高槻市教育委員会による保護者限定説明会の内容(施設一体型小中一貫校関連部分)

 基本構想の第3編について、ここからは教育指導課より、これまでの小中一貫教育の取り組みと施設一体型小中一貫校の設置についての考え方を説明させていただきます。

みなさんこんにちは、ただいまご紹介をいただきました高槻市教育委員会教育総務課の××でございます。本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。感謝を申し上げます。私の方からは高槻市がこれまで取り組んできた小中一貫教育と、なぜ、今、施設一体型小中一貫校を作ろうとしているのか、それによってこれからどのような教育を目指そうとしているのかを説明させていただきます、資料の方は前のスライドで説明させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

はじめに、本市がこれまで取り組んできた小中一貫教育について、次の動きとしてH18年、H19年、2006年と2007年に教育基本法、学校教育法が改正されまして、義務教育の目的目標が新たに設定をされました。それまで小学校と中学校それぞれに目標を国が設定されていたのですけれど、この二つの法律が改正されまして義務教育9年間としての目的目標が設定をされましたということになります。これは国によって小学校と中学校の円滑な接続の必要性が示されたということです。これを受けまして本市でも小学校6年間中学校3年間という学校を分けて考えるというのではなく、義務教育というくくりで9年間の教育の在り方を見直す、研究を進めるということを始めました。

 この第四中学校区では他の中学校区に先駆けてH22年度からH25年度まで文部科学省の研究開発学校の指定を受け連携型の小中一貫教育に取り組ませていただきました。

 そのあと、この第4中学校区の成果を生かして他の中学校区すべてで18校区あるんですけれど、他の中学校区においても研究準備を行いましてH28年度には市内すべての小中学校で既存の施設を利用した連携型の小中一貫教育をスタートさせました。

 では、なぜ小中一貫教育が求められるのか、小中一貫教育とはどういうものなのか、その背景を説明させていただきます。

 小学校と中学校ではそれぞれで違いがあります、これは児童生徒子どもたちの発達の段階に応じた指導の特質それによって違いが生じてきます。

 例えば指導体制、小学校でいえば学級担任制、中学校では教科担任制を取り入れています、そのほかにも指導の方法、生徒指導、部活動のありなしといった、違いがあります。これらは長い歴史の中で小中学校それぞれの文化として、積み上げられてきたものでございます。

 ただ、こういった違いは子どもから見たときに段差として生じる、段差として感じられる場合があります。こういう段差っていうのは将来の進学、就職という大きな環境の変化を考えたときに適度であれば教育の効果も大きいと考えております、しかし。小学校から中学校に進学するときに人間関係の変化そして環境の変化が重なって子どもにとって過度な負担となった場合に学習や生活に不適応をおこすいわゆる中一ギャップといった問題が生じてきます。小中一貫教育が求めれる背景の一つでは中学校進学時の不登校、いじめといった、いわゆる中一ギャップへの対応、進学の際に生徒が体感する段差の大きさを解消する、より円滑な接続とすることの重要性が増しているという背景がございます。

小中一貫教育が求められる背景の2つ目は、発達の早期化、現在の6-3制小学校6年生中学校3年生が導入されたのが昭和20年代の前半です、そのころと比較すると子どもたちの身長体重の伸びの大きい時期が2年程度早まっているという指摘があります、思春期の到来時期が早まっているという指摘です、この、ここに発達の段差があるのではないかと指摘がされております、そのため多様な教職員が指導に当たることで子どもたちの興味関心を引き出す、従来であれば中学校段階の特質とされてきたものが一定程度小学校段階で導入することの重要性が増している、そのことが二つ目の背景としてあげられています。

