど、学生の皆さんが納得して学生生活を送ることができるような環境を最大限整えることが、大学の責務であると考えています。東京理科大学へも、担当を通じて、そのようにお伝えしました。」 萩生田光一文部科学大臣からのご返信 2020.11.16東京理科大学における授業の実態について、再度のご連絡をいただき、ありがとうございます。大学における入試準備の実態や、理数系科目におけるオンライン講義の意義などについては、学生の皆さんが実際に見聞きし、受講した上でのご意見であり、大変貴重な声として受け止めさせていただきました。文部科学省では、各大学等における後期授業の実施方針に関する調査の結果を9月に発表したところですが、対面授業の実施割合が低調であった大学等に対して、改めて、先月、授業の実施状況等を把握するための調査依頼を発出しました。今回の調査では、後期における実際の授業形態のみならず、授業形態について学生の皆さんが理解・納得をされているのかなどについてもお尋ねしております。また、各大学における取組の状況について正確に理解してもらうため、調査の結果については、大学の名前を含めて公表することを前提としています。先日のメールでも申し上げたとおり、コロナ禍の下にあっても、質の高い学修機会を確保することは、大学等の高等教育機関の使命です。私としても、大学における教育は、オンラインによる授業だけで全てが完結するものではなく、学生同士や、教職員との交流も重要な要素であると考えています。各大学がどのような授業形態をとるかを決めるに当たっては、授業の受け手となる学生の皆さんの満足度・納得度が何より大切であると思っています。各大学には、あくまでも学生の目線に立ち、学生の皆さんが納得しているかどうかに配慮していただいた授業運営をお願いしたいと思っています。今回いただいた大学の授業に関するご意見は、私としても、非常に重要な問題であると考えております。文部科学省としても、前述の調査の結果も踏まえながら、引き続き、各大学において学生の皆さんの納得と学修機会がしっかりと確保されるよう取り組んでまいります。

萩生田大臣が担当、つまり、文部科学省の担当者を通じて東京理科大に問い合わせを行なったといいます。内容は一般的なものですが萩生田大臣が散々、自分は大学生の声を聞いていると言っていたのと符合する点、重要でしょう。

(2)悪辣なアンケート

ところでこの団体が萩生田大臣に届けたというアンケートとはどういうものだったのでしょうか。

2023年1月現在もWebサイトが公開されており、その内容を確認することが可能です。このアンケートは社会科学の調査方法として極めて(悪い意味で)特殊なものとなっています。

コロナ禍の学生有志によるアンケートの多くはSNSを利用しており、どうしてもサンプルのバイアスが生じてしまいがちです。特にこのような「対面授業を要求する学生団体」はアンケートの拡散において、「#大学生の日常も大事だ」のようにオンライン反対派のあるいは反自粛派の学生を呼び寄せるハッシュタグを用いることが多く無意識的に自分達にとって有利なサンプリングを行ってしまうことがままありました。とはいえそれはあくまでも「バイアス」として理解すれば良いものであってアンケートの体裁の部分とはあまり関係ないものと言えるかもしれません。この東京理科大オンライン授業アンケートの調査は全く別の次元の問題を抱えています。


まずアンケートの回答数が59件と少ないという点です。SNSでの呼びかけ以前の段階で46件。SNSの影響が出たのは13件となっています。回答数は致し方ない。しかし、SNS以前、どこで集めたデータなのかは不明です。この時点でかなり怪しいです。

結果についてはGoogleフォームの結果画面がそのまま共有されています。PDFも確かに存在するのですが「大学におけるオンライン教育について」という設問の自由記述のみでアンケートというよりも大学に対するクレーム集のようになっています。このアンケート、集計ないしはデータ処理を一切行っていないものなのです。

これは、まあ学生が行なったなら仕方ない部分もあるだろうと思います。ただ、ここからちょっとおかしいと思い始めてしまうのですが、このアンケート59件回答中、10件実名表記なのです。アンケートにはこうあります。「氏名の入力は任意です。本名以外の回答はご遠慮ください」。

