趣旨とまとめ

　これまで対面授業を求め社会運動を展開していた学生や「可哀想な大学生」としてメディアに登場した学生たちのインタビューを行い、発表してきました。

　今回は大手メディアがほとんど報じなかった大学生と教師の生活、あるいは報じていたけどあまりにも一面的だったもののその背後にある当事者の考えを記録しようと思います。

コロナ禍、対面授業を選択可能な状況であえてオンライン授業を選んだ学生、オンライン授業をさまざまなことに活用した学生・・・。

    これらは特徴は（重なる部分が多いですが）、

・オンライン授業を活用して学外の社会・経済活動に参与し生活を充実させたケース　

・精神的身体的不調の待避場所としてオンライン授業を活用したケース

・家族のケアのためにオンライン授業を活用したケース

・オンライン授業を利用して慣れ親しんだ地元での生活を大切にしたケース

・大学への不適応から来る不利益をオンライン授業で最小化したケース

ということになるでしょう。

  「オンライン授業を活用して学外の社会・経済活動に参与し生活を充実させたケース」は想像されるケースですがその実態と考えは学生の多様性を示すでしょう。

また、コロナ禍、人生の重要な決断と価値転換を経験したベテラン大学教員のお話も掲載します。このインタビューでは、オンライン授業での生活からハイブリッド授業・対面授業への転換での不適応、そして価値観の転換が見られるケースで、私自身共感するものでした。

　これらケースについてはインタビューをまとめる中で再度振り返って示された回想も含め、実態はとても複雑でアンビバレントなものを多く含みます。

　それらは単なる「オンライン授業への賛歌」ではなく、オンライン授業利活用の1つの可用性とウイルス禍という「特殊で」、（そして、いずれ同じことが起きるであろう点で）「普遍的な」危機の記録として価値を持ちます。

インタビュー記録

• case5　鈴原さん（男子学生）

京都の大学に籍を置き東京で活躍、いわゆる「意識高い系学生」のコロナ禍のライフスタイル

• case6　花宮さん（女子学生）

コロナ禍の東京に見切りをつけ地方留学、宮崎の「トーキョーガール」とオンライン生活

• interview_01　桜井さん（女子学生）

地元に留まった彼女のコロナ禍での「地元」生活、対面復活後の遠距離通学

• interview_02　朝永さん（男子学生）

学生投資家、企業のリサーチャー、彼の思想とライフスタイル

• interview_03　春日さん（女子学生）

コロナ禍の一人暮らし、恋愛のトラブル、精神的不調とオンライン授業

• interview_04　園崎さん（男子学生）

すぐに帰郷する謎の下宿生、そのライフスタイルと思想

• interview_05　天崎さん（男子学生）

コロナ禍の若者ケアラー、家族との最期の時間、そしてオンライン生活

• interview_06　星川さん（女子学生）

高校時代からのパニック障害、家族の死、オンライン生活、オンキャンパスライフ

• interview_07　円山さん（女子学生）

グローバル大学に戻らずに地方留学、インターン、そして地域活動へ

• interview_08　夏川さん（女子学生）

グローバル大学の実態と不適応、地元での友達との交流

• interview_09　桜沢さん（大学教員）

ベテラン教員のポストコロナ不適応、突然の退職とその真実

2024年3月11日  公開

本ウェブサイト掲載の内容は蒲生諒太の個人研究成果です。所属機関等の公式見解ではございません。