彼らが学校をつぶそうとしたとき

作詞:「子どもの歩みバックアップ!」さん 作曲:募集中

1.

はじめに、彼らが保育園と幼稚園をつぶそうとしたとき、私は声を上げなかった。

なぜなら、私にはその時未就学児がいなかったから。

次に、彼らが小学校をつぶそうとしたとき、私は声を上げなかった。

なぜなら、その時私は児童の保護者じゃなかったから。

次に、彼らが中学校をつぶそうとしたとき、私は声を上げなかった。

なぜなら、その時私は生徒の保護者じゃなかったから。

次に、彼らはコミュニティセンターをつぶそうとしたとき、私は声を上げなかった。

なぜなら、私には地域とかはどうでもよく、ほとんど利用していなかったから。

そして、いつの間にか赤大路地区には学校がなくなり、

線路の向こうの新しい施設一体型小中一貫校が荒れているらしいという噂を耳にし、

災害時に高齢者や身体不自由な方が線路の向こうの避難所に行こうとしたが、

踏切がしまっていて立往生したと聞いたりするようになった。

最後に、赤大路地区の低学年児童が踏切やガード下で相次いで亡くなり、

子育て世帯が大挙して地区を脱出して、

地価は下がり、住宅は売れなくなり、空き家が目立つようになった時、

私のために声をあげる人は一人もいなかった。

2.

はじめに、彼らが四中校区で保育園・幼稚園・小中学校をつぶそうとしていると聞いたとき、私は声を上げなかった。

なぜなら、私には関係のない学区の話だったから。

次に、JR富田駅付近の踏切で通学児童が電車にはねられたというニュースを聞いたとき、私は声を上げなかった。

なぜなら、「自分の子どもじゃなくて良かった」と思っただけだったから。

次に、彼らが隣の中学校区の小学校をつぶそうとしたとき、私は声を上げなかった。

なぜなら、自分の母校の話じゃなかったから。

次に、彼らが私の子どもの通う小学校をつぶそうとしたとき、私は声を上げなかった。

なぜなら、市の人が「新しい施設一体型小中一貫校だと学力が上がって子どもの心が豊かになる」と言っていたから。

そして、いつの間にか私の子どもは幹線道路を怯えながら30~40分歩いて遠い小学校に通うようになり、

「運動場で思いっきり遊べない、がまんばかりでしんどい」「保健室で中学生が先生とけんかしていて恐い」ともらすようになり、

5・6年生のクラスがどんどん荒れているらしいという噂を耳にし、

卒業生の高校中退者が増えているという話を聞くようになった。

最後に、私の中学校区からも子育て世帯が大挙して他市に流出して、

地価は下がり、住宅は売れなくなり、空き家が目立つようになった時、

私のために声をあげる人は一人もいなかった。