小松菜は毎年植えているが,殺虫剤を使用しないため,ほとんど虫に食われてしまうことは以前紹介した.戦後,野菜を自家用に栽培していた頃は,水で練った赤土で虫を絡めて退治していたことを思い出した.そこまで遡って虫退治に精を出す元気はない.結局,虫が成長する時期は栽培しないほうがよいという当り前の結論に達した.虫がいなくなる時期に,栽培できる野菜はないか調べてみると「冬菜」が寒さに強いということで種が販売されていた.しかし,「冬菜」は,小松菜の出回る時期によって呼び名が変わっただけと聞いていたので,手持ちの小松菜の種を使って発芽させ室内で栽培を試みた.
小松菜は寒さに強く,霜にあたると味がよくなるが,厳寒時にはビニールトンネルを用いた方がよいと書かれている.書かれている内容が東京の気候を前提にしているとすれば,熊本には当てはまらないと思い,熊本と東京の1月の最低気温を比べてみた.次表に示すように,最低気温が氷点下(零℃を含む)になる日は東京より圧倒的に多く,−4℃を下回る年は過去10年間のうち,5年間に達していることが分かった.毎冬,水分の多い植物が煮しめたようになって枯れてしまうのを経験しているが,あらためて納得した次第である.
熊本での冬季屋外栽培は手間が掛かりそうなので,室内(二階廊下の端,西向き窓際,ペチュニアと同じ場所)で栽培した.結果的には,室内で順調に生育し実用的であることが分かった.種から植えた一株をそのまま放置していたら,巨大な小松菜に成長した(40センチ以上,3月1日).
もはや固くて食えないというので,水だけ与え続けていたら3月20日過ぎには花が咲き始め,30日には丈は1.2メートルに達した.下図,左は屋内,右は受粉のため,外に出してやった際の画像である.
根本の茎の直径2.9センチ 用度は粒状培養土
小松菜の用土は,円柱状の「粒状腐葉土」を用い,少量の化学肥料のみで育てた.比較のため,屋外放置状態で育てた小松菜(半放置状態)は,完全に枯れることはなかったが,開花時丈は室内栽培の半分以下である.今年1〜3月の屋外の気温変化は下図(引用データ)のとおりである.実線は平均(赤は最高,青は最低気温)を表している.この程度の気温変化であれば,寒冷紗を使ってやれば屋外でも栽培できるかもしれない.
資料
熊本県 熊本の気温、降水量、観測所情報(下図の情報源)2017年1〜3月の最低気温,最高気温の推移が図示されている.詳細は引用元を参照されたい.