検証13
このページでは以下の4つのサイトを検証しています。
●NOAH Coin (ノアコイン noahcoin.org)
●ノアコイン正規代理店 (noah-coin.jp)
●BitClub Network (ビットクラブネットワーク bitclubnetwork.com)
●Bitclub (ビットクラブジャパン www.bitclub.jp)
まず以下の2つのサイトを検証します。
●NOAH Coin (ノアコイン noahcoin.org)
●ノアコイン正規代理店 (noah-coin.jp)
フィリピンのマニラ近郊の開発プロジェクトと連動した仮想通貨と称してNOAH Coin (ノアコイン)という仮想通貨への投資がブログや動画投稿などで呼びかけられています。そしてこれは「検証1」で検証したADA Coin (エイダコイン)という仮想通貨と同じグループによる仮想通貨の可能性があります。
以下のキャプはYoutubeにアップされている多数のノアコインの宣伝用動画の一つから撮ったものですが、ここで絶対に大儲け出来るからノアコイン(動画にはノアコインという固有名詞は出てこないがタイトルにはノアコインと明記されている)を買えと力説している右の赤シャツの人物は「泉忠司」と名乗り、エイダコインの宣伝も行っていた人物です。この人物の名前は年利36%で運用する金と銀の自動売買ソフトを売るアイランドソフトウエアという投資の検証でも登場しています。ついでに左側の人物は「土屋ひろし」と名乗っており、検索するとネット上に悪評が確認されます。
泉某については「検証1」のエイダコインの検証でも事務所と称する住所がバーチャルオフィスを利用した架空住所であることなどから信用出来ない人物と判断していますが、Twitterに出てくるアフィリエイト広告にこの人物が登場することでも個人的な疑念は深まっています。例えば以下に示すキャプはTwitterに出てくる明らかなアフィリエイト付広告のリンク先で見つけた「輝かしい経歴」の一部を抜粋したものです。マトモな事業ならばSNSでアフィリエイト広告乱発なんてやるとは思えません。
さらに泉某の経歴などには疑わしい部分があることも分かりました。例えばこの人物は自分を国士舘大学講師であるとしていますが、国士舘大学のサイトでこの人物の名前を検索しても「該当がない」という結果が出ます。つまり少なくとも泉某はせいぜい非常勤であり、キャプに見られるように「現在は国士舘大学の講師を務める」とか「有名大学の現役の教員」などと称するのが適当とは到底思えません。
また泉某は他にも例えば(株)DBパブリッシング代表取締役と名乗っていますが、公式サイトの会社概要には泉某とさらに別の代表取締役1名の経歴のみが書かれていて連絡先情報が何もありません。いわゆる幽霊会社としか思えません。
さらに「2011年に東久邇宮文化褒章受賞」とも自称していますがこの「東久邇宮文化褒章」は受賞者が一切公表されていないという褒章であり、本当に2011年に泉某が受賞しているかどうか確認出来ません。
ちなみに動画の中で泉某はノアコインには購入希望者がとても多く、2017年初頭に予定されているプレセール第1期では売り切れが確実、第2期以降も希望者殺到で売り切れが予測されているので確実に手に入れるには自分が売り出した「仮想通貨バイブル」と称するDVDを購入し、購入者だけが参加出来るセミナーに参加して予約枠を確保しろと主張しています。これが真実ならば2017年初頭のプレセール1期は始まる前から終了していることになりますが実際にプレセールが行われるかどうか時期を待って確認してみたいと思います(→ 本項最後の付記2を参照)。
次に表題に掲げた2つのサイトですが、これらのサイトには非常に情報が乏しいです。特に2つ目の「ノアコイン正規代理店 (noah-coin.jp)」というサイトは殆ど情報皆無です。誰が責任者なのか、連絡先の住所や電話番号でさえ記載がありません。最初のサイト (noahcoin.org)には一応連絡先情報の様なものがありますが、電話番号がないのは異様ですし、誰が責任者なのか全く情報がありません。
>NOAH GLOBAL INNOVATION SERVICES INC.
