大会レポート

Winter Challenge Tournament 2024 「柔道記者」育成プロジェクト

本実行委員会では昨年に引き続き、柔道記者を育成する為の「柔道記者」育成プロジェクトを実施した。参加大学の監督を通じて学生に声をかけ、興味を持った4人の学生に、実際に大会を取材してもらい、原稿執筆をしてもらった。

【60kg級入賞者】

1 松永 烈(国士舘大学1年)

2 田中 克輝(天理大学3年)

3 井上 樹弥(帝京大学3年)

3 永田 大和(筑波大学2年)

5 金井 拓真(鹿屋体育大学2年)

5 宮部 真臣(國學院大学2年)

7 鈴木 将太(日本体育大学3年)

7 内山 真雄(国士舘大学1年)

■60kg級(88名)

最軽量級は松永烈が制した。優勝候補筆頭としてマークされる中、初戦は「指導3」による反則、3回戦では「技あり」2つを奪うと、そのままの勢いで決勝戦へと進んだ。対するは準決勝戦までのうち2試合で、10分を超える死闘を制し勝ち上がってきた田中克輝。決勝戦は地元の声援を受けた田中が攻め続け、GS1分44秒、松永は「指導2」と追い込まれる。

しかし、「アウェーになるのは分かっていた。投げて勝つことにこだわった」と松永。積極的に仕掛け続け、GS4分34秒、組み際での足技からの背負投で「技あり」を奪い、決着をつけた。今後は講道館杯優勝、シニアの日本代表を目指す松永に、大きな期待がかかる。

66kg級入賞者】

1 関本 賢太(明治大学3年)

2 工藤 泰輝(東海大学2年)

3 永松 優吾(清和大学2年)

3 住谷 蓮(日本大学2年)

5 川村 虎白(日本体育大学2年)

5 佐藤 尚貴(日本大学2年)

7 平山 舞人(明治大学3年)

7 猪熊 天(帝京大学1年)

66kg級(114名)

66kg級は関本賢太が昨年の60kg級に続き、階級を上げての連覇を果たした。この階級は面白いメンバーが揃っていた。2022年全日本ジュニア優勝者である平山舞人(明治大3年)やケガから復調傾向にある実力者の永松優吾、長年66kg級の実力者を輩出してきた井桁拓海(國學院大3年)、昨年の本大会7位の秋田伯(天理大2年)と佐藤尚貴(日本大2年)、2023年60kg級学生王者の白金宏都(筑波大2年)らがエントリーしており、特に注目されていた。

混戦の中、決勝戦で顔を合わせたのは、関本と工藤泰輝。準決勝戦では、関本は「技あり」を奪われながらも、永松のヘッドディフェンスによる反則負けで、工藤はラスト1秒、小内刈「技あり」で決勝戦へと駒を進めてきた。

決勝戦は工藤が背負投を仕掛ければ、関本は巴投を狙うなど、アグレッシブに技を仕掛け合うも、お互いにポイントはなくGSへ。いつ勝負が決まってもおかしくない展開の末、最後はGS2分21秒、関本の巴投「技あり」で勝敗が決し、この瞬間、2階級制覇、2連覇が決定した。

本来の60kg級で日本一を目指す関本は、経験を積むために今大会は敢えて階級を上げてチャレンジしたという。

「階級を上げてのチャレンジは、自分のためになった。でも準決勝戦で先制されてしまい、不用意にいって詰め切れなかったり自分の得意なところを徹底しきれていなかったりといった反省点が見つかった。減量がきついので普段から管理し、学生チャンピオンを目指して国際派遣に絡んでいけるような選手になりたい」

こう笑顔で語った関本。課題も収穫もあり、大きな経験を得られたようだ。

73kg級入賞者】

1 鎌倉 啓太郎(専修大学1年)

2 花岡 晴琉(筑波大学2年)

3 小田桐 美生(国士舘大学3年)

3 滝本 大翔(東海大学2年)

5 木下 颯王(日本体育大学3年)

5 太田 隆介(日本大学2年)

7 石塚 隼多(明治大学1年)

7 鈴木 孝太朗(帝京大学1年)

73kg級(117名)

73kg級は、昨年の学生優勝大会で体重差47kgの相手を合わせ技「一本」で破り、チームを優勝へと導いた小田桐美生、体重別団体の決勝戦で「一本」を奪いチームの日本一に貢献した花岡晴琉、講道館杯で第一シードの大吉賢(SBC湘南美容クリニック)に勝利を収めた鎌倉啓太郎ら実力者が揃い、どの選手が勝ってもおかしくない混戦が予想された。