アンケート調査で結果報告を受けたいということで回答者が連絡先を書くことは確かにあります。しかし、個人情報の収集にあたる可能性がありますから、保管時には回答と紐づかないようにするとか気をつけないといけません。

個人情報の保護については次のようにあります

 このアンケートは東京理科大学の大学生を対象に実施するものです。なりすまし投稿を防ぐため学内メールアドレスをご記入頂いておりますが、不適切な投稿等に関するご連絡に用いる以外には使用せず、また外部への公表並びに第三者への提供は一切いたしません。

  メールアドレスも収集していたといいます。

 そして、重要なことなのですが同団体は「名前を公表する」とは一言も書いていないのです。「氏名を公表しますが記入は任意です」ではないのです。「氏名の入力は任意です」だけなのです。つまり、氏名を入力するけど、個人情報だから公開されないだろうと思っていた学生は大学批判とともに自分の名前が世界中に公開されることになるのです。これは倫理的に見てもかなり異常です。

この時点で、もはや普通のアンケートとは一味も二味も違うということが理解できると思います。


決定的なことはこの記名10人のうち1人がアンケートを行っている団体のメンバーなのです。

自らアンケートの中立性を放棄しているとしか考えられません。

そもそもこのアンケート自体、Twitterのアカウントで切り取って対面授業を行わない大学に対する攻撃材料として用いているだけですから、やっていることは常軌を逸しているのです。

 このような姿勢はこの団体の活動全体に共通するものです。この団体は他にはTwitterのアンケート機能を使って取ったアンケートを「東京理科大の学生の声」として拡散しています[下左]。

 「現在の大学生の世論を正確に理解することのできる」と言い切っています[上右]。

この団体は東京理科大の姿勢を徹底的に批判し、対面授業を要求しています。「反自粛/反大学」を標榜する団体のアカウントが行うアンケート、大学側に好意的な結果が出るはずがありません。コロナ禍の大学で学費に関して不満があったことは通常の感覚なら頷けるものです。しかし、その根拠にこのアンケートを持ってきて、かつ「現在の大学生の世論を正確に理解することのできる」というのは異常です。

その一方で大学側が行った全学アンケート「理科大によるオンライン教育アンケート」(同団体の表現)については「設問にオンライン講義継続への強いバイアスがかかっており、フェアではありません」と批判し、SNS上で多くの「いいね」を集めていました。

ちなみにどのような批判かと言えば、

1 感染症対策のための緊急措置として開始されたはずなのに今後も極めて長期間継続される前提で設問が作成されておりアンフェア。2 大学の果たすべき義務を果たしていない点は問わず、学生に責任がある様に書かれている。緊急事態宣言解除後も大学側の都合で同様な措置を強要され続けているのは学生側である。3 問われるべきは「オンライン教育の満足度」ではなく前年度ないし期待された サービスと比較した満足度であるべき。4 講義に関する設問が主であるが、本来は施設利用や友人関係、また現状引き起こされた精神的苦痛といった多面的な側面に配慮しなくてはならない。

  1つ1つ検討してみようと思ったのですが、肝心の設問が提示されていないので同団体の完全なる独壇場。検証可能性のかけらもありません。

このような社会科学、あるいは科学一般の手続き論を無視した極めて悪辣なアンケートを萩生田文科大臣に届け、それを文科大臣、文科省が真に受けていたなら、登場人物全員意味不明です。

 謎の大学院生と消えた「東京理科大オンライン授業アンケート」

(1)大学院生「A」

とはいえ学部生が主体になった団体では多くのことを求められないというのも現実です。対面授業をやってほしくて必死になって行なっていたとすればそれは仕方ない部分もあります。

この団体のメンバーは次のように公開されています。

 

A(理学研究科物理学専攻)/H(理学部2部 物理学科)/T(理学部2部 物理学科)

 