>10/F NET LIMA BUILDING, 5TH AVE. COR. 26TH ST., BRGY. FORT BONIFACIO, TAGUIG CITY
>Email: info@noah-coin.com
さらにこのフィリピンの住所を検索するとRegusというバーチャルオフィス業者の拠点の住所と酷似していることが判明しました。
>Unit 10A, 5th Ave. cor. 26th Street, E-Square, Crescent Park West, Bonifacio Global City, Taguig, Metro Manila, Manila
電話番号がないことと併せ、架空住所の可能性が極めて濃厚と判断します。この連絡先である「NOAH GLOBAL INNOVATION SERVICES INC.」が幽霊会社である可能性も充分に考えられます。実際に「NOAH GLOBAL INNOVATION SERVICES INC.」をそのまま検索しても殆ど該当がないのです。
さらにノアコインのサイト (noahcoin.org)にはノアコインはフィリピンから海外に出稼ぎに出ている労働者が故郷に仕送りする際の送金手数料を節減する為に開発された仮想通貨であると称し、さらにフィリピンの首都、マニラの近郊で大規模開発事業を行うと書いてあります。
>フィリピンの首都マニラ郊外にあるETONCITY 40ヘクタールの土地を開発。 第2のボニファシオ・グローバルシティ(BGC)となる国家的大プロジェクトが始動します。>NOAHCOINは公共料金、ショッピング、カジノ、不動産購入などあらゆるサービスで利用できます。
埋め込まれた動画によれば「NOAH PROJECT」と称して具体的には以下の様な施設が建設されるとなっています。括弧内は明確な説明がありませんが完成時期でしょうか?
◇モトクロス用サーキット (2017年)
◇商業施設 (2019年)
◇ホテル及びカジノ (2020年)
そして「NOAH PROJECT」の母体はノアコインのサイト(noahcoin.org)にある記述によれば「NOAH FOUNDATION」が行うとなっています。
しかしこの「NOAH FOUNDATION」に関する情報は全く見当たりませんし、リンクが用意されている訳でもありません。そこで「NOAH PROJECT」や「NOAH FOUNDATION」で検索してみましたが、「NOAH GLOBAL INNOVATION SERVICES INC.」の場合と同じでそれらしい情報は全く見つかりません。ドイツの慈善団体とかオランダ人が建造した「ノアの方舟」の航海の為に寄付を募っている「ノアの方舟財団」が存在するのは確認しましたが、仮想通貨の発行やフィリピンでの開発計画に関係しているようには到底思えません。
建設場所とされているマニラ近郊の「Eton City」での開発計画などを検索してもこの地域で確かに住宅やオフィスビルなどの開発は行われているようですが「NOAH FOUNDATION」は出てきませんし、モーターサーキットやカジノを含む大規模開発計画も出てきません。要するに泉某が主張するノアコインと関係した「国家的大プロジェクト」が実際に行われている形跡が一切確認出来ないのです。
さらに最初に紹介したYoutubeの動画によれば泉某の販売するDVDセット(5万9800円)を購入して購入優先枠を確保しないとノアコインは購入するのも難しいほど人気が殺到していると主張しているのに同時にこのDVDセットを購入すれば代理店としての権利が与えられ、ノアコインを購入してくれる人を見つけて紹介すれば、あるいはFacebookなどに貼りつけたアフィリエイトリンクから販売サイトに誘導すれば報酬を払うとも発言しています。具体的には動画の51:00分辺りで2億円分のノアコインを購入する人を見つければ4000~5000万円の報酬が得られるとしていますから20~25%もの高額報酬ということになります。人気殺到で入手が困難であるはずなのにどうして高額の販売報酬を出すのでしょうか?明らかに合理性がありません。人気殺到という主張が虚構であるか、コインの発行上限など実際には存在せずに売れるだけ売るつもりなのではないかと疑わざるを得ません。