生徒の成長にかかわる仕事   

受け止める力をもって


長尾知香さん

大阪女学院大学2018年卒業。大阪の私立高校で英語教員として勤務(2023年11月取材)

自分を受け入れること

大阪女学院高校から大阪女学院大学に進んだ長尾さん。「はじめは理系の国公立を考えていて。大阪女学院大学は第一志望じゃなかったんです」。そんな彼女が「この大学に来てよかった」と実感したのが、2年生で「リーダーシップトレーニング(リートレ)」に参加した時。リートレとは、人との関わりや支え合いの意味を発見していく大阪女学院独自の体験学習プログラムである。「それまで理系の大学に進めなかった自分を受け入れられなかったけど、人のいろいろな考え方にふれ、ものすごく視野が広がった。『こうでなければ』ととらわれていた価値観が変わりました」

教職課程の学びにおいても大阪女学院ならではの体験をした。まず少人数制の環境。「他の大学の友達よりも、模擬授業をする回数もすごく多かったと思う。準備も大変でした(笑)」。それで鍛えられたことを、教育実習に行った時に実感したという。また、「大阪女学院の普通の授業もそうですが、教職課程でもプレゼンが多い! 先生が前で教えるというイメージではなく、自分たちが考えて実行する機会が多いんですね」。

ハードな学びで、
責任感が育てられた

そうしてたくさん経験するプレゼンや模擬授業では、先生やクラスメートのコメントがどんどん飛んできた。準備不足なまま臨むこともあったし、時には厳しい指摘も受け。「でも厳しく指摘されることで、ちゃんと見ててくれているなと思えました。あのハードな学びで、教員としての責任感が育てられたんだと感じています」と振り返る。

また、世界の課題を取り上げる大阪女学院の学びが、いま教える立場として『探求学習』に対応する時にも活かせているという。自分で考え、何をどう表し、伝えるか。そういうことをこの大学ですごくたくさんしてきたので」。

受け止めること
話を聞くことを大切に

教員として、まず「自分自身が授業を楽しむこと、英語が好きであること」が大事だという長尾さん。
「英語が苦手な生徒には、“だからこういう訳し方になるんだ!”と根拠がわかって、“できた!”という感覚をもたせたい。コンプレックスをなくしてほしい」といつも教え方を工夫するそして、「生徒の変化に気づくように心がけます。反抗的な態度も『この子の“ヘルプ”なんだ』ととらえて向き合う。いいことも悪いこともとりあえず受け止めるようにしています」。

彼女の話からは、大阪女学院での体験と学びによって養われた柔軟性強靭性が感じられる。それが教員としての力にもなっていることが伝わってくる。「しんどい時もあるけれど、私は生徒が大好き。子どもが大きく変わる時期にかかわる素晴らしい仕事。自分が覚悟を決めて生徒に何かを伝えていく意識がこれから先、ますます大事になっていくと思います」。