私の研究は「データ解析」です。私は、データ解析とは現実世界で起こる様々な現象を対象にした『数学』の応用だと思っています。「数学は過去の積み重ねが大事である」とか「積み重ねが無いと数学は出来ない」と言われます。しかし、数学をやるのに、あれもこれも全て出来る必要はないと思っていますし、そもそも全て出来るなんて無理だと思っています。一言で数学と言っても、数学の中身は膨大です。分からないことや知らないことがあって当然です。必要な数学が出てきたら、その都度、それを探しに行って、それを理解すれば良いと思います。しかし、その数学に関することすら、厳密に理解することは並大抵のことではありません。厳密に理解することが出来れば良いですが、それが無理でも、必要となる数学のイメージを正しく持つことが大切だと思っています。そして、いくつものイメージをつなげていくことで、新しいアイデアが生まれると思っています。
さらに、適切な質問を相手に問いかけ、その答えの意味を理解する能力は、データ解析にとって、とても大切です。自分が知りたいことに対して、どんなデータが適切なのか、どのような分析方法が適切なのか、得られた結果をどのように判断すべきか、得られた結果と自分の判断の意味を、どうすれば相手に分かりやすく伝えられるかを考えることは、とても重要です。数学が苦手でも、このような能力を磨けば、立派なデータ解析ができると思います。