また一連の知恵ノートで何度も指摘していますが、仮想通貨の販売に伴って高額の販売報酬など出したら、仮想通貨として使う(=商品やサービスの代価として支払いに充てる)際に必要な原資を失うことになり、仮想通貨の破綻を招くはずです。そもそも「国家的プロジェクト」の資金は何処から来るのでしょうか?これもノアコインを売った代金から出すのだとすれば明らかな使い込みです。あるいは「国家的プロジェクト」が架空なのだとしたらプロジェクトで建設されるショッピングモールでノアコインが流通するという構想も夢物語になります。ノアコインが近い将来に実際に仮想通貨として通用することがあるとはどう考えても思えません。
そして「高額の販売報酬」狙いだと思われますが、ネット上には泉某のセミナー受講者によると思われるネオコインの販売を勧誘する目的のブログなどが幾つか確認出来ます。
泉某は日本でのノアコイン販売の窓口という役割のはずなのにブログの記述では
>NOAHはノアの箱舟に関係しているもので、ネーミング案は泉忠司先生が提案したもの。
となっていることは注目すべきかもしれません。泉某が命名したというのが事実ならば泉某が張本人であるという可能性がますます強くなったように思えます。結論として投資先としては論外と判断せざるを得ません。
※付記1
泉忠司が勧誘している別の投資案件「D9クラブ」に関する検証を新たに行いました。知恵ノート「投資全般その9」を参照してください (現在リンク切れ)。また次項の「ビットクラブ」、「検証18」で検証したトレードコインクラブも泉某が勧誘を行っているようです。併読してください。
※付記2
2017年になってからノアコインの販売が開始されたようでビットクラブ、D9クラブと併せてSNSに以下に示すような広告が乱発されています。DVDを購入していなければノアコインを入手出来ないというセミナーでの発言はやはり単なる買い煽りだったようです。
※付記3
ノアコインを保有しているだけで年率20%の配当が出ると称して勧誘が行われているようです。
しかし少し考えれば分かることですが仮想通貨の配当には意味がありません。発行枚数が増えれば希少性が薄れて価値が下落するのが必然だからです。株式分割を行えば株価が下がるのと同じです。
※付記4
ノアコインと思われる仮想通貨を購入してしまった高齢者が換金出来ずに困っている事例の報道が出たようです。
フィリピン政府の事業への関与を否定し、ノア・グローバルの事務所の住所に事業実態が存在していないことなどノアコイン側の説明を全面否定しています。
※付記6
現代ビジネスという雑誌のサイトにノアコインを検証する記事が出ました。
この記事によればNOAH Foundationの協賛企業とされていた
>フィリピン・エアラインの日本事務所の担当者も、筆者の取材に「(ノアコインについては)全く聞いたことがない」と証言
したそうですし、フィリピンナショナル銀行も同社および同社の経営者であり、NOAH FoundationのボードメンバーとされていたLucio Tan(ルシオ・タン)氏の関与を全面否定する声明を出したようです。まず以下はノアコインのサイトにかつて存在していた協賛企業の一覧です(その後削除)。確かにフィリピン・エアライン(Philippine Airlines)やフィリピンナショナル銀行が協賛企業とされていました。
そして以下はフィリピンナショナル銀行から出たノアコインとの関係を否定する声明の冒頭部です。
ノアコイン側が主張していた協賛企業のリストはデタラメとしか思えません。
さらに現代ビジネスからはノアコインに関する続報記事が出ています。芸能人を集めたセミナーへの潜入記事です。
過去に巨額の被害を出した投資詐欺事件でも芸能人を広告塔に使った戦略が使われていたことを思い起こさせられます。
※付記7
Yahoo知恵袋でノアコインを購入してしまった人からの投稿からの情報として振込先の銀行口座が判明しました。
>【銀行名】三井住友銀行
>【支店名】御堂筋支店(517)
>【口座種別】普通
>【口座番号】7780116
>【口座名義】カ)ノアマーケティング
口座の名義になっている「カ)ノアマーケティング」は国税庁の法人番号公表サイトで該当すると思われる法人登録を見つけました。銀行口座のある御堂筋支店と矛盾のない大阪の住所になっています。
