●WYSH教育とは何か?
WYSH(ウィッシュ)とは、Wellbeing of Youth in Social Happiness(子どもたちの真の幸福)の頭文字を取ったもので、その言葉通り、WYSH教育とは、すべての子どもたちが、障害や疾患の有無、国籍の違い、また、家庭などの生育環境の違いにかかわらず、すべての子どもたちが自分の長所に気づいて、心身ともに健やかで自分らしく幸せに輝き、自分の人生を自分で切り拓いていける力を持てるようにすることを最終目的とする教育です。木原雅子やWYSH認定指導士によって、これまでに30万人を超える児童生徒を対象に実践され、知 識の上昇、リスク認知上昇、自尊感向上、学力向上、いじめの減少、不登校の減少など、多角的な効果が得られることが実証されています。
●WYSH教育の歩みについて
WYSH教育は、海外のモデルのコピーではなく、木原雅子が、科学的方法に基づいて独自に開発した、純粋に「国産」の教育モデルです。その歴史は、私たちが中心となって1999年に企画実施した、日本最初の全国性行動調査に遡ります。この調査によって、若者の性の問題の深刻な状況や効果のある予防教育普及の必要性が明らかとなり、マスコミで大きく取り上げられ、社会的に大きな反響を呼びました。
しかし、当時、効果が評価された予防教育モデルがわが国にはなく、私たちは、2002年から、科学的な予防教育モデル(WYSHモデル)の開発に着手することにしました。この当時のWYSHは、Wellbeing of Youth in Sexual Healthの頭文字を取ったもので、エイズ/性感染症予防に目的を特化したものでした。2003年には、大規模な研究によって、知識、態度、行動の変容効果が科学的に実証され[1]、WYSH教育は、2004年に、厚生労働省から青少年エイズ対策事業として、全国展開の依頼を受け、公式のガイドラインも作成されました[2]。また、こうした研究・予防活動が国際的に評価されて、京都大学に、木原雅子を長とする「社会疫学的HIV研究に関する国連合同エイズ計画共同センター(UNAIDS Collaborating Centre on Socio-epidemiological HIV Research)」が設置されるに至りました(上パネル)。また、2007~2010年にかけては、文部科学省の依頼を受けて、WYSH教育は、「性教育の指導に関する実践推進事業」として、全国展開が図られました。
しかし、この間に、WYSH教育は、性教育の範囲を超えるものへと大きく進化していきました。そのきっかけとなったのは、2004年ごろから私たちが研究を通して気づき始めた、ある「事実」でした。詳しくは後述しますが、その「事実」とは、性行動の背後には「人間関係の希薄化」があり、それは、性行動以外の様々な問題(いじめ、暴力、喫煙、飲酒、自傷行為など)の原因でもあるということ、言い換えれば、リスクの高い性行動は、「人間関係の希薄化」という根底的病根の1つの症状に過ぎないのではないかということでした[3]。それならば、真の予防教育とは、その根底の問題に取り組むものでなくてはなりません。
こうして、WYSH教育は、人間関係の回復を基本戦略とするものに再理論化され、名称も、現在のWellbeing of Youth in Social Happinessに改められました。2006年には、その理論を書籍としても出版しました[3]。WYSH教育は、現在、健康教育一般(性教育を含む)、道徳教育、キャリア教育、情報教育、人権教育、生徒指導、教育相談などの分野に応用範囲を拡大し、現場で活用され続けています。
2011年には、こうしたWYSH教育の発展と、全国普及、継続性を維持する目的で、私たちは、本協会の前身となる一般財団法人日本こども財団を立ち上げ、新たなモデル授業の開発、教材開発、教育の基礎となる、子どもの実態把握、講演・研修会などに取り組んできました。
●現代の子どもたちの現状について
戦後の高度経済成長によって、世の中は、テレビなどの電化製品や車が溢れ返り、今では、インターネット、携帯電話、スマートフォンを通して24時間誰かと連絡をとることができ、コンビニでは24時間いつでもモノを買うことができる「豊かで便利な社会」になりました。しかし、その反面、子どもたちの間には、現在、いじめ、ネット依存、万引き、性の問題、学級崩壊、不登校、引きこもりなど、かつてなかった色々な問題が生じるようになり、大きな社会問題となっています。これらの問題をどう理解し、どう対処すればよいのでしょうか?
