消費税に関する考察
消費税に関する考察
1.授業料は消費税の対象か?
学習塾等の授業料(国税庁)
【照会要旨】
学習塾、英会話教室、自動車教習所、各種のカルチャースクール等の入学金等は、課税の対象になるのでしょうか。
【回答要旨】
学習塾、英会話教室、自動車教習所、各種のカルチャースクール等、学習塾やけいこごと塾(茶道、ピアノ、剣道、水泳等)は、一般的には学校教育法上の各種学校とはなっていないと認められることから、当該塾等の入学金、授業料等は課税の対象となります。
なお、これらの塾等であっても、学校教育法第134条第1項の各種学校に該当し、年間授業時間数等一定の要件を満たすものに係る入学金、授業料等は非課税となります(法別表第二11ハ)。
2.非収益事業と消費税
以下の3つの記述からは、消費税は法人税と異なり、収益事業か否かには無関係で、提供する商品やサービスに対価が認められれば課税される可能性があると読み取れます。
公益法人等の申告単位(国税庁)
(以下抜粋)公益法人等の非収益事業から生じた所得には法人税は課税されませんが、消費税においては、非収益事業に属する資産の譲渡等を行った場合であっても、それが国内における課税資産の譲渡等である限り、事業者である公益法人等が行ったものですから、課税の対象となります(法4まる1)。
(以下抜粋)非営利型法人といえど、消費税については株式会社等と同じ基準で判断されます。
行っている事業が収益事業であるか非収益事業であるかは関係ありません。
よって、法人税の申告納税義務はないけれども消費税の申告納税義務はある法人も多く存在します。
(注)仕入税額控除は、消費税を払う側を対象とした制度である。通常、会費や入会金には消費税は含まれないので、この制度は適用できない。
しかし、名目は会費でも、実質そうでない場合もあるので注意。
(以下抜粋)その団体の業務運営に必要な通常会費については、一般的には対価関係がありませんので、同業者団体や組合などは資産の譲渡等の対価に当たらないものとして取り扱って差し支えないこととされており、この場合には、その構成員においてはその通常会費は課税仕入れとなりません。
(注)名目が会費等とされている場合であっても、それが出版物の購読料、映画・演劇等の入場料、職員の研修費、受講料、施設利用料または情報等の提供料など、実質的に役務の提供などの対価と認められるときは、その会費等は資産の譲渡等に係る対価に該当するものとして課税仕入れとなります。
3.NPO法人が消費税を徴収していると思われる例
NPO 法人 ふくい子供のための音楽教室 演奏コース(ピアノ)
授業料
6,900円/月(税別)~
※1 レッスン 30 分、年間 36 回コースの場合です。 レッスン時間、回数は選ぶことが出来ますので、 ご相談ください。
※レッスンの進度により料金が変わることはありません。
※授業料の他に教室維持費 200 円をいただきます
※会場によっては施設費を頂く場合があります
入室金
5,000円(税別)
※兄弟でご入室の場合は割引があります
4.和田の勝手なまとめ
消費税は会員が対価に応じて支払うもので、クラブは仲介するのみ。公益性は行政都合で決めるもので、会員が受け取る対価とは無関係。クラブの事業に公益性が認められれば、法人税は優遇されるが消費税はこれには無関係。同好会のような団体の会費には一般的に消費税は課税されないが、NPOの開催するセミナー、講習料は課税対象となる。
現在徴収している会費が、会費なのか実質的に授業料なのかがポイント。
・中学生会員から徴収する「年会費」は実質的にはプログラミング指導の「授業料」であって課税リスクは高いが、売上200万円/年なので当面問題にならない。
・小学生むけの教室は売上1千万円/年を超えるが、大半が家庭でもできる木工や紙工作で対価は高くない=当面問題にならないと考えたい。
(もと技術家庭科教諭による木工指導はグレー。今後の教材や授業内容によっては注意は必要。)
消費税のあらまし(国税庁)
一括ダウンロード(全84ページ)のP15 「非課税取引」参照
消費税の免税事業者とは、消費税の納税義務を免除されている事業者のことを指します。 課税期間の基準期間中における課税売上高が1,000万円以下の場合、事業者に対して納税義務は課せられません。
法人税に関する考察
一 般 社 団 法 人 ・ 一 般 財 団 法 人 と 法 人 税(国税庁)
公益法人等の収益事業から生じた所得は、法人税の課税対象となります。収益事業とは次の 34 の事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含みます。)で、継続して事業場を設けて行われるものをいいます(法人税法2十三、法人税法施行令5①)。
1.収益事業に該当するか?