三つめは教育内容や学習活動の量的質的充実への対応、近年理数教育の充実であったり、小学校段階での外国語活動の導入など教育内容そして教育活動の充実が図られています、特に小学校高学年の学習内容は抽象的な理解が必要となってきます、これは小学校低学年の段階であれば自分たちの生活において目に見えるもの、1+1というように解決していけるんですけれども、そのあと偶数であったり掛け算であったり、そして割合であったり抽象的な概念が必要となってくる、とくに5、6年生でいうと勉強が難しくなっているという段階になってくる、これに対応するために特に小学校高学年での専門的な指導の充実が求められてくる、この他にも少子化に伴って集団での遊びの機会、そして年齢が離れた子ども同士のかかわりそのものが減ってきている、こうしたなか小中一貫教育の取り組みを進めることで多様な異学年交流を活発にすることへのニーズが高まっているという背景がございます、

 以上のことを背景にして、本市では小学校中学校を義務教育というくくりで9年間の教育活動を再編成することが先ほど説明したさまざまな課題を克服するうえでは有利であるという考えに立って連携型の小中一貫教育を進めてきました、この間小中学校の教職員は目指す子供像を策定して校区で目指す15歳の姿というものを共有しています、その共通の目標に向けて、例えば小中学校合同の授業研究会を開催したり、全国学力テストの分析を校区の教職員で実施するなど、校区の教職員間の連携、相互の理解というのは、この小中連携っていつのは、明らかに進んでいると考えています。しかし、一方で小中学校が別々の学校として設計されていることのさまざまな弊害があるというのも事実です、小学校はその6年間で全力を挙げて課題克服に向けて頑張っています、中学校も同じく3年間、同じように課題に向けて全力で取り組んでいます、しかしながらそれぞれの学校種で基本的には完結します、さまざまな教育活動を6年、3年で終わらせない、9年間を見通した学習指導、生徒指導、地域連携の取り組みを継続、さらには発展させる必要があると考えています。高槻ではH27年度に本市の教育の目指す方向性を定めた、高槻市教育振興基本計画というものを策定いたしました、この計画の具体的な推進方策には縦の接続として連携型小中一貫教育の推進、そして横の連携として、地域との連携した特色ある学校づくりを掲げています、これをH27年度から本市で取り組んできました、ただこの計画は令和2年度までとなっています、本年度からは第二期の教育振興計画がスタートをしています、第二期の基本計画では、基本計画は10年間あるんですけれども、10年間で重点的に取り組む策として施設一体型の小中一貫校の設置、縦の接続ですね、横の連携としましてコミュニティスクールの推進を掲げています、これまで取り組んできた連携型の小中一貫教育の効果をさらに高める、高槻の教育の質をより一層高めるために一つの組織で9年間の教育を行うことができる、義務教育学校としての施設一体型小中一貫校の設置は非常に有効であると考えています、今、義務教育学校ということがでてきたんですけれども新しい学校の種類としてH28年度から設置可能となったものです、H28年に学校教育法が一部改正されまして設置可能となった新しい学校の種類のことです、一人の校長、そして一つの教職員組織のもと、全員で義務教育9年間のゴールを目指して教育活動を行います、これはですね、かなりの時間を要することとなると思いますが、将来高槻市では18のすべての中学校区の学校をこの義務教育学校にしたいと考えています、そして本市の一番最初の一番目の義務教育学校の設立をこれまで市内の小中一貫教育においてパイオニア的な役割を果たしてきてそしてもっとも実績のあるこの第4中学校区において実現したいと考えております、

では義務教育学校としての施設一体型小中一貫校で、実現できることを3つ説明いたします、

この義務教育学校に最も期待することは教育の質の向上、つまり、子どもたちに学力をつけるということです、すべての子供たちに学力をつけることが学校教育の最大の使命である、と考えています、今の子供たちが大人になって活躍する社会、今年小学校1年生の子供たちが社会の中心となる35歳、2050年は人口の約4割が65歳、となっている超高齢化社会、労働人口の減少から日本の経済規模も縮小していて、雇用の情勢を考えると大変に厳しい時代になると考えられています、この予測が難しいとされている時代、急激に変化する時代の中で、子どもたちにつけたい学力というのは単なる知識というのではなく、ただ知っているという知識ではなくて、新しいこれまでに経験したことのないような課題にぶつかったときにこれまでに学習してきた知識や経験を総動員させて解決ができる、質の高い知識、そしてさまざまな立場の人と協力をして折り合いをつけながらその課題を解決をする力と考えています。

