質問することについて(自分が分からないことや知りたいことがあったとき)
about asking questions (when there is something you do not understand or you want to know)

自分が分からないことを人に聞くのは気が引けると感じたり、苦痛に感じたりする人は多いでしょう。そう感じるのには、2つ理由があると私は思っています。1つは、人に聞くという行為自体を恥ずかしいと感じている。もう1つは、自分の質問には聞く価値なんてないと、自分で勝手に過小評価している。でも、自分一人で何でも解決できる人なんていません。ですから私は、「分からないことがあるので教えてください」と人に言える力(勇気と言ってもいいかもしれません)を身に付けて欲しいと考えています。1970年にフィールズ賞を受賞された広中 平祐先生は、「質問に優劣なんかない。答えにはあるけれど。」とおっしゃったそうです。湧き上がってきた疑問が分かったなら、大きな自信になります。ですから、色々と考えたり調べたりしても分からないときは、気軽に、そして自信を持って質問してください。その際は、『僕はこんなふうに考えたけれど、良く分からなかったとか、『ここまでは分かったと思うが、ここから先が分からない』と言った感じで質問すると良いと思っています。質問された側が、あなたの分からない点が良く理解できるからです。

私は西オーストラリア大学 数学科 Ph.D. を取りました。私を主に指導してくれたのは、Alistair I. Mees先生とKevin Judd先生です。二人の師匠は私の愚問や奇問を馬鹿にすることなく、しっかりと話を聞いて向き合ってくれました。彼らの説明を聞いて、私なりに考えて、それでも分からないことや気になることがあったときは何度も質問しました。本当に、根気よく説明したり議論したりしてくれました。私はまだまだ師匠達の域には到達しませんが、出来る限り彼らのように対応したいと思っています。