(以下抜粋)
法人税法上の「技芸教授業」とは、①「技芸の教授」、②「学力の教授」、③「公開模擬学力試験」を行う事業をいいます。
①の「技芸」は次に掲げるものをいい、これらは限定列挙です。洋裁、和裁、着物着付け、編 物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽 、絵画、書道、写真、工芸、デザイン、自動車操縦、小型船舶操縦
NPO法人が書道教室を開催している場合は、「書道」は法人税法上で技芸として特掲されているので、「技芸教授業」として「収益事業」に該当します。NPO法人がそろばん教室を開催している場合は、「そろばん」は法人税法上で技芸として特掲されていないので、「技芸教授業」には該当せず、「収益事業」になりません。なお、教材の頒布については、書道教室は収益事業に該当するため、その教材の頒布は、「付随行為」として法人税の課税対象となります。一方、そろばん教室は収益事業ではありませんが、その教材の頒布は、「物品販売業」として「収益事業」に該当することになります。
NPO法人がパソコン教室を直接運営して開催している場合は、パソコン教室は法人税法上で特掲されている技芸ではないので、法人税法施行令第5条第1項第30号《技芸教授業》には該当しません。また、パソコン教室を請負契約に基づいて運営している場合も、その事業の性質から、いったん他の特掲事業(この場合、技芸教授業)に該当しないと判定した場合は、改めて法人税法施行令第5条第1項第10号《請負業》に該当することはないものとされています。(法人税基本通達15-1-29)
したがって、パソコン教室は、「技芸教授業」にも「請負業」にも該当せず、「収益事業」になりません。
2.収益事業であっても法人税が課せられないケース
(以下抜粋)
公益法人は、法人税法上の「公益法人等」に該当し、法人税法に規定する物品販売業、金銭貸付業、運送業、請負業など34業種の収益事業を行う場合に限り法人税の納税義務が生じます。ところが、たとえ法人税法上の収益事業に該当する事業であっても、その事業が公益目的事業と認定されている場合には、法人税は課税されません(法人税法施行令5②一)。これが公益法人の法人税に係る大きな特徴です。
(参考)
今までに公益認定を受けた事例を見ると、従来の概念では法人税法上の収益事業に該当するものであっても、公益目的事業として認定された事例が数多くあります。 具体的には、学術その他公益に資する出版業、文化、体育、福祉などの事業に関する請負業、芸術に関連する興行業、社会的に有為な資格の検定、認証などの事業(技芸教授業)、緊急医療、僻地医療、健康指導など医療・検診事業(医療保健業)等が公益目的事業として認定された結果、法人税法上非課税所得となっている事例があります。
3.和田の勝手なまとめ
そもそも利益分配を行っていない発明クラブに法人税は課税されない(寄付が贈与税に当たらないか?は別途考察する)。消費税に比べると神経質になる必要はなさそう。
現在の法人税法では収益事業は狭い範囲に限定されており、発明クラブの活動は収益事業とはみなされないと考えられる。しかし、この法律は度を超えたPTAバザーのようなケースを想定していて、社会貢献目的のNPOにはなじまない。実質的に上記2で上書きされてしまっている。徒に収益事業と見做されることを回避するよりも、公益性を一定レベルに維持することを優先的に考えた方がクラブとしては建設的である。ただし、公益性の判断に客観性を持たせることは、その判断基準含め容易でないかもしれない。
法人税法基本通達15-1-66(技芸教授業の範囲)