>法人番号 8120001200819
>商号又は名称 株式会社NOAHマーケティング
>本店又は主たる事務所の所在地 大阪府大阪市中央区南船場3丁目4番21号
これも日本国内における怪しげな組織の一角と思われます。
※付記8
ノアコインプロジェクトにおいて提携先であったはずのフィリピン大使館やフィリピンナショナル銀行などから関係を否定する声明が出され、マスコミにも疑惑を指摘されたことなどに対応してと思われますが、Youtubeに泉某による「ノアコインの最新現状報告2017.07.25」と題する動画がアップされています。
動画の冒頭では泉某が一部の代理店が(必ず値上がりする的な)過大な広告を行っていた、さらに「提携先」から関係を否定されて疑惑が生じたことに関して「(ビジネス)パートナーとの契約状況の確認不足」があったとし、ノアコインプレセールの予約を一時停止したことを述べています。この検証の冒頭で触れたように泉某本人が絶対に大儲け出来るから購入しないのは愚かであるなどといった「過大な広告」としか思えない発言を先頭になって行っていた件や下の動画キャプで確認出来るようにノアプロジェクトは(フィリピン)政府のプロジェクトであると主張していた件については都合よく忘れてしまったのか弁明さえ一切ありません。
さらにノアプロジェクト自体は健全なものであって現在でも極めて順調に進んでいるとも主張しています。そして新たな提携先として以下の3社の名前を挙げています。
■NIPPON PAY (ニッポンペイ nippon-pay.com/) 日本の決済サービス会社
■Satoshi Citadel Industries (SCI, sci.ph/) フィリピンの金融技術会社
■Revolution Precrafted (revolutionprecrafted.com/) フィリピンの建設会社
ノアコイン公式サイト(noahcoin.org)にもNIPPON PAYおよびSCIとの提携について説明が加えられています。但し以下は英語版サイトのキャプですが説明図の部分が何故か日本語になっています。
また今になってノアコイン公式サイト(noahcoin.org)へのアクセス状況を解析してみるとアクセスのほぼ全て(98%ほど)が日本からのアクセスです。とてもフィリピンに本拠のある組織の公式サイトとは思えません。フィリピンにノアコインを運営するような組織が実在するかどうか極めて疑問です。
さらに新たな提携先と言われている企業のそれぞれのサイトでノアコインプロジェクトとの提携を確認しようとしましたが、それらしき記載はいずれのサイトでも全く見出せません。例えばNIPPON PAYのサイトには「NEWS お知らせ」というコーナーがトップページにあって業務提携などのニュースがまとめられています。そしてニュース項目の中には
▼ベンチャー仮想通貨のICO(イニシャルコインオファリング)支援を開始しました!!(2017年6月)
▼世界初!NIPPON PAYのマルチ決済サービスがビットコイン、イーサリアムの仮想通貨決済と連携!!(2017年6月)
といった仮想通貨関連の項目もありますがノアコインとの提携については全く確認出来ません。同様に他の2つの新しい提携先であるSCIとRevolution Precraftedについても提携をそれぞれの公式サイトで確認しようとしましたが確認出来ません。ちなみにSCIについては「検証26」で検証したヒーロートークンの運営メンバー3名の所属先としても登場している企業です。「検証26」を参照してください。
またRevolution Precraftedについて泉某はノアシティの建設を担うとしていますが、この建設業者は簡単に組み立てられるプレハブ住宅やパビリオン(展示館)に特化した建設会社であり、ノアシティの計画で示されていたような恒久的な施設を建設するような建設会社ではありません。建設会社と計画がマッチしていないように思われます。本当にこれらの企業が「ノアプロジェクト」に関与しているのか容易に信用出来ません。
※付記9
「検証22」で検証したCyva (サイバ)という仮想通貨にはノアコインと以下のような類似点があるように思われます。
