宇都宮

微分幾何学

研究集会2024

宇都宮微分幾何学研究集会2024

日時 2024年 11月16日(土) 13:30 - 17:00

       11月17日(日)    9:30 - 17:00

会場 宇都宮大学 峰キャンパス 8号館 C棟2階 大会議室  D棟1階 8D11教室


講演予定者(敬称略,五十音順)

上野 龍(北海道大学) 

大野 晋司(日本大学)

梶ヶ谷 徹(東京理科大学)

岸田 陸玖(東京科学大学)

北川 義久(宇都宮大学)

杉本 恭司(東京理科大学)

出口 仁理(東京都立大学)


プログラム

11月16日(土) 

13:30 - 14:30    杉本 恭司    「双曲随伴軌道として実現される対称空間の対蹠集合」

14:45 - 15:45     上野 龍  恒等写像の統計2重調和性

16:00 - 17:00    北川 義久 3次元球面内の平坦トーラスに関する直径予想とCliffordトーラスの剛性問題 (1)


11月17日(日) 

 9:30 - 10:30     岸田 陸玖 光的超曲面における marginally trapped な部分多様体の体積について

10:45 - 11:45 出口 仁理 有向旗多様体の極大対蹠集合

13:30 - 14:30    大野 晋司 Hermann作用の軌道の部分多様体としての性質について

14:45 - 15:45     梶ヶ谷 徹 コンパクト対称空間内の極小超曲面の第1ベッチ数によるモース指数評価

16:00 - 17:00    北川 義久     3次元球面内の平坦トーラスに関する直径予想とCliffordトーラスの剛性問題 (2)

アブストラクトこちらでも確認できます)

統計多様体の等積構造を表すチェビシェフベクトル場と呼ばれる重要なベクトル場が統計多様体の幾何学において存在する.統計多様体間の写像に対して統計$2$重調和写像が変分原理によって誘導される. 統計多様体からリーマン多様体への恒等写像のテンション場は,チェビシェフベクトル場の定数倍に等しいことが分かった. 本稿ではこの恒等写像の統計$2$重調和性について紹介する. 


コンパクト既約対称空間への超極作用は、いくつかの余等質性1の場合の例外を除いてHermann作用と軌道同値になる。Hermann作用はコンパクト対称空間の等長変換群の対称部分群による作用である。Hermann作用から定まるLie代数の二つの対合が可換な場合には井川治氏によって軌道の部分多様体としての性質が詳細に調べられている。この講演では対合が可換でない場合にも同様の結果が得られることを紹介する。 


コンパクト半単純対称空間内の不安定な極小超曲面のモース指数が超曲面の第1ベッチ数の定数倍により下から評価できることを示す. より一般には, 正のリッチ曲率を持つ閉リーマン多様体内の閉極小超曲面に対して同様の評価が成り立つであろうというSchoen, Marques, Nevesらによる予想があり, 我々の結果はその予想に部分的な解答を与える. 指数評価の証明は, Savo および Ambrozio-Carlotto-Sharp の手法に触発されたものであるが, 彼らのアプローチは, ユークリッド空間への等長はめ込みを用いた一種の「平均化法」に基づく. 我々の証明における1つの重要な観察は, この手法がコンパクト半単純リーマン対称空間への等長はめ込みを考えることで自然に拡張されるという点にある. 講演では, この方法がどのように機能するか説明する. 本講演の内容は國川慶太氏(徳島大学)との共同研究の内容に基づく. 


$n+2$ 次元の Lorentz 多様体の余次元 $2$ の部分多様体で,平均曲率ベクトル場が光的であるとき,その部分多様体は marginally trapped という.本講演では,marginally trapped な部分多様体の光的な方向に関する体積の変分について着目し,体積の極大性が成立するための条件について説明する.また,Lorentz 多様体に対する光的エネルギー条件との関連性について説明する. 


$3$次元単位球面 $S^3$ 内の平坦トーラスの外的直径は円周率 $¥pi$ に等しいであろうという未解決の予想があり,直径予想とよばれている.本講演では,この予想の背景にある Cliffordトーラスの剛性問題,およびこの予想を証明するためのアイデアについて説明し,最近の研究(榎本一之氏・梅原雅顕氏との共同研究)により,この予想が肯定的に解決できたことを報告する. 


対称空間の部分集合が対蹠集合であるとは, その部分集合の任意の二点が互いの点対称に関して対蹠的であることをいう. Riemann対称空間の対蹠集合に関して, 多くの興味深い研究がなされてきた. 本講演では, 半単純Lie群の双曲随伴軌道として実現される対称空間, 及びより広いクラスの対称空間である擬Riemann対称R空間の対蹠集合について得られた結果を紹介する.


リンク 

世話人:田崎博之(東京都立大学・筑波大学),酒井高司(東京都立大学),佐々木優(宇都宮大学)

問い合わせ先:y_sasaki at cc.utsunomiya-u.ac.jp (佐々木優,at を@に置き換えてください)

本研究集会は,以下の研究費から援助を受けて行います.

・科学研究費 基盤研究(C) No. 21K03218「対蹠集合の研究およびその拡張と応用」(研究代表者:田崎 博之)

・科学研究費 基盤研究(C) No. 21K03250「対称空間の一般化およびその極地と対蹠集合の幾何学的研究」(研究代表者:酒井 高司)

・科学研究費 若手研究 No. 23K12980「全測地的部分多様体を用いた例外型対称空間の極大対蹠集合の分類・構成」(研究代表者:佐々木 優)