自然界における生命現象の化学原理を理解し、社会問題の解決に貢献することを目的としています。特に微生物や植物が生産する生物活性物質の代謝経路に着目することで、有機合成化学反応では達成困難な化学変換を触媒する新規酵素の発見し、詳細な反応機構の解明することに取り組んでいます。また触媒原理に基づき、天然酵素の触媒機能を凌駕する実用的な生体触媒を開発することを目指しています。
微生物や植物は多様な化学構造を持つ天然物を生産します。私たちは生物活性と化学構造がユニークな天然物に着目し、新規生合成経路の探索を行っています。バイオインフォマティクスや有機化学を基盤とし、未知の酵素や新形式の化学反応の発見に取り組み、生物の多様な代謝能力を解明します。
最近の研究例:
テトラピロール二次代謝経路の解明 J. Am. Chem. Soc. 145, 9834-9839 (2023)
ニトロシクロプロパン化酵素の発見 J. Am. Chem. Soc. 143, 18413- 18418 (2021)
酵素(生体触媒)を利用した化学合成は、高い選択性と環境調和性を兼ね備えた物質生産手法として注目されています。しかし、酵素の反応性を自在に制御するためには、触媒メカニズムを詳細に理解することが不可欠です。私たちは、創薬や実用的な生体触媒の開発といった応用を視野に入れ、これまで未開拓であったラジカルを介する反応や多核金属錯体が関与する反応の機構解明に取り組んでいます。
最近の研究例:
シクロプロパン化酵素の反応機構解析 J. Am. Chem. Soc. 145, 24210-24217 (2023)
ノルリグナン転位反応酵素の解析 J. Am. Chem. Soc. 145, 21966-21973 (2023)
アジリジン化酵素の反応機構解析 J. Am. Chem. Soc. 144, 21512-21520 (2022)