◎アジア地域(ノアコインはフィリピン、サイバはアラブ首長国連邦)で開発された仮想通貨の先行販売(プレセール)を日本で行う。
◎プレセールは段階的に行われ、フェーズが進むと販売価格が徐々に上昇する。
◎コインを持っているだけで保有しているコインに対して配当が支払われる。
◎仮想通貨を発行する海外の組織の住所はバーチャルオフィスの住所と一致しており、実在が疑わしい。
◎Youtubeの動画で勧誘が行われている。
しかも勧誘動画を投稿している投稿者、「パルテノン資料映像」は他に泉某の登場する投資勧誘動画も投稿しており、同じ組織がノアコインに類似した怪しげな仮想通貨を作り上げている可能性が疑われます。「検証22」を参照してください。
※付記10
2018年2月、東洋経済という雑誌でもノアコインが取り上げられました。
▼仮想通貨情報会社を提訴 消費者機構「詐欺的商法」(2018年4月26日、共同通信 / Yahooニュース)
消費者機構日本というNPO法人が消費者裁判手続き特定法に基づいて株式会社ONE MESSAGEと株式会社泉忠司事務所を東京地裁に提訴したという内容ですが、「消費者機構日本」のサイトには提訴の経緯や内容が詳細に記されています。
▼これまでの是正申し入れの状況 (消費者機構日本)
>当機構に対して、株式会社ONE MESSAGEが販売し、泉忠司氏が勧誘した「仮想通貨バイブル(DVD)」「仮想通貨バイブルVIPコース」「パルテノンコース」に対する被害情報が、2017年7月以降、多数寄せられました。
>当機構ではこれまでの間、情報収集や被害者との面談を行う中で、被害実態の把握に努めてまいりました。
>その結果、「株式会社 ONE MESSAGE」及び「株式会社 泉忠司事務所」に対して下記の「要請書」を送付し、返金を希望する消費者には返金する旨を全購入者に対して通知し、返金希望者に対しては販売金額全額の返金を行うよう要請しました。
記事に「詐欺的」とまで書かれ、多数の「被害情報」が出ているとなればやはり泉忠司について信頼性をますます疑わざるを得ません。尚、泉忠司については以下で検証しているビットクラブに加え、チリーズ、ホットークン、仮想通貨バンク (いずれも検証35)、オーキッド (検証38)、ザ・マイニング (検証49)、プランスゴールド (検証62) といった案件にも関与していることが確認されています。それぞれの項目を参照してください。
関連してmatomaというサイトでパルテノン、ノアコイン、仮想通貨バンクなど泉忠司が関与してきた案件に対して包括的な集団訴訟の呼びかけが行われ、担当する弁護士も決まっているようです。2019年7月現在で請求予定金額4億円超となり、集団訴訟に加わる人を二次募集中のようです (右のキャプ参照)。
仕組みとしては投資家から集めた資金でビットコインのマイニング=出納管理業務に参加することで報酬として得られるビットコインを元に配当するということになっています。こういう方式で運営されているマイニングの為の組織をマイニング・プールと呼び、Wikipediaにも「マイニング・プール」という項目があります。しかしこの件が信用出来るかどうかは別の問題であり、特に怪しげな投資の勧誘を行っている泉某の推奨する投資となれば危うさを感じるので検証することにしました。
まずマイニングを行うビットクラブネットワークに関して連絡先情報が殆どありません。ビットクラブネットワークのサイトのFAQにある「Where is BitClub Network Located」という質問に対する回答は特定の会社所在地というものは存在せず、メインのホストコンピューター設備がオランダにあって、香港とスイスにバックアップ施設、そしてマイニングの施設はアイスランドにあるとなっていますが、具体的な所在地情報がありません。プログラマーやサポート要員は自宅で働いているとしていますが、やはり施設の所在地や責任者が何も明かされていないという状態には違和感を感じざるを得ません。