私たちはこれらの問いに真剣に向き合い、調査や授業開発などの取り組みを進めてきました。この間実施したアンケート数は、全国高等学校PTA連合会との、2003年以来の共同調査も含めて、35万件を超え、子どもへのインタビューは1000人を超えます。その中から、ある「事実」が見えてきました。それは、これらの問題は、ばらばらの現象ではなく、ある共通の原因に由来するということ、つまりそれらは、自尊感が低い、コミュニケーションがとれない(人間関係を築けない)、やる気が出ない、切れやすい、他人の気持ちがわからないなどの、現代の子どもたちの精神的特質に由来すること、そして、そうした特質は、地域社会、家族、教師、友人と子どもの間の、人間関係の希薄化にその根本原因があるのではないかということでした。この関係を図式化したのが、図1で、私たちは、これを「コネクティドネスモデル」と呼んでいます[3, 4]。
図1.コネクティドネス(人間のつながり)モデル
子どもたちは、ケータイ、スマートフォン、パソコンなどの機器を通した「バーチャルな」つながりがいびつに拡大した反面、現実社会における「リアルな」人間同士の結びつき(コネクティドネス)が非常に希薄化した、「支えの乏しい脆弱な状態」に置かれていて、その状態で、社会の様々な悪影響に曝されることで、様々な問題が生じるというのが、このモデルです。このモデルによれば、現代の子どもたちが抱えている問題は、私たちが創り上げてきた現代社会のあり方そのものに起因する、言い換えれば、これらの問題は、私たち大人自身が作りあげたものに他ならないということになります。
現在のWYSH教育は、この「コネクティドネスモデル」が基礎となっています。したがって、WYSH教育では、単なる知識やスキルの伝達ではなく、夢や希望を通した子どもの自尊感の高揚、人間関係の回復などがその目的の本質となるのです。
●WYSH教育の特徴について
こうした本質に根ざすWYSH教育の特徴は、以下の4点にまとめることができます。
(1) 単に知識や技術(スキル)を教えるだけではなく、子どもたちの夢・希望・人生の目標など高い価値と結びつける教育であること。
(2) 子どもたちを支える社会の人間ネットワークの回復を目指す教育であること。
(3) 子どもたちへの温かな想いと情熱が込められた教育であること(=丁寧に準備され、真剣に実施される教育であること)。
(4) 科学的根拠(エビデンス)に基づいた教育であること。
●WYSH教育の科学とアートとハート
WYSH教育は、私たちが京都大学で創り上げた、社会疫学socio-epidemiology[5]という新しい科学的方法で創られたもので、海外のモデルのコピーではありません。
社会疫学とは、社会科学的方法(ソーシャルマーケティング、教育理論、行動理論、質的方法)と医学的方法(疫学、統計学)を総合した方法です(図2)。
図2.WYSH教育の開発における科学的方法
WYSH教育は、子どもたち(図2の1stオーディエンス)とそれを取り巻く大人たち(図2の2ndオーディエンス)に対する質的調査(面接)や量的調査(アンケート)の結果に基づいて、ソーシャルマーケティング、行動理論、教育理論等を用いて科学的に開発され、これまでに全国で何十万人もの児童生徒を対象に実施され、効果評価の結果、その効果や応用可能性が確かめられてきました。また、こうした調査結果や評価結果は、2ndオーディエンスに還元され、受容的な教育環境を整えていくのに役立てます(科学的アドボカシー)。しかし、WYSH教育は、サイエンス(科学)だけで成り立っているのではありません。科学とはいわば「骨組み」であり、それだけでは、人を惹きつけたり動かしたりすることはできません。事例集を見ていただければ分かるように、WYSH教育では、授業の進め方、教材の表現やデザイン、分かりやすさには、精一杯のアートが凝らされ、相手への気づかいやメッセージには、精一杯の「心」が込められています。「サイエンス(科学)」と「アート」と「ハート(心)」、これがWYSH教育を支える3要素と言うことができます。
●WYSH教育の戦略
(1)2階建て構造
WYSH教育では、「人間基礎教育」を教育の土台と考えており、その上に、自分達が直面する問題に、子どもたちが対処できるように支援するための「各種の教育」が乗るという「2階建て構造」の教育プログラムとなっています(図3)[6]。土台を欠けば、単なる技術教育となってしまいます 。
