残したい山口の音風景100選
山口県総合芸術文化祭
「子ども夢プロジェクト」調査研究
「残したい山口の音風景100選」に寄せて
青山学院大学総合文化政策学部教授
鳥越けい子
山口県立防府西高等学校の生徒さんたちが、音風景をテーマに、意欲的なプロジェクトをすすめていることを知り、10月はじめ、私は山口を訪れました。生徒さんたちの熱心な活動の様子を拝見し、そこで教えていただいた、音風景の現場のいくつかを実際に体験でき、とても嬉しく思っています。
私が委員の1人として参加した「残したい日本の100選」〜1995-1997年、当時の環境庁が実施〜 の目的が、この事業がきっかけとなりその後、日本各地の人々が身近な環境に耳を開き、それぞれの地域の魅力や資源に気づくようになる、ということでした。
とりわけ「残したい山口の音風景」というプロジェクトが、生徒たちの自発的な想いのなかから生まれ、その後、自分たちでアンケートを送り、半年もかけて現地調査を続けたということは素晴らしく、その根気と熱意には感服せずにはいられません。
若い感性が心を込めてとらえた音風景には、それぞれの地域の豊かな自然に支えられた、歴史や風土、人々の暮らしがしっかりと記録されています。また、今回の資料は、高校生の観点でまとめられたものですが、だからこそ、そこにはきっと数々の貴重な発見があるはずです。
感性豊かな高校時代に、このようなプロジェクトを成し遂げられた生徒さんたちに、心より賞賛を送ると共に、その研究成果の今後の豊かな展開に期待します。
2009年10月26日
研究コンセプト説明
(DVDイントロ)
調査研究成果発表会
(シンフォニア岩国)
Special Thanks
(DVDエンディング)
調査・研究のコンセプト
地域の音の風景を通して山口県の自然や文化、歴史等をたどると、人々の心とそれぞれの土地固有の音の記憶とが結びついていることに気づく。合併前の旧市町村それぞれの音の記憶を記録に残したいと思った。
教材としての視点
【歴史と文化】郷土の自然,文化,歴史探訪
【異文化理解】価値観の違いの発見と尊重
【伝統音楽理解】日本音楽の「間」の理解
【和楽器理解】和楽器の音色の原点発見
【環境教育】街のチューニングの重要性
子ども夢プロジェクト
山口県総合芸術文化祭の一環として行われたプロジェクト。山口県立防府西高等学校総合学科未来プロジェクト「音風景班」の調査・研究が採択された。
調査・研究のあゆみ
・県内各高校の生徒会に推薦を依頼
・県教委・市教委に推薦を依頼
・150の候補地で録音・録画等の取材
・鳥越先生招聘・100選の選考会議
研究のまとめ・発表
・子ども夢プロジェクト発表会でプレゼン
・残したい山口の音風景100選DVD作成
・やまぐち教育支援センターHPに掲載
残したい日本の音風景100選
カナダの作曲家マリー・シェファーが提起した「サウンドスケープ」の概念に呼応し1996年、当時の環境庁が全国の自治体に募集し選定委員会によって採択された。
お問い合わせ
防府高校佐波分校 0835-52-1311
中川 聡まで