日本学術会議会員推薦者任命拒否に対する抗議声明
私たちは、日本学術会議が第25期会員として推薦した105名のうち6名について菅義偉首相が任命せず、現在に至るまでその理由説明を拒否していることを深く憂慮しています。
時の政権の意向に左右されない普遍的な真理と価値の探究をとおして社会に貢献することは、学問の重要な使命です。日本学術会議法に定められているとおり学術会議が「独立して」職務をおこなうこと、また首相によるその会員の任命が形式的なものであるという慣行は、学問がその使命をまっとうするための手続きに他なりません。菅首相による任命拒否はその手続きを脅かすものであり、ひいては学問の自由を脅かすものです。
大学における研究・教育にとって、学問の自由は不可欠の理念です。大学は、過去の歴史を深く学び、その上に確かな知識と価値を産出し、もって新たな未来を構想する想像力を養うための場です。政権の顔色を窺うことなく自由闊達に議論できる環境なくして大学はその役割を果たすことができません。この点で、学問の自由の軽視は大学という場の存立基盤を脅かすものでもあります。
私たちは、大学という場で働く者として、今回の任命拒否に強く抗議し、その撤回と丁寧な経緯の説明を求めます。
2020年11月11日
東北学院大学教職員有志一同
阿久戸義愛、井坂正宏、○石川真作、今井奈緒子、巖谷睦月、岡田康夫、○郭基煥、片瀬一男、金子祥之、神林博史、菊池慶子、黒坂愛衣、黒田秀治、郷古学、小林信重、○小宮友根、佐伯啓、佐川正敏、佐久間香子、佐久間政弘、櫻井研三、佐藤真紀、三條秀夫、菅山真次、菅原真希、鈴木努、仙田幸子、高橋秀行、高橋充、竹井英文、○津上誠、永田英明、○七海雅人、○羽田さゆり、房賢嬉、平吹喜彦、松谷基和、○宮本直規、○村上弘志、吉田新、吉村富美子、他8名
(あいうえお順、○は呼びかけ人)