(2)WYSH教育の段階的アプローチ
WYSH教育では、この二階建て構造を基礎に、段階的に教育が進められます(図4)。そして、特に人間基礎教育においては、これは授業だけの問題ではなく、学校づくりの問題を含むものとなります。このアプローチは、小学校・中学校・高校等の校種を問わず、全ての対象に共通です。
図3.WSH教育の基本構造
図4.WYSH教育における段階的アプローチ
人間基礎教育(1階部分)の第1ステップでは、子どもの心の居場所作りが目標となります。それが家庭であればベストですが、それが望めないケースなどでは、学校でそのような信頼できる大人と接する機会を提供する必要があります。
第2ステップの目標は、第1ステップの基礎の上に、それぞれの子どもたちが必ず持っている自分の長所の発見を支援し、自尊感や役割意識(役立ち感)を醸成することです。第1ステップ、第2ステップはすべての基礎になる重要な部分であり、小学校では特にこの部分に力を入れることが大切です。
次に、各種の教育(2階部分)、つまり教育の各論的部分では、第3ステップとして、まず、現代社会に潜む様々な課題(危険)について子どもたちに身近で具体的な情報を伝えます。第1、第2ステップが既に出来ている落ち着いた学校であれば、この第3ステップから開始することもできます。最後に第4ステップですが、様々な情報を伝えて、それからどうするのかを生徒たち自身に考える時間を提供します。指導者から、簡単に、「禁止」や「指示」を与えるのでなく、自分で考え、みんなの前で発表し、自分で決めるという経験をしてもらいます。これまでの経験では、どんな子どもも、他の生徒との意見交換などを通して、最終的には適切な判断をすることができます。それを信じて授業を行うことが大切です。
事例集に示す各授業例には、これら全てのステップが盛り込まれている場合もありますが、その一部で構成されているものもあるので注意してください。
●WYSH教育の各論のスコープ
例えば、性的に非常にリスクの高い行動をとっている生徒がいるとしましょう。その生徒が本当の意味で意識や行動を変えるためには、単に「○○は危ない」、「○○はよくない」という情報の提供、つまり「対症療法的」な情報提供だけでは不十分です。そのためには、そうした子どもたちの抱える生きる目標や夢の喪失、低い自尊感など、生き方の根幹部分に目を向けなくてはなりません。
コネクティドネスモデルのところで説明したように、WYSH教育では、そうした根幹部分に光を当てることで、様々な教育内容へと教育のスコープを拡大してきました。WYSH教育は、もともとは、エイズ教育・性教育からスタートしたものですが、現在それらは、WYSH教育の一部に過ぎず、現在WYSH教育が、その2階部分で、「各種の教育」として扱う分野はかなり多岐にわたっています。その一部を示したものが、右の表で、主要教育内容が、図3,4の、「各種の教育」の部分に相当します。これ以外にも、様々な分野への応用が考えられます。
表.WYSH教育の各論のスコープ
●WYSH方式の授業の組み立て
(1)授業の流れについて
次に、授業の具体的な組み立て方について、WYSHの授業で共通する部分をまとめておきます。どの授業を行う場合でも、この部分はとても重要です。
WYSHの授業は、図5のように、基本的にWINGSという4つの部分、① Warm up(導入)、② Information(主要講義、③ Group work(グループワーク、注:個人ワークを含むこともあります)、④ Summary(まとめ:メッセージビデオ、感想文・質問など)から成り立っています。
図5.WYSH授業の典型的なフロー
これらを1日内で行えればベストですが、それが難しい場合には、無理して1日で行う必要はありません。翌日でもよく、また、授業の繋がりさえ明確にできれば、1週間後あるいは数週間をおいて実施してもかまいません。
また、WYSH教育では、子どもたち1人1人の意見に耳を傾けたり、気を配ったりできるようにクラス単位での実施を理想としていますが、機材や内容の関係で前半部分は学年全体で実施し、後半のグループワーク以降は各クラスで実施するという方法を取ることもできます。次に各部分について解説します。
1)W(Warm up = 導入)