令第5条第1項第30号(技芸教授業)の「技芸の教授」には、自らは技芸の習得に関する教授を行わないで同号に規定する技芸に関する免許の付与等のみを行う行為が含まれるが、同号に規定する技芸以外の技芸に関する免許の付与等はこれに該当しないことに留意する。(昭56直法2-16追加)
(注)
1 同号の「免許の付与その他これに類する行為」には、卒業資格、段位、級、師範、名取り等の一定の資格、称号等を付与する行為が含まれる。
2 同号に規定する技芸の教授若しくは免許の付与等の一環として、又はこれらに付随して行われる講習会等は、たとえ一般教養の講習をその内容とするものであつても、同号の「技芸の教授」に該当する。
法人税法通達15-1-10(宗教法人、学校法人等の物品販売)
宗教法人、学校法人等が行う物品の販売が令第5条第1項第1号(物品販売業)の物品販売業に該当するかどうかについて、次に掲げる場合には、それぞれ次による。(昭56直法2-16改正)
(1)宗教法人におけるお守り、お札、おみくじ等の販売のように、その売価と仕入原価との関係からみてその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく実質は喜捨金と認められる場合のその販売は、物品販売業に該当しないものとする。ただし、宗教法人以外の者が一般の物品販売業として販売できる性質を有するもの(例えば、絵葉書、写真帳、暦、線香、ろうそく、供花等)をこれらの一般の物品販売業者とおおむね同様の価格で参詣人等に販売している場合のその販売は、物品販売業に該当する。
(2)学校法人等が行う教科書その他これに類する教材以外の出版物の販売は、物品販売業に該当する。
(注)ここでいう「教科書その他これに類する教材」とは、教科書、参考書、問題集等であつて、学校の指定に基づいて授業において教材として用いるために当該学校の学生、生徒等を対象として販売されるものをいう。
(3)学校法人等が行うノート、筆記具等の文房具、布地、糸、編糸、食料品等の材料又はミシン、編物機械、ちゆう房用品等の用具の販売は、たとえこれらの物品が学校の指定に基づいて授業において用いられるものである場合であつても、物品販売業に該当する。
(4)学校法人等が行う制服、制帽等の販売は、物品販売業に該当する。
(5)学校法人等が行うバザーで年1,2回開催される程度のもの(15-1-6の(2)に該当するものを除く。)は、物品販売業に該当しないものとする。
第15章 公益法人等及び人格のない社団等の収益事業課税 第1節 収益事業の範囲
(以下抜粋)
(事業場を設けて行われるもの)
15-1-4 法第2条第13号《収益事業の意義》の「事業場を設けて行われるもの」には、常時店舗、事務所等事業活動の拠点となる一定の場所を設けてその事業を行うもののほか、必要に応じて随時その事業活動のための場所を設け、又は既存の施設を利用してその事業活動を行うものが含まれる。したがって、移動販売、移動演劇興行等のようにその事業活動を行う場所が転々と移動するものであっても、「事業場を設けて行われるもの」に該当する。(昭56年直法2-16「七」、平20年課法2-5「二十九」により改正)
(継続して行われるもの)
15-1-5 法第2条第13号《収益事業の意義》の「継続して……行われるもの」には、各事業年度の全期間を通じて継続して事業活動を行うもののほか、次のようなものが含まれることに留意する。(昭56年直法2-16「七」、平20年課法2-5「二十九」により改正)
(付随行為)
(2) 技芸教授業を行う公益法人等が行うその技芸の教授に係る教科書その他これに類する教材の販売及びバザーの開催
(注) 教科書その他これに類する教材以外の出版物その他の物品の販売に係る収益事業の判定については、15-1-10に定めるところによる。