ちくわ払い 

in the 図書館

足音は迫っている。


今日オレは図書館に来た。

「すいません、本貸してください。」

「一括ですか?リボですか?」

図書館の職員は言った。

「一括で。」

「すいません、一括払いは対応していないんです。」

「あ、そうなんですね。」

「じゃあ、リボ払いで。」

「すいません、リボ払いは対応していないんです。」

「じゃあ、何払いなら対応してるんですか。」

「ちくわ払い、なら。」

「えっ。ちくわ払いって、法律で禁止されているのでは。」

「ああ、そうかもしれません。」

職員は申し訳なさそうに話している。

「分かりました。私も偶然、いやあ、偶然。ちくわを持っています。」

「それは良かった。では、ちくわ払いのリボルビングで。」

「ちょっと待ってください。リボ払いできるんですか。」

「ええ、出来ますよ。」

「話が違うじゃないですか。それならリボ払いが良いです。」

「でも、ちくわ払いをして下さるなら、”Happiness”も付けますよ。」

「えっ!じゃあちくわ払いで。」

「かしこまり!」

しかしそこに足音が迫る。

突如、何者かがザッザッと入ってきた。

「!!」

「警察だ!動くな!!」

「ちくわ払いをした罪で、お前らを逮捕する!」

「ちくしょう!でも、ちくわを分けてあげるから、許してくれませんか?」

「そんなことで国家権力が揺らぐわけが・・・。許そう!ああ!許してやる!」

「「やったー!!」」

しかしそこに足音が迫る迫る。

さらに何者かが入ってきた。

「警察だ!!逮捕する!!」

「うわー!今度こそ捕まってしまう!でも、ちくわ分けてあげると・・・?」

「許そう!許してやろうとも!ちくわをくれるなら!」



それからしばらく、みんなでちくわを食べていた。

しかし。


足音は迫っている。


699文字

2023年11月2日執筆

黒木チクワブ