この部分は、生徒をリラックスさせるとともに、授業に積極的に参加するモティベーションを高める部分です。たとえばクイズ形式などで、児童生徒の興味を引き付け、そのクイズの後半部に、次に続く主要講義の内容と関連するものを入れておくと自然に主要講義に移行することができます。
また、学校によってはクラス内の友人関係に問題があり、あまり和やかな雰囲気ではない場合もあります。そのような場合には、生徒の緊張をほぐし、グループのメンバーと自由な意見交換ができるきっかけを作るために、簡単なゲームを入れることもあります。
2)IN(Information = 情報提供)
この部分では、授業で伝えたい主な情報をパワーポイント、DVD、ビデオ、教科書等を用いて生徒の集中力が続く程度の時間内に簡潔に伝えます。子どもの年齢や学校の状況によって、集中力が続かない場合があるため、その場合は、主要講義を2回に分けて、間に気分転換を入れるなど工夫をします。
3)G(Group work)(グループワーク)
WYSH教育ではグループワーク(作業や発表)を非常に重視しています。グループワークが円滑にかつ活発に進むかどうかは、演出やグループ編成の工夫にかかっています。
ここでは、1クラス36名の場合を例にとって説明しますが、クラスの人数に応じて適宜変更してください。
①アトモスフェリックスの利用
今日は、特別な授業(大切なことを考える)なんだという雰囲気を作るために、各テーブルにはテーブルクロスを敷き、花などを飾ります(これを、「アトモスフェリックス」と言います)。センシティブな内容の授業の場合は、生徒の気持ちを和らげるために、柔らかいぬいぐるみを置きます。(例えば、性の話をする場合に、性的虐待を受けた経験のある生徒がいるような場合など)。
②1グループの人数と男女構成(図6)
1グループは、約5~6人で構成します。1グループの人数が多すぎると、決まった生徒だけの話し合いになり、しゃべらない生徒は最後まで一言も発言の機会がなくなる可能性があるためです。最高6人程度にとどめたほうがいいでしょう。
グループは、基本は男女別ですが、小学生で、性に関する話をするのでないときは、混合グループでもかまいません。
③テーブルの配置:WYSH方式
グループの配置は、「WYSH方式」では、典型的には図6のように放射状に配置します。男子と女子を交互に配置してください。また、机間巡視がしやすいようにグループとグループの間に歩きやすい空間があることが望まれます。講師は、できるだけ、巡回し、どの生徒にも先生が気を配っていることを示してください。
図6.WYSH方式のテーブルの配置
④グループの編成上のポイント
意見が出しやすいように、なるべく友だち同士のグループとします。ただし、それを生徒に選ばせると、どこのグループにも入れてもらえない生徒が出てくる恐れがあるので、できるだけ、教える側で考えるほうがよいと思われます。もしくは出席順でもかまいませんが、いじめられている生徒といじめている生徒が同じグループにならないように配慮が必要です。
また、どの学校でもそうですが、クラスには何らかの課題を抱えた生徒がいます。そのような生徒は、先生の机の一番近くのグループに座らせ、いつでも声をかけられるようにしてください。
真ん中のグループには、そのクラスで一番のりのいい(よく発言する、活発な生徒)生徒を配置すると、クラス全体の雰囲気が活発化するきっかけになります。
⑤「プラス1の椅子(魔法の椅子)」
グループの椅子の数は、座る予定の生徒の数より1つ多く準備します(これを「プラス1の椅子(魔法の椅子)」と呼んでいます)。それは、机間巡視の際に、立ったまま、「上から」声をかけるのでなく、子どもたちと同じ目線の高さで講師が生徒と話ができるようにするためです。この椅子1つで講師と生徒が魔法のように打ち解けられることがあります。
4)S(Summary = まとめ)
①メッセージビデオ
WYSH教育では、授業の一番最後によくメッセージビデオ(DVD)を上映します(その例はこちら)。
大人の長々としたお説教じみた言葉は、子どもたちの心には届きません。ましてや、反抗期の只中の思春期の子どもではなおさらのことです。そこで、WYSH教育では、講師が子どもたちに本当に伝えたいことを、長い言葉ではなく、映像と短い言葉で伝えるという方法をとっています。映像から心で感じとってもらおうという試みです。
