【随意運動・運動学習のゆらぎ解析】
ヒトの随意運動とはヒトの意思によって遂行される運動で,認知的制御と身体的制御により制御されています。 認知的制御は意識的な運動に用いられる制御であり,身体的制御は無意識的な運動に用いられる制御になります。 ヒトはこれらの運動機構制御を組み合わせて目的とする動作を行いますが、運動している本人でさえ諸動作を行う際に何れの運動制御機構を用いているか評価することは難しいことです。 私たちの研究では、同期タッピング課題と運筆課題を組み合わせた2重課題実験系を構築し、この実験系で得られる時系列データをゆらぎ解析することにより運筆動作の習熟度を定量評価しています。
ピック・アンド・プレース動作はワークを把持し,移動させ,所定の位置で離すという人間の日常においてよく見られる一般的な随意運動の一つです。 ピック・アンド・プレース動作の一つである豆つかみはリハビリテーションや高齢者施設などで使われており,脳の活性化により認知症予防や後遺症回復のトレーニングに効果があるとされています。 現在の主なピック・アンド・プレース動作の評価方法は回数や時間ベースとなっており,被験者の意図により評価結果が変わってしまいます。 そこで私たちの本研究では,同期タッピング課題とピック・アンド・プレース動作とを組み合わせた二重課題法を用いてピック・アンド・プレース動作のゆらぎを抽出,被験者の意図が反映されない動作習熟の評価方法を検討しています。