愛する故郷・和歌山から

地元の農業と漁業のすばらしさを伝える


南村真衣さん

大阪女学院大学2017年卒業。和歌山の大手繊維機械メーカー「株式会社島精機製作所」に就職後、社内ベンチャー制度を活用して、和歌山県の農業・漁業を支援する会社を起業。(2023年11月取材)

卒業式のスピーチで「大阪女学院大学の大学生活を通して、『挑戦し続ける』ことと『問題意識を持って、考え続ける』ことの大切さを学んだ」と語った南村さん。まさに卒業してからの数年間、彼女は常に考え、挑戦し続けている。

挑戦し続けること・考え続けること

「学生時代に英語や中国語の学習に力をいれていたことから、卒業して島精機製作所に入社後は、主に海外のお客様との仕事をさせていただいて、出張で海外に行くことも多かったです」。

入社2年目の2019年後半から『社内新規事業創出プログラム』がスタート。当時の南村さんの所属部署である経営企画部が事務局を担っていた。「私も約半年間、事務局の運営メンバーを務める中で『自分ならこういう事業をやりたいかも』と想像するようになりました。そこで、アイデアがまとまったタイミングで事務局メンバーを外れて、自分が応募する形で社内新規事業に挑戦したんです」。

株式会社はまさと起業

南村さんの出身地の和歌山県有田市初島町には「はま(浜)」と「さと(里)」という2つの住所区画しかない。「はま(浜)」では海の仕事、「さと(里)」では農の仕事に就いている人が多く、町民全員が大なり小なり一次産業に関わっているような地域である。

「農業・漁業を盛り上げるために生産者になるのではく、地元で頑張っている生産者をサポートする仕組みを考えました。まずは商品の販売のサポートからと2020年に産直プラットフォームECサイト5STAR MARCHEをスタート。商品そのものだけでは伝わり切らない、生産者さんの取り組みやこだわり、それぞれの環境に対するアクションも紹介しています。現在では、産業廃棄物のアップサイクルの商品開発に積極的に取り組んでいます」。

自分のこととして考え、理解し、

今の自分にできることを行動する

農家さんとの信頼関係を築いてこれたのは、「大阪女学院で、課題をこなすことで当事者意識をもって考える癖がついたから」だと語る南村さん。「授業ではいつも、ただ調べてくるだけではなく、調べてきたものについてどのように考えたか聞かれる。内容を自分のこととして考えて、理解していないといけない。それを何回も何回も繰り返すことで、そう考える癖がついたのだと思う。そして、考えるだけでなく、今の自分の立場でなにができるかを考え、行動する。そこまでが大阪女学院で求められ、鍛えられたことだと思います」

大阪女学院には、「『やりたいことがあったらなんとかしてあげるから、初めの一歩は自分で』、という環境があるのもいいですよね。事業計画書を書いている時も、大学の崔先生(大阪女学院大学教授)に見てもらって、相談しました。おかげでかなりいい計画書が提出できたと思っています」。

「限られた個人や株主だけに短期で莫大な利益を生むユニコーン企業ではなく、それとは対極の、事業を通じて社会に良いインパクトを与える“ゼブラ企業でありたい。このゼブラ企業は、和歌山での成功事例の先駆けとなって生産者さんの収入増や新たなチャレンジに貢献し、農業や漁業をやりたいという次世代を生む役割をも担いたいと思っています」

会うたびに進化を続けている南村さんの今後の展開が楽しみです。