実際は実名が掲載されていますがここではイニシャル表記とします。

構成は1人の大学院生と2人の学部生によるものです。大学院生がいて、このような運営になるのはおかしいと考える方も多いと思います。まして理系の院生なら研究の手続き論的な間違いは犯さないだろうとも思われるでしょう。

そう考えるとこの団体の主体は2人の学部生で大学院生は何かしらの付き合いから助言程度で名義を貸しているのかと推測ができます。私も最初はそのように考えていました。この団体が作成したPDFファイルのプロパティを見るまで。

    アンケート結果のPDFファイル、作成したのは院生の「A」なのです(上「i2PDF」利用。他のアプリでも確認済み)。「おかしいな」と感じました。「いや、大学院生が学部生からもらったデータをPDF化しただけなのかな」とも考えられます。そんなバカなと思いながら、改めてこの団体のSNSの投稿をよく見ました。

すると2020年の12月、次のような投稿がありました。

違和感がありました。対面授業が行われていない大学、夜に学部生がいるのだろうかと。もちろん、一部だけ対面でそのとき大学に来た可能性もあります。しかし、夜の8時です。20時です。そんな時間まであの当時、大学に残れたのか。当然、職員は帰っています。

「まさか・・・」

ひとつだけありうるシナリオ。それは研究室で遅くまで実験やデータ分析をしている大学院生。理工系の研究室だったら感染防止対策をして、あの時期、活動を行っていてもおかしくはないだろう。そう考えるなら大学院生Aが写真撮って、この投稿をアップしていてもおかしくない。

 他の投稿でも研究室配属を経験していない2年生ではかけないものが見られました。例えば、以下のような投稿。

ここまでだったら「お前の妄想だろ」と切り捨てられるかもしれません。実はこの団体「大学生対面授業再開プロジェクト」とSNS上でコンタクトをとっていたのです。私は「大学生対面授業再開プロジェクト」関係者に取材をし、かつSNS上でのダイレクトメールのやり取りを見させてもらい、この団体の対外交渉をこの大学院生Aが行なっていたことを確認しました。

アンケートの杜撰さと比して理解できない点ですが、どうやらこの団体、大学院生Aが軸になって動いていた可能性が非常に高いのです。少なくとも学部生のH、Tが団体の活動をしていた痕跡は、Hがアンケートに実名で回答―それも「Hさん」と敬称表記している点―以外、ありませんでした。

沈黙する東京理科大関係者

さすがにどうなっているんだ、何がどうしてこうなっているんだと私自身も混乱しました。そこでこの大学院生及び学部生について身辺調査をしました。するとAの所属研究室及び学部生の立ち回り先が確認できました。

確認できた範囲で、Aは2016年から2019年まで日本物理学会で学会発表を行なっています。共著者には理学部第一部物理学科、2023年1月現在教授の「S」先生がいます。S研究室のウェブサイトでは2015年度卒研生にAの名前があります。2023年度現在もAの名はウェブサイトの「大学院生」に「D」として記載されていますAは博士課程在学の大学院生ということになります。


この研究室の先生にご確認を取ろうと思い、私は2022年3月28日に東京理科大に連絡をしました。S先生のメールアドレスを聞こうとしたのですが、その場で研究室に電話がつながってしまいました。めんくらった私ですが、まず、S先生とお話をしました。S先生にAの名前を伝え、彼が関わった「社会運動について」というと、S先生は「ああ」と言ってすぐに電話をかわりました。そのとき、AはまさにS先生の研究室にいたわけです。

Aは2021年度(*)いっぱいで研究室から退去することになり、引っ越し準備をしていたというのです。電話口で彼は驚いた様子で口ごもった上で、電話では話したくないと言い、メールアドレスを教えてくれました。私はかなり不思議な印象を受けたのですがその後、次のようなメールを彼に送りました。


*「2022年度」→「2021年度」(2023/3/11訂正)

