「いばらき原発県民投票の会」は、東海第二原発再稼働の是非を問う県民投票を実現させるために、2回目の直接請求に向けた活動を始めています。1回目の直接請求(2020年)を経験したつくば市の受任者ら有志は、2回目の直接請求に向けた行動をつくば市で展開するために地域支部として「つくば原発県民投票の会」を発足させました。早ければ2024年1月に開始される「署名集め」に向けて、複数の切り口から東海第二原発の再稼働に関する問題提起を行い、「県民投票に向けた直接請求への署名」という形で皆様の声を集約していきたいと考えています。
呼びかけことば
原発の運転期間制限の撤廃を含む「GX 脱炭素電源法」が成立するなど、日本の原発回帰が鮮明になりました。2024年に安全工事が完了する予定の東海第二原発は、再稼働に向けて着実に前進しています。そもそも核廃棄物処理の問題や原発の安全性に関する問題は、「気候変動」や「電気代高騰」を理由とする政治判断で解決されるものではありません。また、東海第二原発から 30km圏内に住む約 91万人の「実効性ある避難計画」と引き換えに再稼働が容認されるという考え方が行政の共通理解になっているようですが、福島第一原発事故が示したように、原発の事故に対する「避難」とは「生活を失うこと」にほかなりません。
「いばらき原発県民投票の会」は、東海第二原発の再稼働の是非を問う県民投票を実現させるために、2回目の「県民投票条例案の直接請求」に向けた活動を始めています。つくば市の前回受任者ら有志は、同会の活動を「東海第二原発を再稼働させないための残り少ない手段」と位置付け、2回目の直接請求に向けた行動をつくば市で展開するために、地域支部として動く「つくば原発県民投票の会」を発足させました。1回目の直接請求 (2020年)で「県民投票条例案」は県議会で否決されています。自民党一強が続く県議会に対して同じ内容で2回目の直接請求をする意義はどこにあるのでしょうか。私たちは次のように考えています。
意義1. 直接請求は地方自治法に基づく法的拘束力を持つ市民運動であり、県議会・県知事は法に沿った公式な対応を取らなくてはならない。これは「なし崩し的な再稼働」のブレーキになる。
意義2. 1回目の直接請求を受けて、再稼働の是非の判断について大井川知事は「安全性の検証」、「実効性のある避難計画の策定」、「県民/周辺市町村/県議会の意見聴取」が必要と表明した。また、請求内容である「県民投票条例案」を否決した県議会の理屈は、「県民投票をする/しないの判断は時期尚早である」というものであった。2回目の直接請求を行えば、県知事と県議会のこういった姿勢の追及が可能となる。さらに、たとえ請求内容が再び否決されるとしても、両者にそれなりの代替案を提示させる圧力となる。
意義3. 再稼働の承認権が与えられている6市村の1つである水戸市の高橋市長は「実効性ある避難計画がないまま『再稼働』の是非を判断することはできない」、「実効性ある避難計画ができたとしても、市民が『逃げること=生活を失うこと』を拒否すれば市民に寄り添った判断をしなくてはならない」という慎重姿勢を崩していない。2回目の直接請求は、水戸市の世論と高橋市長の政治判断に良い影響を与える。
原発への関心が薄れている今、再度の県民投票運動を通じて、再稼働が差し迫っていること、そして再稼働によって我々はどのようなリスクを負うことになるのか、県民に広く周知する必要があります。意思表示をする場としての「県民投票」のために「署名」をする機会を提供することは、原発再稼働を「自分事」として考える県民を一人でも多く増やすことにつながります。県民投票運動は、潜在的にある東海第二原発再稼働反対の世論を盛り上げる強力な手段になるはずです。「つくば原発県民投票の会」は、早ければ2024年1月に開始される「署名集め」に向けて、複数の切り口から東海第二原発の再稼働に関する問題提起を行い、「県民投票に向けた直接請求への署名」という形で皆様の声を集約していきたいと考えています。
2回目の直接請求について
1「県民投票」を求める直接請求について
・ 「県民投票」とは何かの案件について(例えば「再稼働」の賛否)、県下の有権者に投票で意思を聞く制度である。
・ これを実施する方法として、県民が県民投票実施の条例制定を直接請求するやり方がある。直接請求は地方自治法に基づく法的拘束力を持つ市民運動である。
・ 「県民投票」を求める直接請求とは次のようなものである。
① 県の有権者2%(約5万人)以上の署名を集める。署名期間は2カ月。
② 各自治体の選挙管理委員会が署名の有効性を審査する。
③ 請求代表者は審査済の署名簿を添えて条例案を知事に提出する。
④ 知事は、自分の意見書と共に、条例案を県議会に提案する。
⑤ 県議会で審議、採択されれば「県民投票」が実施される。
・ 今回の条例案の内容は、「東海第二発電所の再稼働」への賛否を問う県民投票を実施するというものである(2020年の1回目の直接請求と同じ)。
・ 住民投票の結果は、首長(や議会)の意思決定に法的な拘束力はないが、これまでの住民投票では、多くの場合結果が政策判断に反映されている。
・ 県議会は2020年の時否決したが、今回も否決するとなれば、何らかの形で県民の意思を汲み取る施策が必要となると思われる。
2「いばらき原発県民投票の会」の活動について
・ いばらき原発県民投票の会自身は、「県民投票」の実現を目指した活動をしており、「再稼働」の賛否に関する主張はしていない。しかし、いろいろな団体が自らの意図で「県民投票」運動に参加することは否定しないし、歓迎している。
・ いばらき原発県民投票の会は、15万筆の署名を目指している(前回は9万筆)。そのためには、署名集めの協力者(受任者)を事前に約6000人(前回は3500人)確保する必要がある。
・ もし、2024年4月に署名活動が始まれば、2024年9月に署名簿と条例案ともに知事へ直接請求することになる(2024年9月に東海第二原発の安全工事が終了する予定、その後実質的な再稼働にあたる試運転をするとされる)。