そんな激戦階級を制したのは1年生の鎌倉啓太郎だった。鎌倉は、昨年6月に行われたチェコジュニアで、1階級上の81kg級で優勝を果たした実力者。天理大学監督である穴井隆将先生が「頭一つ抜けた存在」と評価している。

鎌倉は自身が得意としている隅返を武器に勝ち進み、準決勝戦では太田隆介(日本大2年)に、わずか1分6秒、隅返による一本勝ちで決勝戦進出。キレのある内股を生かして勝ち上がってきた花岡との決勝戦を迎えた。

決勝戦でも鎌倉は積極的に技を仕掛けるが、なかなか決まらない我慢の展開となる。試合開始1分47秒、先に一つ目の「指導」を受けたものの、攻める姿勢は変わらない。そして2分24秒、スピードのある隅返で「技あり」を奪取。花岡の反撃を許さず、優勝を決めた。

「死んでも勝ってやるという試合ではなく自分の現状把握の試合だった。こういう試合を通して自力をつけたい」

冷静に試合を振り返った鎌倉にとって、今大会の優勝はさらなる目標への通過点。試合後にはすでに次を見据えていた。

「東京都ジュニア、全日本ジュニア、世界ジュニアすべて優勝したい」

笑顔で目標を口にした期待の新星・鎌倉の今後の活躍を期待したい。

81kg級入賞者】

1 重松 弥真斗(桐蔭横浜大学3年)

2 飯田 恒星(法政大学3年)

3 菅谷 佑大(愛知大学2年)

3 中矢 琉斗(東海大学3年)

5 竹内 泰介(天理大学2年)

5 岸田 耕平(東海大学2年)

7 松下 颯太(筑波大学1年)

7 松原 咲人(明治大学2年)

81kg級(99名)

81kg級は重松弥真斗が制した。山場は、小学校から高校まで苦楽を共にした中矢琉斗との準々決勝戦。同志対決に競り勝ち、ライバルの思いも背負って決勝戦と臨んだ。

決勝戦では飯田恒星と対峙。両者左組の相四つ。「知っている選手でイメージはできていた」と話す重松は、落ち着いた試合運びを見せる。相手に隙を与えず攻め続け、残り47秒、一本背負投を思わせる担ぎの入った大外刈を仕掛けると、逃げ場のない飯田はそのまま飛ばされ「技あり」。これが決め手となり、見事な勝利を収めた。

昨年は初の関東学生優勝を果たし、全日本学生にも出場した重松。今大会優勝の勢いそのままに、悲願の学生日本一を目指し、学生最後の1年を駆け抜ける。

90kg級入賞者】

1 徳持 英隼(明治大学3年)

2 宮本 力玖(近畿大学2年)

3 齋五澤 凌生(東海大学1年)

3 四元 羅生(国士舘大学1年)

5 神田 雄志(天理大学3年)

5 金子 竜士(東海大学2年)

7 森山 耀介(筑波大学1年)

7 菊地 鷹(帝京平成大学1年)

90kg級(106名)

106人がエントリーした90kg級は、徳持英隼が勝ち抜いた。

決勝戦で対峙した徳持と宮本力玖は、お互い右組みの相四つ。先に仕掛けたのは宮本。開始1分15秒、内股から小外刈で徳持を倒すも、映像チェックにより、これはポイントにならず。

その後は足技で攻める徳持が徐々に流れをつかんでいくと、苦し紛れの攻撃で体勢を崩す宮本に偽装攻撃の「指導」が入る。そして残り25秒で試合は急展開を迎える。徳持の小外刈が見事に決まって「一本」。勝負は決した。

「階級を上げての試合であったため、この結果は素直に嬉しかった」と話す徳持は、今後の目標として「団体戦、個人戦で優勝」と堂々と語った。

100kg級入賞者】

1 大霜 歩(国士舘大学2年)

2 岩本 賢武(明治大学2年)

3 中山 康(東海大学2年)

3 島田 拓魅(国際武道大学3年)

5 川島 渓太(筑波大学2年)

5 向井 球真(天理大学2年)

7 佐井川 陽瞬(法政大学3年)

7 横手 和輝(国士舘大学1年)

100kg級(85名)

100kg級はシード権を持つ選手が早々に敗退する中、四強に上がったのは大霜歩、川島渓太、岩本賢武、そして向井球真の4人。準決勝戦は2戦ともGSに及ぶ激闘の末、大霜が川島から巴投、岩本が向井から背負投でそれぞれ「技あり」を奪っての優勢勝ちで、決勝戦へと駒を進めた。

迎えた決勝戦は大霜が左、岩本が右のケンカ四つ。序盤は岩本が厳しい組み手でペースをつくり、やや優勢に見えたが、攻め手のない両者に開始36秒、組み合わないとして「指導」が与えられた。