A様
お忙しいところ、失礼いたしました立命館大学の蒲生諒太と申します
現在、コロナ禍の学生の社会運動を調査しておりまして、その一環で「東京理科大学オンライン授業アンケート」の活動に興味を持ちましたすでにウェブサイトやTwitterの投稿についてはデータを収集し分析を進めております
レポート化し公表しようと思うのですがAさんをはじめメンバーの個人名もありますし表に出ている話だけでまとめるのもどうかなと思いコンタクトを取ろうと考えております。
ひとまず、本人確認を、、というところから直接、研究室につながってしまったという次第です申し訳ありませんでした。
1-2時間程度のzoomでのインタビューで、さらにデータを公開する際は匿名化させてもらいたいと思いますのでこの点ご安心ください
ご検討よろしくお願いいたします
蒲生

彼は翌日29日夜に次のようなメールを送ってきました(一般的内容及び団体としての返答なので公開します)。

蒲生様、 返信が遅くなり申し訳ございません。件の取材についてですが、活動発足当初からの方針として、個人・報道機関を問わず取材は受けないことにしております。大変恐縮ですが、取材をお受けすることはできません。 ホームページに記載の内容につきましては、出典を明記いただければ自由に利用頂いて構いません。 以上、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。 A

 電話口ではメールでの応対を受け入れるような素振りだったのでこれには純粋に驚きました。私は考えあぐねた結果、4月3日に、「グループへの質問というよりもAさんご本人ということで」とメールで質問をしました。長いので要点だけ書くと、1つ目はAがアンケートに関わった経緯と理由、2つ目にS先生の関与の有無(黙認や公認、サポートについて)、3つ目に「Aさんはどこまで理解して一連の科学的に無理のある分析、報告を手伝っていたのですか、それは何か意図があってなさっていたのですか」(原文ママ)、最後に例の12月の写真の件です。

 Aはこのメールに返信をしませんでした。

 この後、もう一人、立ち回り先を特定できた学部生について、コンタクトが取れないか連絡をしましたが返答はなしS先生に改めて手紙をしたため、経緯を伺いましたが同じく返答はありませんでした。東京理科大関係者は、この謎の学生団体について口を閉ざしたままです。

4 さいごに

(1)謎のままの「東京理科大」

結局、この団体と所属メンバー、さらに東京理科大で何が起きたのかは全くわかりません。ただただ不可解で意味不明なことが行われ、SNS上で大学教員へのヘイト、バッシングが垂れ流されたということだけが分かります。

A曰く、ウェブに掲載されている内容は引用が可能だというわけです。メンバー名等をこの原稿で記載しようとも思いましたが、無用なトラブルを避けるためにイニシャル表記にしました。とはいえ、引用をした先のウェブサイトではほとんどのメンバーが実名表記になっています。

私の送ったメールにある通りS先生がこの事態を全く知らなかったということはあり得ないと考えられます。まして研究室にお電話をした際、S先生はすぐに「東京理科大オンライン授業アンケート」のことを理解し、Aに電話を繋いだわけです。S先生がこの団体をバックアップしていたとは言いませんが黙認をしていたということは考えられるとは思います。

ちなみに「A」の名前でサイニーの博士論文検索を行いましたがヒットすることはありませんでした(*)。2015年に卒論が提出されたなら、修論が2017年、博論がストレートで2020年。彼が研究室を去ったらしいのは2021年です。2022年度も暮れにかかっていますが、この大学院生の名前で検索しても大学の常勤・非常勤両方でヒットするものはありません。


*刊行後、情報をいただきました。Aについて東京理科大学のリポジトリに2021年度、博士論文が掲載されています(2023/3/11追記)

(2)「ホシノ」との類似性

この団体の顛末を抽象化するなら、次のようなことが言えるでしょう。

 

・「コロナ禍の大学」を巡る学生運動においてはオンライン調査が多用されたが、かなり杜撰なものが存在したこと

・それを知的エリートである大学院生が先導した可能性が高いこと

・それが政治家や文部科学省に届いた可能性があること

 

でしょう。

これらの内容については「大学生対面授業再開プロジェクト」のホシノを思い出すとかなりの点で一致していると思われます(A-n-I/22参照。ホシノとAは全くの別人です)。