泉某の動画あるいはビットクラブジャパンのサイトの「登録方法」のページによればビットクラブに投資するにはまず99ドル(1ドル=117円50銭で計算して約11600円)を入会金として払い、さらに500~3500ドルで以下に示すマイニングプールの権利を購入するということになっています。プール1、2、3の全てをセットで購入する3500ドル(約41万円)の「創立者プール」が最も有利な投資(Best Value)になるそうです。
この500~3500ドルのお金で最新のコンピューターを購入し、大量に使用する電力の代金やプログラマーなどの人件費を払って採掘されるビットコインの分け前を貰うというのがビジネスモデルのようです。プールの権利代として払う500~3500ドルは返還されないが、6~8ヵ月で出資した500~3500ドルの元本が回収され、以降は600日の満期が来るまで利益が増え続けるというのが泉某の説明です。そしてビットクラブジャパンのサイトの「報酬」の項目にある説明ではこの配当支払いが受けられる期間が600日から1000日に延長されたとなっています。
>マイニングプールのシェアを購入する各自は、採掘されたBitcoinから毎日の利益を受け取ります。これら毎日の利益は、マイニングでの収益と各プールのシェア合計に基づいて様々です。 購入するシェアごとに、あなたは毎日の収益を1000日間受け取ります。
>*誰とも共有(紹介)しなくても約6〜8ヶ月ほどで始めに購入された金額(シェア)を回収する事ができ、残りの期間はあなたの利益となる為、海外では銀行預金と平行してご利用頂いている方々もいます。
ちなみに、1000日間への期間延長はビットクラブネットワークのサイトでも確認されます。本当に6~8ヵ月で元本が回収され、1000日間の間収益が一定と仮定するなら1000日=約2年9ヵ月(33ヵ月)で投資したお金が4~5倍にはなるはずです。但し、このビジネスモデルでは実際の収益はビットコインの円建て価格、他のマイニングプールとの競争などによって大きく変わる可能性があるはずです。例えばビットコインの円建て価格が下落したり、強力な競争相手が出現すれば発掘競争で負けて必要経費を払ったら利益が残らないという事態も有り得るはずです。こういったリスクの説明がないのは明らかに不当でしょう。
しかもビットクラブではネズミ講方式での勧誘が行われているようです。ビットクラブジャパンのサイトの「報酬プラン」の項目に長い説明がありますが入会金の99ドルだけでなく、マイニングプールのシェア購入代金として投資家が払う500~3500ドルのかなりの部分もネズミ講の勧誘報酬に充当されているようです。しかも勧誘報酬は多くの人を勧誘することで額が増加します。例えば以下の部分では9人以上の子ネズミを勧誘することによって多額の報酬が得られるという説明がされています。
>あなたが9番目のメンバーとその後の1人おきのメンバーを直接登録する場合、彼らはそれぞれあなたのチーム4レベルアッププランに配置されます。
>あなたは永久的に彼らの購入すべてに対する 18% をボーナスとして受け取ります。さらに彼らが直接スポンサーになった最初の2人全員に対して8% のレベルアップボーナスを受け取り、さらにその人たちの最初の2人全部に対してという具合で、無限レベルまで続きます。
「永久的に」といった言葉など意味がよく分かりませんが、9人以上の子ネズミを勧誘すれば多額の報酬が得られることは分かります。違法性が強く疑われますし、ネズミ講組織の根本的欠陥としてピラミッドの下位に加わってしまった人たちは食い物にされるだけになる可能性もあるでしょう。
とにかく払ったお金のかなりの部分がマイニングではなくネズミ講組織の拡大に使われていることは間違いありません。それでも「約6〜8ヶ月ほどで始めに購入された金額(シェア)を回収する事ができる」というだけの配当を実現するには驚異的な高利回りの投資でなければならないはずです。
ビットコインのマイニングはそれほど大儲け出来る事業なのでしょうか?残念ながらビットクラブネットワークのサイトには過去の配当実績や収支情報は見当たりません。しかし最近のビットコイン採掘量や売り上げがあるかは推算することが可能です。
例えば「Cointelegraph.com」というサイトにある記事に2016年9月25日~10月1日の1週間でビットコインのマイニングに参加している20ほどのマイニングプールがどれほどのビットコインを稼いだかという表が出ています。つまり各マイニングプールの売り上げです。