これにより、組み合う状況をつくることに成功した大霜が、徐々に流れを自らのものにしていく。そして試合時間が残り1分に迫ったところで、体落でしぶとく回し切り「技あり」を奪った。このリードを得た後も試合を優位に進めた大霜が、岩本を振り切って優勝を決めた。

大霜は組み合わせを見て「厳しいゾーンに入ったが、ここを勝ち抜けば優勝できると思い挑んだ」と話す。また「最近は練習から調子が良かった」の言葉通り、すべての試合で技によるポイントを奪って優勝している点も見逃せない。

最も印象に残った勝ち方として、豪快な小外刈を決めた準々決勝戦の中山康との試合を挙げ、優勝候補対決を最近習得した技で勝利を収め、自信になったと言う。

「この日の自分に点数をつけるなら優勝できてホッとしている気持ちもありますが、課題も残ったため70点です」

全試合で技によるポイントを奪いながらも、やや辛口の採点を口にした大霜。今後は不要な「指導」を受けてしまったことや寝技の反省点を改善しながら、伝統ある国士舘大学の一員として、団体と個人の両方で全日本学生の優勝を目指す。

100kg超級入賞者】

1 鈴木 太陽(天理大学3年)

2 濵﨑 龍真(日本大学2年)

3 熊谷 諒也(国士舘大学1年)

3 髙田 遼真(東海大学3年)

5 入来 巨助(筑波大学2年)

5 牧野 泰晟(東海大学1年)

7 入来院 大樹(国士舘大学2年)

7 澤谷 魁人(国士舘大学1年)

100kg超級(70名)

最重量級は鈴木太陽が頂点に立った。「優勝しかない」と士気高く挑んだ鈴木は、反則も含めすべて一本勝ちという結果を残した。

「勝つぞ」。前回王者の先輩・酒井晃輝(天理大)に鼓舞され迎えた決勝戦、相手は濵﨑龍真。実力伯仲の試合は長期戦となる。

GSにもつれ膠着状態が続き、両者に疲れが見え始める。2週間前に負傷した肩を試合中に痛めたという鈴木だが、強靭な精神力と仲間の声援が背中を押し、濵﨑に3つ目の「指導」。11分超えの熱戦を制した。

学生最後の年、「自分が軸となってチームで優勝したい」。天理の勝利に欠かせない男はまさにチームの「太陽」。鈴木の負けられない1年が今、始まった。

1.本プロジェクトの趣旨

昨今の柔道人口減少に伴い「柔道」に関する記事をメディア媒体で目にす る機会が減少した。その原因の一つとして、「柔道記者の育成」が出来て いない現状に着目した。そこで、Winter Challenge Tournament 2023 大 会より、学生時代から試合内容や大会結果を文字にする経験を積み、将来 のキャリア形成に役立てて頂きたいと考え、企画実行した。本趣旨に賛同 し、本大会で記者経験を積んだ学生が、将来、柔道記者として広く多くの 方々に柔道の魅力を伝えることができるようになることを切に願う。

2.開催期間

Winter Challenge Tournament 2024 大会 開催期間中(2日間参加必須)

2024年2月17日(土)〜2024年2月18日(日)9:00〜17:00(予定)

3.募集要項

・柔道に関する記事を書くことに興味、関心のある学生

・柔道経験は問わないが、ある程度柔道に関する知識を有する学生

・募集開始より最大 3 名とし、実行委員会で選考する

4.申し込み

大会主管校:穴井(winchatou@gmail.com)にメールにて申し込むこと。

申し込みの際、大学名、氏名を入力すること。(書式は自由)

5.諸経費

交通費・宿泊費は実行委員会で負担いたします。

原稿料として 1 日当たり 1 人\5,000 支払います。(2 日間計¥10,000 支払い)

6.表彰等

優秀作品については、掲載可能な雑誌等への投稿を試みる。 次年度大会プログラムにて、前年度試合結果と共に掲載する。

後援会社(団体)

羽田タートルサービス株式会社

大塚製薬株式会社

伊藤超短波株式会社

ベステラ株式会社

笑顔道整骨院グループ

日本エースサポート株式会社

株式会社アーシャルデザイン

日本BS放送株式会社

ALSOK

センコー株式会社

ミズノ株式会社

株式会社協和電気商会

株式会社さくら開発

天理柔道会

栗田産業株式会社

株式会社興徳クリーナー

建装工業株式会社

フォースナイン株式会社

特定非営利活動法人JUDOs

学校法人天理大学

一般社団法人全日本学生柔道連盟

(一部、昨年実績)