概要
brief summary
心地よくてカワイイデザインの分析 ~無意識に感じる心地よいデザインの生成を目指して~
心地よくてカワイイデザインの分析 ~無意識に感じる心地よいデザインの生成を目指して~
多くの人には、惹きつけられたり魅了されたりするものがある。本研究は、人間の感性を科学的に探究し、現代社会の諸問題に挑むことを目指したものである。多くの人々が惹き付けられるものに、カワイイがある。カワイイという言葉を発する人は、その対象を見て熟考して言うのではなく、見たり手に取ったりした瞬間に言うことが多い。主観的な感性であることから感じ方に個人差が大きいと思われるが、国境を越えて海外などにおいてもカワイイが共有されている。このように、多くの人々がカワイイに魅了されていることから、カワイイの本質を探究することは、人の感性を知る上で重要であると考えられる。
そこで本研究では、カワイイデザインの何に惹きつけられるのかを明らかにすることを目的とし、本論文ではカワイイらしさの特徴について仮説検証を行った。本研究では、このカワイイの特徴の根底が、デザイン画像のパワースペクトル(デザインの濃淡が持つ変化の総量)にあるのではないかという仮説を立てた。この仮説を検証するため、その画像のパワースペクトルは変えずに、画像の周波数領域における位相が異なる画像を多数生成し、それらが元の画像と同じカワイさを有するかどうかを、目視による主観的な判断によって行った。複雑なデザインから作成されたサロゲートデザインは、オリジナルデザインに含まれる模様が完全にくずれてしまったため、オリジナルデザインとの比較が適切に行うことができなかった。幾何学的、周期的なデザインに対しては、周期的な構造の雰囲気は維持しつつ、オリジナルとは違った可愛さを有するデザインが複数枚できたことを確認した。このことから、パワースペクトルでは表現できない要素によって、カワイイと感じているのではないかと考えられる。