鄰|隣 人



2026.   6/19 (fri) − 7/12 (sun)


Open : 12:00 − 19:00

Closed : Monday, Tuesday


Opening Reception : 6/20 (sat) 16:00 − 19:00


Gallery Talk : 7/4 (sat) 14:00 − 15:00

                              作家によるトークセッション


Artist : 

今泉奏   So lmaizumi

吳庭鳳   Wu Ting Feng






タイトル「鄰|隣 人」について   吳庭鳳


「となり」を表す字には「隣」と「鄰」のふたつがあります。


日本ではどちらが自然なのか、少し迷いました。

台湾で使われる繁体字では「鄰」の字を使うことが一般的です。


でも、異体字が存在していること自体が、今回の展示に少し重なると感じました。


私の作品には、水面や映り込みのようなモチーフがよくあります。

まるで倒影のように、同じものを見ていても、それぞれが異なる方向へイメージを広げていくように考えています。

鏡の表と裏のような関係とも思っていて、

「鄰」と「隣」の二つの字を並べてみたところ、なんだか面白いテーマになりそうな予感がしました。






Statement



「展示に寄せて」


社会とのかかわりは、地図のない航海のようだ。

少し大袈裟な喩えかもしれないが。


わたしの作品は舵取りのきかない船のようだと思っている。

作品を介して他者のつながりを感じながらも、やはり完全には繋がりきれない。

作中の人々 (虫も含む) は曖昧な表情を浮かべながら、彷徨い、どこか疲れているようだ。


また、同じ船に乗っていたとしても、見ている景色や、進もうとしている方向は人それぞれだろう。


私は、そうした分かり合えなさ、憧れや執着、妬みといった相反する感情、ユーモア、情緒を表現したい。


航跡は、あみだくじの線のように、見えない分岐や偶然を含みながら続いていく。


今泉奏 2026.5.27




「うつろいのほとり ー事物が変化していくその途中 (さなか)


それは、光がふと落ちた瞬間、風が向きを変えた瞬間、まだ名前のない感情が生まれる一瞬。

世界は、そんな微細な時のうつろいの中で、静かに変わり続け、私はいつも、その「出会うこと」と「消えること」との間 (はざま) を生きているように感じます。


今回のシリーズは、2026年2月から4月にかけて過ごした、

日本・群馬、榛名湖の山中での滞在制作から生まれました。

私は、冬から春へと移り変わる季節の中で、榛名湖で日々制作していました。

山のふもとからバスに乗り、標高が上がるにつれて景色が白く移り変わっていく——


ああ、ここはまだ雪の季節なのだ、と気づいたあの瞬間を今でも鮮明に覚えています。


植物、石、湖面、木、星の光。


自然が山々に残していった、そんな痕跡を拾い集めました。

それらは本来、一瞬にして変容し、その形を留めておくことが難しく、

私たちは出会ったその瞬間時の姿を記憶するしかありません。


私は、その「出会った瞬間」を描き留めたいと思いました。

作品に繰り返し登場する「手」は、私自身の象徴です。手で支え、触れ、抱きしめる行為は、

私にとって留めておきたい瞬間そのものです。

しかし、どれほど抱きとめようとしても、ものたちは静かに離れていってしまいます。

近づくことと離れていく、その間 (あいだ) の、言葉にできない境目に接しながら、

その端緒を、自分の感覚を通してそっと浮かび上がらせようとする試みです。」


吳庭鳳