演劇の役割

「おまんじゅうを食べたのは僕じゃないよ。ネズミさんが戸棚のおまんじゅうを食べちゃったの」

ずるい心は誰にでもあります。


それも小さい子どものころから。

「それじゃいけないよ」と子供に教えていくのが、たとえ話や偉人伝、演劇の役割なんですね。

ジョージ・ワシントン

アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンが、お父さんの大切な桜の木を切って正直に告白したお話は、よく知られています。


ただしこの桜の木の逸話は、メイソン・ウィームズ牧師の創作で本当の話ではないようです。


しかし、「自分の子どもが将来みんなから尊敬される立派な人間になってほしい」と願う親にしてみれば、この逸話は重要です。


本当かどうかは二の次なんです。

それが物語や演劇の役割です。

バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2

反面教師

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」には、スポーツ賭博で大金持ちになったビフが支配する【荒廃した世界】が描かれています。


これは「ワシントンの桜の木」の逆説です。


「ワシントンのような正直な人が治(おさ)める世の中と、ビフのような人が君臨する世界は、こんなに変わっちゃうんだよ。正直な人になろうね」という暗示なんですね。

だけど現実は・・・

だからこそ、現実に国のトップに立つアメリカ大統領などのふるまいはとても大切なんです。


「だって現実は!」


と子供たちに反論されてしまうからです。


そしてそれも演劇の役割です。


ブレヒトは「セチュアンの善人」などで理想と現実について語っています。


セチュアンの善人について書いた、ワークショップのブログ。【無料です】


演劇には、理想だけでなく、現実も見つめて、「いい世の中にしたいよね。どうすればいいのかな?」とみんなに考えてもらうきっかけになる役割もあるんじゃないかと思ってます。