コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

文部科学省の推進する「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」https://manabi-mirai.mext.go.jp/torikumi/chiiki-gakko/cs.html

高槻市推進する「コミュニティ・スクール」とは?

■既に高槻でも導入が進んでいた「コミュニティ・スクール」

高槻市は、「第2期高槻市教育振興基本計画」に基き、中学校区単位で「コミュニティ・スクール」(学校運営協議会制度)を推進しています。令和3年度から第八中学校区(児童生徒:八中445名、磐手小名、496名、奥坂小611名、計1552名)と城南中学校区(児童生徒:城南中287名、西大冠410名、若松小217名、計914名)をモデル校区として「学校運営協議会」の設置を進めており、令和7年度までに全中学校区で学校運営協議会を設置する方針です。

■「コミュニティ・スクール」ってどこから出てきた話なの?

コミュニティ・スクール」は国が推進する政策で、地方教育行政法の改正により平成16年に制度化され、平成29年からは各教育委員会の努力義務とされました。導入率は令和4年3月時点で全国の公立学校の33.3%に留まっていますが、国は「すべての学校への導入を加速する」と推進の姿勢を崩していません。

■既存の類似の組織とどう違うの?

既に高槻の学校にはPTAや地域自治組織が加入する「地域教育協議会」や地域関係者が加入する「学校評議会」がありますが、それらが地域との連絡会であったり校長の諮問機関であったりするのに対し、「学校運営協議会」は教育委員会に「任命」された保護者代表や地域住民など8名まで(日当は3000円)と各学校(校長+1名)で構成され、校長から「学校運営の基本方針」の「説明」を受け、それを「承認」する権限や、学校運営・教育活動・教員の任免に関する「意見」を言うことができるところが違います(年3回開催)。つまり、校長よりエラい、教育委員会の下部組織(出先機関)的な側面を持っているということです(協議会と校長が対立して学校運営に支障をきたした場合は教育委員会が協議会を一旦停止にできるそうです)。「地域学校協働活動推進員」という準公務員が地域とのコーディネート業務を担当し、従来ともすれば閉鎖的だった学校を地域に開く取り組みを推進するとされています。

■ポイントは「中学校区単位」で設置されること

高槻におけるコミュニティ・スクールの狙いとして、高槻市は①校長のマネジメント力強化、②連携型小中一貫教育の枠組みを強化、の二点を挙げています。

①については、校長だけでなく、教育委員会によって任命された学校運営協議会が校長より上の立場に立つことで、教育委員会による学校及び中学校区統制の強化が図られると言えるでしょう。

②については、高槻市は「コミュニティ・スクール」を「全中学校区での施設一体型小中一貫校構想(≒中学校区単位の小中学校統廃合による公共施設リストラ)」と一体で推進していることから、異なる小学校区の地域自治組織やPTAを教育委員会の指揮下に置き、施設一体型小中一貫校の設置を要望させる、実質的な「官製陳情機関」となる可能性が大いにあります(実際、文部科学省の報告書でもコミュニティ・スクールは小中一貫教育強化のためのツールとして明確に位置付けられています)。

■高槻市の進めるコミュニティ・スクールの問題点

  • 学校運営協議会委員の選出方法は「校長が推薦し、教育委員会が任命する」とされているが、その選出基準が不透明。選出基準の明示された公募や選挙でない限り、校長や教育委員会にとって都合の良い、アリバイづくりのための、民主的代表性のない「地域の要望」を提供する機関にしかならない。

  • 学校運営協議会の要望という形式をとることで、教育委員会による学校現場の管理統制を強化するしくみになっている。

  • 教育委員会による学校管理にのみ焦点が当たっており、地域との関わりにおける子どもの役割や主体性に関する視点が欠落している。

令和4年度以降、城南中学校区や第八中学校区でコミュニティ・スクールが実施されますので、そこでどのような人物が学校運営協議会委員に選ばれ、どのような議論を行っているのか、注目していく必要があります。