【触刺激を利用した情報提示技術】
私たち生体計測班では、視覚や聴覚に頼らない新たな情報伝達の手段として、触覚を利用しています。 人は通常、静止しているときも絶えず震えてバランスを取っています。しかしながらこれらの機能は、加齢や暗所、傾斜地などで不安定になることが知られており、解決には身体の姿勢維持・機能向上の支援技術が必要とされます。例えば、視覚聴覚を介した言語的表現による支援技術などは提示情報の解釈が完全に当事者個人に任されるため冗長で、無用な情報まで含みます。 私たちの研究では、身体の特定の部位に適切なタイミングで触刺激を提示することで身体の動きを変調させ、姿勢維持の改善、向上を目指しています。
ヒトの姿勢制御機能は、視覚・平衡感覚・体性感覚の感覚入力と中枢神経系によって絶妙に制御される重要な機能です。よって、中枢神経系に入力する情報に介入すれば、姿勢制御機能の改善が見込まれます。内田研究室では、頸部に仮現運動を用いた振動刺激を提示することで、重心動揺(COP)軌跡に変化がないかを研究しています。
また、ヒトの身体には緊張時や寒冷時などに震え(振戦)が生じることが知られています。そのような震えは、動作の正確性を欠く要因となります。内田研究室では、外部から振動刺激を提示することで、震えを抑制することを目指して研究を行っています。
さらに、指先に触刺激を提示することにより身体動揺の抑制・身体のバランス制御を実現させることも研究中です。本研究により、ヒトの姿勢安定性を向上させる実用的なウェアラブル機器の開発に寄与することが期待されます。