私が研究をするのに大切だと思っていること
what I consider important for research work

研究をするにあたって、私は下記のことがとても大切だと思っています。

小学校から大学3年生くらいまでの私達の勉強の仕方は、多少の違いはありますが、授業という教えてもらう時間があって、教えてくれる人がいて、教えてもらう内容が決まっていて、教えてもらった内容を理解しているかどうかを確かめるための答えがある問題を解くといった感じです。また、短い時間で正しい答えを出すことも求められてきました。

しかし、研究は勉強と随分と違います。研究では問題が明らかな場合もありますが、問題そのものがはっきりしない場合もあります。そのような場合は、自分で問題を見つけなければなりません。もしくは、問題を設定しなければなりません。さらに、問題が明らかだったとしても、どのようにその問題を解けば良いかが多くの場合分かりません。問題がそんな感じではっきりしないので、答えもはっきりしません。これは、ある意味、答えが沢山あるような感じです。そんな状態で私たちが出来ることは、正解を探すことではなく、一番良い答えを見つけることです。でも、一番良い答えは、人によっても違うでしょうし、置かれた状況によっても違ってきます。究極的に言えば、重要だと思う問題や一番良いと思う答えは、自分の美意識や好奇心によって決まってくるでしょう。問題も分からず、答えも分からず、取り組み方も分からず、それでも絶えず何かを考えて取り組み続けるのが研究だと思います。だからこそ、自分で感じたり思いついたり考えたりしたことは、どんな些細なことでもとても大切になります。

上述したように、小学校から大学3年生くらいまでは、学ぶ内容や範囲が決まっているので、出題される問題はある程度決まっています。研究を始めると、学ぶ内容も範囲も物凄く広くなります。私たちはどんなに勉強したとしても、知らないことや分からないことなんて無くなりません。ですから、知らないことや分からないことがあっても、それをあまり気にしないで欲しいと思っています。研究をする際、子供や素人のように素直に自由に感じたり考えたりしながら、専門的な知識や技術を持ったプロのように取り組むことが大切だと思っています。実は、私たちが持っている色んな知識や経験が先入観となって、知らず知らずのうちに大切な素直なアイデアを否定していることがあります。ですから、知らないことや分からないことがあることは、決して悪いことばかりではありません。現実的なことを思い描く想像力と非現実的なことを思い描く妄想力は知識よりも大切で、疑問を持ち続けることが大切だと思います。

しかし、知らないことや分からないことがあったとき、それらをほったらかしにするのは良くありません。やはり、それらのことを調べるべきです。今の時代、インターネットで調べたら、大抵のことはすぐに見つけられます。インターネットを活用することは悪いことではありません。実際、私も、インターネットで頻繁にものを調べます。しかし、調べたいことが見つかっただけで、満足してはいけません。その記事を書いた人は、どうしてそれが正しいと思って書いたのか、その理由や根拠を自分で考えてみてください。自分で考えたことが最初からまとまっていなくても、科学的・論理的でなくても構いません。失敗しながら学んでいけば良いと思います。何より、自分で考えることが大切です。考えていると、いろんな疑問が浮かびます。すぐに答えが見つからなくても良いのです。自分の「なぜ」を温め続けることが大切です。