とはいえ、この一件、よくわからないことが多いです。ちなみに「東京理科大オンライン授業アンケート」の結果に関して文部科学省の公文書の中にそれと類似したものは見つかりませんでした。この点も「大学生対面授業再開プロジェクト」と似た顛末です。

 

東京理科大でいったい何が起きていたのかご存知の方がいましたら情報提供お願いします。

お願い・2021年4月19日に「文部科学省に届いた『苦情・要望』についての調査」のレポートをアップロードして以降、SNS上で私への誹謗中傷を含む投稿が、複数回、複数アカウントによってなされました。・その中から悪質なものに関して、不法行為としての名誉毀損が成立しており私に対して大きな損害が発生していることが考えられましたので刑事・民事の両面から法的措置を取るため、発信者情報開示の仮処分申請を東京地裁に行いました。債権者面接及びTwitter社代理人を交えた双方審尋が行われ、2021年6月9日、仮処分命令が発令いたしました。・これに伴い2021年6月17日、Twitter社より当該アカウントのIPアドレスが開示され、プロバイダへの消去禁止仮処分及び発信者情報開示請求訴訟を提起するため、サイバーアーツ法律事務所 田中一哉弁護士に対して委任契約を結びました。・今後はプロバイダとの間での発信者情報開示訴訟となり、契約者の情報が開示されて以降、刑事告訴及び民事訴訟を準備いたします。
・ただし、情報開示訴訟となりますと費用的時間的コストがさらにかかり、損害賠償請求の金額もより高額になってまいります。・不法行為の事実関係を争うかどうかは別にしても、誹謗中傷をされた方も債務が膨大になる危険が高まります。
・以上のことより、私への誹謗中傷に御心お当たりのある方は早急に代理人、サイバーアーツ法律事務所 田中一哉弁護士(連絡先ウェブサイト)にお申し出いただきますようお願い申し上げます・双方で事実関係を確認できましたら、示談も含めて法的措置のあり方を改めて検討いたします。
SNS投稿の引用方法について *以下、TwitterについてはXと読み替えます・公開中のレポートについてSNSの投稿を引用する際、以下の基準で行います。・Twitterの場合は埋め込み機能を用いての引用を認めています。(参考:Twitterサービス利用規約・ただし、レポートはPDF形式が基本のため、この機能を用いることができません。・Twitter社はTwitterフェアユースポリシーを公表していますがこれは米国内でのルールあり,我が国においては著作権法の権利制限規定で公正な慣行による引用(32条)が認められています
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。(出典:e-Gov 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)
・このことからTwitterの投稿引用に関しては、公正な慣行に合致する方法であれば著作者に無断での引用が可能だと考えられます。・論文等で引用を行うための「公正な慣行」=「一般的な慣行」ではURLの記載は必要だと思われます。(参考)editage 「ソーシャルメディアからの情報を学術論文に引用する方法」・ただし、今回の調査については、大学生のアカウント等、未成年のものが対象となる可能性が考えられ、また、内容も論争的なものを含むことから、(場合によりますが)不必要にアカウントを人目に晒すことは本意ではありません。
・そこでTwitterに関しては「アイコン」「名前」「スクリーンネーム」及び「添付画像」について隠し、さらにURLについては場合によって検索避けのため画像での貼り付けとして、対象アカウントの保護と引用慣行の徹底を行おうと思います。・例外として、すでに削除されたものでアカウント所有者に危害が生じないと判断できる場合、あるいは研究の都合上、「名前」等を明記したほうが適切だと判断した場合は一般的な引用の慣行に従うこととします。・政治家等の公職者、メディア等の企業体等の公共性が高いと思われるアカウントについては一般的な引用の刊行に従うこととします。・ご自身のアカウント/投稿の引用方法について問題がある場合、当ウェブサイトの「お問い合わせ」からご連絡ください。

本ウェブサイト掲載の内容は蒲生諒太の個人研究成果です。所属機関等の公式見解ではございません。