蓮犬
YOUQUIGO Choka Poésie Lotus Dog
2024年Shadoreでの展示「結崎剛展 歌の展開」、その成果物である長歌集『構造の夢』(2024)につづく、歌人結崎剛の長歌制作の試行最新作。夢と眠りとをテーマにした前作にくわえて、転居とともに生育することになった「蓮」が、種子の姿で千年以上眠ることができると知って、覚ましてしまった眠りと夢について、うたとともに観察する。
場所 自家焙煎珈琲Shadore 日時 9/2ー9/30 店舗営業時間中展示
蓮犬
YOUQUIGO Choka Poésie Lotus Dog
2024年Shadoreでの展示「結崎剛展 歌の展開」、その成果物である長歌集『構造の夢』(2024)につづく、歌人結崎剛の長歌制作の試行最新作。夢と眠りとをテーマにした前作にくわえて、転居とともに生育することになった「蓮」が、種子の姿で千年以上眠ることができると知って、覚ましてしまった眠りと夢について、うたとともに観察する。
場所 自家焙煎珈琲Shadore 日時 9/2ー9/30 店舗営業時間中展示
寄稿 | 蓮に成る 結崎剛さんへ |
Hallie(刺繡作家)
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私は結崎さんと十年来の友人です。結崎さんは会うたびにその時々ハマっている作家や作品について熱く語ってくれるのですが、熱量のピークはだいたい二週間、長くて二ヶ月くらいで、いつの間にかブームが変わりまた新しい話を聞かせてくれる、といった具合でした。だから結崎さんが蓮にハマり始めたときは正直「いつまで続くのかな」と思っていました。しかし結崎さんの蓮ブームは私の予想を凌駕し日に日に熱さを増しています。結崎さんとの長い交友関係のなかで、こんなに熱狂的に、しかも長い間何かにハマる結崎さんの姿を見たのは初めてでした。私は結崎邸の蓮ではなく、蓮にハマる結崎さんを観察することにしました。
蓮にハマった結崎さんは、今まで以上に仏教の話をしてくれるようになりました。「聞いて聞いて」と結崎さん自ら語り出すことはもちろん、誰かの話を聞いたときの応答に蓮や仏教の話を用いる回数が格段に上がった気がします。どういう話の流れだったか忘れましたが、法華経に出てくる白蓮華と紅蓮華、地涌の菩薩について聴かせてくれたときは仏教をまったく知らない私でもワクワクしました。
また、私が生きる気力を失って眠ってばかりいた頃は「蓮の種はとても硬いからいつまでも眠り続けることができる。それはつまり、いつでも目醒められるということだよ」と言って励ましてくれました。蓮を通じて人をワクワクさせたり励ましたりできる結崎さんは、なんだか蓮の伝道師みたいだな、と思いました。
蓮が育つにつれて結崎邸にはたくさんの人が集まるようになりました。葉っぱがもりもり湧きだしたとき、メダカとボウフラがぐんぐん増えだしたとき、ついに睡蓮の花が咲いたとき、いつも結崎邸には客人がいて蓮の甕を囲んでいました。共通の友人と睡蓮の花を見に行ったとき、結崎さんが振る舞ってくれた蓮の実ごはんの美味しさは忘れられません。結崎邸は蓮によってますます栄え、虫や魚や人の団欒を生む場所になっています。
こんなふうに結崎さんと結崎邸の蓮を眺めるうち、私はあることに気付きました。私自身は何かを新しく生み出したり既にあるものをできるだけ美しく保つことには興味があっても、生まれ出たものを育てることにはあまり興味がないのです。だから芽が出た花が咲いたと喜んだり、せっせとメダカに餌をやったりする結崎さんが新鮮で面白くて仕方ないのでしょう。しかも結崎さんは蓮を自分だけで楽しまず、友人や家族に見せ、語って聴かせ、ときには食べさせたりしながらその良さを広めています。このままいくといつか結崎さん自身が蓮になってしまうのではないかとドキドキするのですが、なったらなったで絶対に面白いので、これからも蓮に熱狂する結崎さんを観察し続けたいと思います。
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