バッハからベートーヴェンまで
バッハからベートーヴェンまで
日本テレマン協会第319回定期演奏会
テレマンの街ハンブルクから 中之島をウィーンに!
延原武春プロデュース ウィーン式ヒストリカル・コンサート
日時 2025年10月10日(金)18時開演
会場 大阪市中央公会堂中集会室
「ウィーン式ヒストリカル・コンサート」とは?
オーケストラの演奏会と言えばこんな感じの構成のことが多いですね。
1.序曲など短めの曲
2.協奏曲や中規模の管弦楽曲など
3.休憩
4.交響曲、大規模な管弦楽曲など
しかし、18世紀のヨーロッパにおける演奏会はちょっと様子が違ったようです。先ずは交響曲の1楽章が演奏され、オペラ・アリアや協奏曲の抜粋、室内楽曲等を経た後、最後に冒頭の交響曲の残りの楽章が演奏されたそうです。交響曲はばらばらに演奏され、協奏曲は抜粋されるし、オペラ・アリアや室内楽曲まで入っています。
この構成には理由があります。当時一番人気があったのはオペラでしたが、春の復活祭の時期はオペラの上演が禁止されていたそうで、オペラの代用品として開催されていたのが「演奏会」だったそうです。つまり演奏会冒頭における交響曲の第1楽章はオペラの序曲と同じ役割を果たし、演奏会全体がオペラのような構成になっていたということですね。そもそも交響曲はイタリア語でSinfoniaですが、オペラの序曲もSinfoniaと呼ばれていましたから、ルーツは同じなんですね。
交響曲が演奏会のメイン・プログラムになったのはベートーヴェンより後のことです。そう考えると、ベートーヴェンより後の作曲家の多くは10曲足らずの交響曲しか書いておらず、モーツァルトが数十曲、ハイドンに至っては100曲以上の交響曲を書いているのも頷けますね。
日本テレマン協会は18世紀音楽の専門団体として当時の仕様の楽器(バロック楽器やクラシカル楽器)を使用すること、18世紀の演奏習慣を踏まえて演奏すること、18世紀の演奏環境に近い場所で演奏することに取り組んできましたが、よりリアルに18世紀の音楽を体験して頂けるように演奏会のスタイル自体も18世紀当時のものを踏襲してみることにしました。18世紀ウィーンの様式で構成された演奏会が「ウィーン式ヒストリカル・コンサート」です。
演目について
構成についてのご説明がちょっと長くなりましたが、ここからは肝心の曲目について。「交響曲」、「協奏曲」、「オペラ・アリア」、「室内楽曲」それぞれの内容についてご説明していきましょう。
交響曲
今回の公演はハイドンの交響曲 第94番「驚愕」でスタートします。第2楽章でお客さんをびっくりさせる仕掛けがある、あの有名な曲ですね。しかし、残念ながら日本においてハイドンはモーツァルトと比べるとあまり「面白そう」と思ってもらえない傾向にあるようで、ハイドンを全面に押し出した企画はお客さんが少ないことが多いです。この曲然りですが、曲の作りや編成などでお客さんを飽きさせない工夫がしっかりとしてある楽曲が多いので、ぜひたくさんの方に聴いて頂きたいところです。
協奏曲
協奏曲は、ハイドンのピアノ協奏曲と、ロンドンでハイドンが驚愕を演奏する少し前に同地で活躍していたヨハン・クリスチャン・バッハの協奏交響曲より抜粋をお届けします。
J.C.バッハはイタリアで学んだ後ロンドンでヘンデルの後任として活躍していたため「ロンドンのバッハ」として有名ですが、モーツァルトに最も影響を与えた作曲家としても有名ですね。J.C.バッハについてはこちらから。協奏交響曲は当時イギリスで流行していたスタイルで、J.C.バッハの他にプレイエルとハイドンなんかも作曲しています。プレイエルの作品は2025年1月の定期演奏会で取り上げました。
