大阪大学三浦研究室・朝日新聞社共同調査(阪大朝日調査)は,2025年2月から実施されている有権者調査です.2025年12月までに,12回の調査が行われています.
当初の目的は,2025年7月の参院選を,今後の日本の政治と社会のかたちを左右する重大な転換点と位置づけ,それに向けた人心の変動を観察することでした.与党が過半数を維持できなければ,現政権の求心力は大きく低下し,政権交代や連立再編が現実味を帯びる.一方,右派勢力が議席を伸ばせば,移民政策や教育,家族制度などに対する政治の姿勢が大きく右傾化する可能性がある.また,物価高や子育て支援,年金・医療制度といった暮らしに直結する政策も,どの党が主導権を握るかで方向性が変わります.その意味で,政権の命運だけでなく,日本社会の価値観や制度の枠組みそのものが問われる選挙でした.そのために,この選挙に対する有権者の意識の変化を記録することを目的として11回にわたるパネル調査を実施しました.まさにこうした時期だからこそ,このような調査が重要な意味を持つと考えたからです.
実際,2025年7月20日投開票の参院選では,自民・公明の連立与党が参議院全体で過半数を割り込みました.石破首相は続投の意向を示したものの,衆参両院で少数与党となったことで、国会運営や政策形成はこれまで以上に他党との協議を前提とする局面に入り,政局は一段と流動化しました.その後,2025年10月には公明党が連立を離脱し,石破内閣は総辞職,高市首相が誕生して,自民党は維新との連立・協力枠組みに移行しました.
こうした変化を踏まえ,選挙後の政治環境の変化が有権者の見通しや態度にどう反映されるかを捉えるため,本調査は参院選後も継続することになりました.
本調査は,Web調査会社やアンケートモニターの登録者の方々を対象にして協力を依頼し,データを収集しています.その際,性別・年代・居住地域等についてはなるべく現在の人口統計に近づけるように配慮はしましたが,一般的な社会調査で行われる「無作為抽出」を行っていませんので,「母集団(すなわち日本の有権者)を代表しうる標本」を確保できているわけではありません.一方で,この調査の最大の特徴は,2025年2月から5月にかけて募集した方々に,その後も継続してご協力いただいていることです.つまり,一般的な社会調査のデータが,社会全体の似姿を再現し,その変動を観察するのに優れたデータであるのに対し,この調査は,個人の考え方の変化を観察するのに優れたデータだと言えます.繰り返し調査にご協力くださった皆様に心から御礼申し上げます.
本サイトは,本調査のデータを,実施主体である私たちだけではなく,多くの方々に役立てていただくために,広く公開し,主として学術研究に用いていただくことを目的として開設しました.どなたでも無料でダウンロードしていただけますが,ご利用になる場合は以下の条件にご同意いただいたものとみなします.
利用は無償です.
利用目的にかかわらず,利用前に,利用者名・所属,利用目的,利用予定媒体・形式を連絡先までメールでお知らせください.
報道・商業利用・その他の非学術目的の場合,内容によっては,利用をお断りする場合があります.
利用時には,「大阪大学三浦研究室・朝日新聞社 共同調査」とこのサイトのURLを出典として明記してください.
データの内容を改変した上での再配布はご遠慮ください.
個人が特定される情報は含まれておらず,そのような利用も発生しません.
パネルサンプルプロバイダPureSpectrumを介していくつかのサプライヤー(Web調査会社やアンケートサイト)の登録者から回答を得ています.サプライヤー情報はデータの supplier 列に記載されています.
回答者IDはデータの PSID に記載されています.これを使って各調査回の回答を紐付けることができます.
各調査回にPureSpectrumで(つまり私たちの調査票に回答者が流入する前に)性別・年齢・居住地の郵便番号を聞いています.より確実に本人を同定したい場合は,これらの異同を確認することも可能です.朝日新聞社所収記事の分析では,この照合は行っていません.
各調査回に関する詳細は以下のスプレッドシートをご覧下さい.
以下からそれぞれの調査回の
ローデータ(2025*SurveyDatFull.csv, UTF-8)
変数リスト(2025*VarList.csv, Shift-JIS)
調査票(2025*QualtricsSurvey.pdf)
が格納されているGoogle Driveにアクセスできます.すべてのファイルを圧縮した The UOsaka-Asahi Survey.zip もあります.
※Qualtricsの調査票フォーマット(*.qsf)はリクエストベースで提供可能です.
※2025/12/25 本提供データとマテリアルを活用するプロセスを丁寧に解説した記事が@bob3bob3さんによって公開されました.是非ご覧下さい.
本調査は,大阪大学大学院人間科学研究科 行動学系研究倫理委員会の承認(承認番号:HB024-159)を受けて実施されています.調査は,研究倫理および個人情報保護に十分配慮した上で設計・運用されています.
また,本調査は大阪大学三浦研究室と朝日新聞社による共同実施であり,主に朝日新聞社の資金提供を受けて行われ,加えて,三浦が研究代表者を務める科研費(課題番号:23K22347)の補助も受けています.調査の設計および分析には,両実施主体が関与しています.
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