この表によればこの1週間で(青線の枠で囲ってある)「ビットクラブ」は387.73枚のビットコインを稼いでいます。Google Financeによれば2016年9月末時点でのビットコインの相場が61429円となっており、これから計算すると387.73枚のビットコインの価値は2381万7866円ということになります。仮にこのペースで1年間(365日)稼ぐと年間の売り上げが12億4200万円程度、1ヵ月に1億300万円程度になるはずです。そしてこれは売り上げであって利益ではありません。マイニングには人件費も掛かるはずですし、大型コンピューターを昼夜に渡って動かせば巨額の電気代が掛かるはずです。アイスランドにコンピューター設備を持つのはアイスランドが寒冷の地でコンピューターから発生する膨大な排熱を冷却するのに有利であるからという説明になっていることからも相当の電気代が掛かるのは間違いありません。勿論、最新ハードウェアへの更新も必要です。必要経費の算出は困難ですが、ビットクラブでは500~2000ドルで権利を購入可能な3つのマイニングプール(プール1~3)毎に還元率が50~70%と表示されています。具体的には500ドルで権利購入可能な「プール1」の還元率が50%、1000ドルで権利購入可能な「プール2」の還元率が60%、2000ドルで権利購入可能な「プール3」の還元率が70%となっています。
人件費や電気代などが大きく変動しないだろうと思われる一方で売り上げや利益はビットコインや為替の相場あるいはマイニングプール間の競争などによって大きく変わるはずなのに投資家への還元率を固定出来る仕組みが分かりませんけど、間を取って還元率60%で計算すると月間売り上げ予想の1億300万円の60%、月間6200万円程度が投資家への還元に充てられることになる計算になります。
これは約3ヵ月前の特定の1週間の売り上げですが、最新の状況を推算することも可能で「blockchain.info」というサイトでは直近24時間に採掘されたビットコインの数量やビットコインの相場など採掘に参加しているマイニングプールの総売り上げなどを常に見ることが出来ますし、各マイニングプールの市場シェアも示されています。例えば2017年1月6日夜の時点では
Blocks Mined (採掘されたビットコイン) 143
Market Price (ビットコイン相場) 933.82 USD
Total Miners Revenue (プールの総売り上げ) 1,781,978.78 USD
BitClub Networkの市場シェア 2.4%
となっていました。市場シェアと実際に掘り出せるコインの数は長期的には連動するはずなのでこの24時間でビットクラブの売り上げは
Total Miners Revenue 1,781,978.78 USD X BitClub Networkのシェア 2.4% = 42767ドル
1ドル=116.24円で計算すると約497万が1日の売り上げ
1ヵ月で約1億4900万円
という計算になります。売り上げの60%が配当可能とすれば月間に8948万円ほどがビットクラブが投資家に還元可能な総額という計算になります。(この試算は日を変えて何度か繰り返してみましたが大きな変動はないようです。)2016年9月末の数字からの計算よりビットコインの価格上昇、円安などによって配当可能額は増えていますが、それでも1億円には届きません。既に書いたように勧誘動画で泉某はビットクラブに一番大口の投資をしているアメリカ人は1人で毎月2億円の収入を得ていると話しているのですが計算と全く合わないのです。果たしてこれは泉某が約束しているような驚異的な高利回りが期待出来る投資なのか非常に疑問を感じざるを得ません。特に投資家が払い込むお金のかなりの部分は勧誘報酬に費やされてしまうのです。
そしてマイニングプールが非常に利益率の高い事業であるならば既に20ほどのマイニングプールが参入していて参入障壁の高い事業とも思えませんし、さらに各マイニングプールが銀行などから巨額の資金を調達して追加投資したり、新たな参加者が競争に参入して、投資利回りが低下することになるのが必然のはずです。驚異的な高利回りを約束して個人から少額の資金を集める経済的合理性がありません。そしてビットクラブはアメリカ在住者からの投資受け入れを中断しているようで泉某も同様の説明をしています。本当に高い投資利回りが期待出来るなら追加投資を停止している理由も説明出来ません。