 ではどのように教育の質の向上を図るのか、理科の学習を例に出して説明していきます、理科は小学校3年生から始まります、この小学校3年生で「電気の通り道、じしゃくの性質」という学習をします、小学校3年生で学習したことというのは4年生の「電流の働き」、5年生の「電流がつくる磁石」の学習で、繰り返し活用したり、ほかの教科と関連付けて学習をすることで、より高い、質の高い知識となっていきます、本来はこれが中学校の学習にもつながっていくことが求められます、学習には連続性がありますので小学校で学習したことをもとに中学校の学習へつなげていくことが求められます、しかしながら、この学習が、組織が分かれているために、それぞれの学校種で完結してしまっている、という風に考えています、先生方にはそれぞれにゴールがあるようなイメージです、義務教育学校では1年生から9年生までを教える教職員が一つの組織として一つの職員室にいます、中学校の教科指導の専門性を持った教員が深い教材研究に基づいた知的好奇心を感じさせる授業と、中学校段階学びにつながる系統的な指導を小学生に実施することが可能です、逆に小学校段階での指導についても、これまでの小学校段階の学びを把握をしたうえで指導を行うことができてより、より連続性のある授業が展開できると考えています、子どもたちに学力をつけるためにはすべての教員、小学校段階と中学校段階のすべての教員が義務教育9年間の見通しを持って子どもたちの学習の状況をしっかりと確認をしながら、自分たちの目で見とりながら、成長を見とりながら、15歳の一つのゴールに向かって連続性のある指導を行うことが大事であると考えています、義務教育学校としての施設一体型小中一貫校ではこのような教育が実現できるといふうに考えております、これが最大のメリットになると考えております、

 二つ目として豊かな心の育成、施設一体型小中一貫校では一つの敷地の中で6歳から15歳までの子供たちが学びます、施設を一体とすることで心配な声として中学校3年生の大きな子どもたちと小学校1年生の小さな子供たちが廊下でぶつかったら大けがをするのではないか、といった不安の声を聞くことがあります、これにつきましてはすでに実施している小中一貫校のところではこういったことは起こったことがないというような報告を受けています、お互いの相手の立場を考えて生活をすることは社会に出てから必要な力です、年齢の離れた仲間とどのように接したらよいのか、多様な世代との構図は子供たちにとって貴重がものとなると考えております、学校としては異年齢の交流からの学びにつながるような学習活動を意図的に設定していくことでより義務教育学校の良さが生かせるという風に考えております。

 3つ目は地域との連携・協働です、本市では保護者や地域の方が学校運営に参画する仕組みであるコミュニティスクールを今後、全中学校区への導入を目指して取り組んでいるところです、コミュニティスクールは学校と地域をつなぐ仕組み、小中一貫教育は子どもたちと教職員をつなぐ取り組みです、いづれも子どもたちに多様な人とたくさん関わりを持たせたい、という共通の願いがあります、人との出会いはそれ自体が子どもにとって大きな財産になります、中学校区という単位で校区にかかわるすべての大人たちが教育の当事者として、9年間の学びを支援する仕組みを作ること、これがコミュニティスクールです。施設一体型小中一貫校の拠点として子どもたちの9年間の学びを支える仕組みを作りたいと考えております。

第二期の教育振興計画では、高槻の教育がめざす子ども像、「人や社会、と繋がり、学び続け、より良い自分と社会をつくる子ども」と設定いたしました、この第四中学校区における施設一体型小中一貫校の学校づくりも基本方針は「地域で育ち地域で活躍する子どもをはぐくむ学びの拠点」とさせいていただきました、保護者地域の皆さんとともによりよい社会を作るという志を持った子どもたちを育てたい、そんな思いをこの学校づくりには求めていきます。

最後になりますが、教育委員会も学校ともに精一杯、高槻の子供たちのために力を尽くしてまいります、すべての子供たちに社会参画力、社会に参画していく力を育成できるよう、学校、家庭、地域とともに協働しながら子どもたちをはぐくんでいけたらと考えております。私からの説明は以上でございます。