J.C.バッハの協奏交響曲はこんな曲です↓
ハイドンの協奏曲は日本テレマン協会所属の古典鍵盤奏者高田泰治が独奏を、J.C.バッハの協奏交響曲の独奏はコンサートマスター浅井咲乃と首席チェロ奏者鷲見敏が務めます。
オペラ・アリア
オペラ・アリアは2曲演奏します。モーツァルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」のアリアとスペインの作曲家マルティン・イ・ソレールによる歌劇「椿事」のアリアです。独唱は日本テレマン協会所属のソプラノ歌手 中村朋子が務めます。
マルティン・イ・ソレールはモーツァルトと同じ時期にウィーンで活躍した作曲家で、「椿事」はモーツァルトの「フィガロの結婚」や「コジ・ファン・トゥッテ」と同じくダ・ポンテの台本によるオペラです。「フィガロの結婚」上演の数か月後に「椿事」が上演され、あまりの人気のため「フィガロの結婚」が上演中止に追いやられたという逸話がありますが、今では作曲者のマルティン・イ・ソレールともどもすっかり忘れ去られてしまっています。マルティン・イ・ソレールについてはこちらから。
オペラ「椿事」の全編はこちらからお聴き頂けます↓
室内楽曲
さて、協奏曲、オペラ・アリアの他に小編成の室内楽曲が聴けるのも本プログラムの魅力です。
モーツァルトのオペラから18世紀に室内楽用に編曲されたものと、ベートーヴェンの七重奏曲をフンメルがフォルテピアノとフルート、ヴァイオリン、チェロのために編曲したものの第4楽章をお届けします。
「編曲」という言葉の守備範囲はかなり広いのですが、18世紀における編曲は現代とは違った意味合いを持っていました。現代においては「ポップスの曲をオーケストラで演奏するために編曲する」とか、「オーケストラの曲をピアノで演奏するために編曲する」といった編曲をよく見かけますね。
18世紀には当然録音などはありませんから、演奏を聴きたければ生演奏で聴くしかありませんでした。オーケストラの曲やオペラの楽曲などには数十人もの演奏家が必要になりますので、毎回既定の編成で演奏していたら破産してしまいます。そんなわけで本来は数十人必要な曲を数人で演奏出来るように編曲するということが18世紀にはよく行われていました。
モーツァルトのオペラも人気がありましたから、当時の作曲家が管楽アンサンブルや弦楽四重奏に編曲したものが残されています。
フンメルは昨年2024年10月の定期演奏会でもご紹介しました。エステルハージー家のハイドンの次の音楽監督ですね。このフンメルによる編曲はもう少し商業的なものでした。人気のあった作品をより小さな編成のために編曲しているというところは変わらないのですが、もうすこしちゃっかりしています。
モーツァルトの交響曲やベートーヴェンの交響曲などをピアノ、フルート、ヴァイオリン、チェロのアンサンブルのために編曲してあるのですが、実はピアノだけで演奏しても成立するように書かれています。出版する時はまずピアノの楽譜のみを出版し、後からフルートやヴァイオリンのパート譜を別売、またはセット販売したようです。商売上手ですね。おかげでピアノのパートは相当難しいものになったようですが。
今回は演奏しませんが、ご参考までにベートーヴェンの交響曲です↓
ということで、交響曲、協奏曲、オペラ・アリア、室内楽が一度に聴ける盛りだくさんで贅沢なコンサートとなっています。
大阪市中央公会堂の3階中集会室はまるで18世紀ヨーロッパの貴族の邸宅のような雰囲気です。芸術の秋ということで、18世紀ウィーンに迷い込んでみてはいかがでしょうか?チケットは販売はこちら!