そもそも表題の2つのサイトを見比べると泉某が約束しているような驚異的な高利回りとかネズミ講方式による勧誘報酬などについての説明は日本のビットクラブジャパンのサイトや動画にしか存在せず、本家のビットクラブネットワークのサイトには見つかりません。逆にビットクラブネットワークのFAQのページには以下のような記載さえあります。
>一定の収益率をオファーしている会社を見つけたら、それこそポンジスキームである可能性が高いです。
これはビットクラブジャパンにまさに当てはまるとしか思えません。ビットクラブジャパンがビットクラブの名前やビジネスを語って単純なポンジースキーム(自転車操業)の投資詐欺をやっていることさえ疑われます。最先端ビジネスだから大儲け出来るといった説明を鵜呑みにするべきではありません。結論としてこの件への投資は全く推奨出来ません。
※付記1
ビットクラブジャパンのサイトには連絡先情報が一切見当たりません。但しドメイン情報を見ると東京都江戸川区の連絡先が書いてあります。
この住所を調べてみましたが有限会社清水製菓という和菓子店(?)があるのみです。これ以外にこの住所に法人登録はありません。「ビットクラブ」で法人登録を探してみましたがやはり該当すると思われる法人登録は見つかりません。宮崎県延岡市に「株式会社ビットクラブ」という法人の登録があったようですが2017年の7月に清算・閉鎖されています。
※付記2
「検証22」で検証したスノーボールプロジェクトの公式サイトはビットクラブジャパンのサイトとサーバーを共有しているようです。何らかの組織的繋がりが考えられるかもしれません。
※付記3
Yahoo知恵袋に被害報告、強引な勧誘を受けたという投稿が出ています。被害報告では月利10%などという高利回りが可能であるという主張だったが実際の配当はとても低く、元金の回収は到底無理であるという実情が書かれています。かなり長いですが以下に引用します。
同様にYahoo知恵袋にはかなりの被害報告が出ています。
また友人や家族が洗脳されて困っているといった投稿も複数出ているようです。
matomaというサイトでこの案件について集団訴訟の呼びかけが行われているようです。集まっている情報によればマイニングの報酬は極めて少なかったようです。
※付記4
2019年12月、アメリカでビットクラブがポンジースキームの詐欺として摘発され、逮捕者が出たことが報道されました。
▼仮想通貨マイニングプールへの出資金詐欺でBitClubNetworkの運営者3人を逮捕 (コインテレグラフジャパン 2019年12月11日 )
▼Three Men Are Charged in $722 Million Cryptocurrency Fraud [7億2200万ドルの仮想通貨詐欺で3人を逮捕] (Bloomberg 2019年12月11日)
さらに以下のキャプはアメリカ・ニュージャージー州当局から2019年12月10日付でこの件に関して出された告知の冒頭部です。
このキャプの範囲をGoogle翻訳で翻訳した結果も以下に示しておきます。
アメリカ国内で逮捕されて名前が明らかにされた3人がMatthew Brent Goettsche (37歳)、Jobadiah Sinclair Weeks (38歳)、Joseph Frank Abel (49歳)。さらにSilviu Catalin Balaciという人物が4人目としてドイツで逮捕されたということが書いてあります。この告知の続きを読むと今回逮捕された人物の容疑はマルチ商法での勧誘だったようであり、詐欺の真の主催者とは限らないのかもしれませんが集めたお金が投資家への説明通りにマイニングに振り向けられていなかったことが確認されているなどビットクラブが詐欺であったことが法的機関で確認されたことは大きな前進でしょう。日本でも同様の勧誘組織を主導していた人物がいるはずであり、海外の法的機関と協力すれば日本での摘発やさらには被害者の被害回復も期待出来るかもしれません。