メッセージビデオは、その学校の生徒の状況、先生が授業のテーマとして取り上げた内容などによって、様々なものが考えられます。心に迫るような美しい映像やなつかしい映像の中に、先生・先輩・保護者などからの、短く思いのこもったメッセージは子どもの心に響き、長く記憶に残ります。
メッセージビデオを作るときには、以下の点に注意してください。
a.そのビデオで何を伝えたいのかを明確にすること。
b.子どもたちの心に、映像とともに焼きつくような曲を選ぶこと。
c.入れるメッセージはできるだけ少なくすること。
(たくさん文字を入れすぎると、焦点がぼけて、子どもたちには、大切なことが何か分からなくなります。)
d.生徒の写真を入れるときは、全員を入れること(自分の写真だけないのは、つらいことです)。
e. ただし、同じ生徒の写真を何度も出すと、生徒たちは自分の写真がいつ出てくるかばかりに気をとられ、全体のメッセージが届かなくなることもあるので生徒が精神的に幼い場合はその点にも気をつけてください。
その学校の授業のために、各学校でオリジナルのメッセージビデオを作れればベストです。それは、生徒たちにメッセージが届きやすくなるだけではなく、生徒のために先生方が力を合わせたり、生徒と先生が協力したりすることで、人間同士の絆が高まるという素晴らしい効果を期待できるからです。しかし、「WYSH教育では必ずメッセージビデオを作らなければならない」と思い、メッセージビデオ作りが大変だから、WYSH教育の実施が億劫だと思っておられるとしたら、それは大きな誤解です。
メッセージビデオがなくてもWYSH教育はできます。伝えたいことを他の方法で伝えればよいのです。例えば、ビデオが難しければ、写真素材をパワーポイントに貼り付け、自動で切り替わるようにスライドショーの設定を行い、好きな曲と一緒に流すという方法をとれば、簡単で、メッセージビデオに近い形のものを作ることができます。それも難しい場合には、好きな詩の一節を読むだけでもいいかもしれませんし、ただまっすぐに、先生の言葉を心を込めて伝えるだけでも結構です。伝えたいという先生方の強い「本気の想い」があればどのような形であってもかまわないのです(メッセージビデオの作り方はこちら)。
②感想文について
授業の最後に、必ず、児童生徒に授業の感想文を書いてもらいます。「その授業で一番心に残ったことは何でしたか?」「今後、どのように生きていきたいと思いますか?」など、授業を受けて感じたことを文章化することによって自分の気持ちを整理してもらって、授業を終了します。
●最後に
WYSH教育の授業の具体例については、事例集をご覧ください。事例集には、通常の研修会では時間制約のため説明できていない部分も含めて詳細に記載されています。各学校の児童生徒の状況にあわせて、それらの事例を参考に各校でWYSH教育を実施してください。
事例集には、各テーマについての指導案や指導上の注意点が詳細に記載されています。また、それらの授業で開発した、①レンタル可能な教材、②無料でダウンロードできる教材、③購入できる教材など、先生方の授業準備の労力を少しでも軽減できるような教材が準備されています。
1人でも多くの先生方によってWYSH教育が実施され、日本中のたくさんの子どもたちの間に本当の笑顔が広がることを願っています。
(注:本文は、WYSH教育事例3から、若干修正の上再掲したものです。 )
引用文献
[1]木原雅子他.厚生労働省「HIV感染症の動向と予防モデルの開発・普及に関する社会疫学研究班」平成14年度報告書
[2]木原雅子他「地方自治体における青少年エイズ対策/教育ガイドラインー若者の性行動の現状とWYSHプロジェクトの経験」、厚生労働省研究班2006年度報告書
[3]木原雅子「10代の性行動と日本社会―そしてWYSH教育の視点」(ミネルヴァ書房)2006年
[4]木原雅子他.「現代にはびこる”見えない精神的暴力”-その拝啓としての人間的つながりの希薄化」.現代のエスプリ 511号、2010年
[5]木原雅子他.「社会と健康を科学するパブリックヘルス(2)ソシオ・エピデミオロジー(社会疫学)-その方法論的特徴と実践例について」. 日本公衆衛生雑誌、2011年
[6]木原雅子.「初等教育におけるWYSH教育の可能性について」.初等教育資料(文部科学省教育課程課/幼児教育課編) 823号, 2007年