演目について
構成についてのご説明がちょっと長くなりましたが、ここからは肝心の曲目について。「交響曲」、「協奏曲」、「オペラ・アリア」、「室内楽曲」それぞれの内容についてご説明していきましょう。
交響曲
今回の公演はハイドンの交響曲 第94番「驚愕」でスタートします。第2楽章でお客さんをびっくりさせる仕掛けがある、あの有名な曲ですね。しかし、残念ながら日本においてハイドンはモーツァルトと比べるとあまり「面白そう」と思ってもらえない傾向にあるようで、ハイドンを全面に押し出した企画はお客さんが少ないことが多いです。この曲然りですが、曲の作りや編成などでお客さんを飽きさせない工夫がしっかりとしてある楽曲が多いので、ぜひたくさんの方に聴いて頂きたいところです。
協奏曲
協奏曲は、ハイドンのピアノ協奏曲と、ロンドンでハイドンが驚愕を演奏する少し前に同地で活躍していたヨハン・クリスチャン・バッハの協奏交響曲より抜粋をお届けします。
J.C.バッハはイタリアで学んだ後ロンドンでヘンデルの後任として活躍していたため「ロンドンのバッハ」として有名ですが、モーツァルトに最も影響を与えた作曲家としても有名ですね。J.C.バッハについてはこちらから。協奏交響曲は当時イギリスで流行していたスタイルで、J.C.バッハの他にプレイエルとハイドンなんかも作曲しています。プレイエルの作品は2025年1月の定期演奏会で取り上げました。
J.C.バッハの協奏交響曲はこんな曲です↓
ハイドンの協奏曲は日本テレマン協会所属の古典鍵盤奏者高田泰治が独奏を、J.C.バッハの協奏交響曲の独奏はコンサートマスター浅井咲乃と首席チェロ奏者鷲見敏が務めます。
オペラ・アリア
オペラ・アリアは2曲演奏します。モーツァルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」のアリアとスペインの作曲家マルティン・イ・ソレールによる歌劇「椿事」のアリアです。独唱は日本テレマン協会所属のソプラノ歌手 中村朋子が務めます。
マルティン・イ・ソレールはモーツァルトと同じ時期にウィーンで活躍した作曲家で、「椿事」はモーツァルトの「フィガロの結婚」や「コジ・ファン・トゥッテ」と同じくダ・ポンテの台本によるオペラです。「フィガロの結婚」上演の数か月後に「椿事」が上演され、あまりの人気のため「フィガロの結婚」が上演中止に追いやられたという逸話がありますが、今では作曲者のマルティン・イ・ソレールともどもすっかり忘れ去られてしまっています。マルティン・イ・ソレールについてはこちらから。
オペラ「椿事」の全編はこちらからお聴き頂けます↓
室内楽曲
さて、協奏曲、オペラ・アリアの他に小編成の室内楽曲が聴けるのも本プログラムの魅力です。
モーツァルトのオペラから18世紀に室内楽用に編曲されたものと、ベートーヴェンの七重奏曲をフンメルがフォルテピアノとフルート、ヴァイオリン、チェロのために編曲したものの第4楽章をお届けします。
「編曲」という言葉の守備範囲はかなり広いのですが、18世紀における編曲は現代とは違った意味合いを持っていました。現代においては「ポップスの曲をオーケストラで演奏するために編曲する」とか、「オーケストラの曲をピアノで演奏するために編曲する」といった編曲をよく見かけますね。
18世紀には当然録音などはありませんから、演奏を聴きたければ生演奏で聴くしかありませんでした。オーケストラの曲やオペラの楽曲などには数十人もの演奏家が必要になりますので、毎回既定の編成で演奏していたら破産してしまいます。そんなわけで本来は数十人必要な曲を数人で演奏出来るように編曲するということが18世紀にはよく行われていました。
モーツァルトのオペラも人気がありましたから、当時の作曲家が管楽アンサンブルや弦楽四重奏に編曲したものが残されています。
フンメルは昨年2024年10月の定期演奏会でもご紹介しました。エステルハージー家のハイドンの次の音楽監督ですね。このフンメルによる編曲はもう少し商業的なものでした。人気のあった作品をより小さな編成のために編曲しているというところは変わらないのですが、もうすこしちゃっかりしています。
モーツァルトの交響曲やベートーヴェンの交響曲などをピアノ、フルート、ヴァイオリン、チェロのアンサンブルのために編曲してあるのですが、実はピアノだけで演奏しても成立するように書かれています。出版する時はまずピアノの楽譜のみを出版し、後からフルートやヴァイオリンのパート譜を別売、またはセット販売したようです。商売上手ですね。おかげでピアノのパートは相当難しいものになったようですが。
今回は演奏しませんが、ご参考までにベートーヴェンの交響曲です↓
ということで、交響曲、協奏曲、オペラ・アリア、室内楽が一度に聴ける盛りだくさんで贅沢なコンサートとなっています。
大阪市中央公会堂の3階中集会室はまるで18世紀ヨーロッパの貴族の邸宅のような雰囲気です。芸術の秋ということで、18世紀ウィーンに迷い込んでみてはいかがでしょうか?チケットは販売はこちら!
一般社団法人日本テレマン協会
〒530-0002大阪市北区曽根崎新地2-1-17
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