長野に家族で帰省している間、私は一人悪だくみしていた。長野・富山県境を北アルプスを貫き連絡する立山黒部アルペンルートの走破、そして北アルプスのプリンスと称される名峰・立山の3つの山頂に立つことである。1泊2日の行程を組み、長野駅からアルペンルートの長野側の玄関口・扇沢駅に向かう高速バス(高速道路に乗るとは言ってない)に乗り込んだ。
扇沢から乗り込んだのは関西電力のトロリーバス。バスに見えるが鉄道の一種。かつては東京や横浜など全国で見られた交通機関だが、現在はこれも電気バスに置換えられている。
関電トンネルトロリーバスの終点は黒部ダム。立山黒部アルペンルートで一二を争う人気観光スポットとされている。建設の様子は何度も「黒部の太陽」という名前で映画化された。
黒部ダムを歩いて横断し、ダムの反対側にある黒部湖駅からケーブルカーに乗る。雪害対策のため、日本で唯一全区間にわたり地下トンネル内を走っている。
ケーブルカーに乗り着く駅は黒部平。ここからはアルペンルート唯一のロープウェイに乗る。ゴンドラは小さく見えるが、乗車定員は軽く100人を超える。
実はこのロープウェイは途中一本の支柱も用意されていない。こうするととても危険に見えるが、容赦なく襲ってくる雪崩の被害を受けないためにこのような方式が採用されている。
ロープウェイで登ってきた駅は大観峰。その名の通り、峰々を大きく観られる場所だ。奥の山々は後立山連峰、下には黒部ダムとそのダム湖である黒部湖がよく見える。
大観峰から乗り込むのは2度目のトロリーバス。扇沢から乗ったバスは既に電気バスに置換えられたが、こちらは今も元気に活躍している。めっちゃ楽しい。
トロリーバスを降りると、そこは室堂。アルペンルートの中心駅だ。今回は立山登山を含めた1泊2日の行程なので、この日はここで活動終了。雲海綺麗だよ。
今回の宿は「みくりが池温泉」。室堂駅から15分ほど歩くが中々いい温泉宿。通常見られない早朝の雲海を楽しめ、登山客に人気。なお夕朝食は涙が出るほど美味しいです。最高。
立山の山頂は3つあり、標高3003mの山頂には神社もある。お祓いも受けられるが、6畳ほどしかない切り立った断崖に立つ祠で行うのでかなり怖い。カップラーメンは1個500円。
室堂からは立山高原バスというハイブリッドバスで一気に山を駆け下り美女平を目指す。「美女のようだ」と言われた杉が近くに生えていたのが名前の由来。
美女平からはケーブルカーで立山駅へ。黒部湖から乗ったケーブルカーと違い雪害の心配は少ないため普通に外を走る。荷物運搬用の籠があるのが特徴。
立山から乗るのは富山地方鉄道。かつて関西の私鉄・京阪電鉄で活躍していた車両がやってきた。車内は新快速でよく見かけるクロスシートに似ており、座り心地は非常に良い。
途中駅で別の列車に乗り換える。こちらは富山地鉄が自社発注したオリジナルの車両で、宇奈月温泉方面の特急列車として運行されることもある。車内はこれもクロスシートが並ぶ。
富山駅に到着。関東方面から長野を起点としてアルペンルートを横断する際はここから新幹線に乗れば最速2時間強で東京まで帰ってくることができる。
富山駅の南北からは路面電車が出ている。以前は乗り換えが必要だったが、令和2年3月21日に相互直通運転が始まり市内中心部の行き来が楽になった。