日本において複数の民族・人種にルーツがある人々についてのアンケート調査
日本においていわゆる「ハーフ」「ミックス」「ダブル」「クォーター」「ワンエイス」等と呼ばれる人々の生活状況を把握するためのアンケート調査です。おもに、自分自身のルーツに関係しているこれまでの経験や、メンタルヘルス(心の健康)の状況について把握することが目的のアンケートです。
【アンケートの結果報告】
アンケート調査の集計結果をまとめ、報告書を作成しました。
主な集計結果は以下の通りです。
詳細な集計結果は以下の報告書をご覧ください。
※報告書(総合版)には、アンケートの自由記述欄から一人ひとりの具体的な経験をいくつか抜粋して引用しています。この引用の中には、具体的な差別の経験や、メンタルヘルス不調の経験、自傷行為・自殺に関する記述、本人が語った体験の中で登場する差別用語なども引用されています。読む際にはご注意ください。
また、報告書のなかから自由記述部分の記載を無しにした報告書(自由記述なし版)も用意しています。ご自身の状況にあわせてお読みください。
報告書(総合版)
報告書(自由記述なし版)
調査実施の背景
日本社会において、日本国籍と外国籍の親から生まれる子どもは毎年約1.5〜2万人程度が誕生し続けており(厚生労働省・人口動態調査)、2015年の時点では少なくとも推計84万人程度が暮らしているといわれている。いわゆる「ハーフ」や「ミックス」などと呼ばれるような、複数の人種的・民族的背景のある人々はスポーツ選手や芸能界のみならず、学校、会社、病院、市役所、工場など日本の地域社会のあらゆる場所で共に生活している。
しかし、日本ではこのような人々に関する人口調査や統計学に基づく全国実態調査が今まで行われてこなかったため、実際に社会に暮らしている人の現時点での実数はおろか、かれらが日々どのような経験をしているのかについての包括的なデータは未だ不明な状態が続いている。「ハーフ」「ミックス」等は、決して数は少なくない日本の中のマイノリティの一つであるにもかかわらず、政府、学術界、市民団体などによる全国規模での量的な調査が十分に行われていない現状である。
これまでのインタビューなどに基づく質的な調査研究等では、日々の生活の中でいじめや差別、マイクロアグレッション(偏見に基づく日常的な言動)を経験している人々の実態が明らかになっている。そして、これらの経験が心身へ大きな負担となっており、就職や学業達成においても具体的な問題が生じている。将来的に増加するこれらの人々について、日本社会全体がしっかりとその実態を知ること、そして差別の実態とメンタルヘルスの状況の関連性を把握するための実態調査を実施することは、喫緊の課題と言える。
本アンケート調査は、あくまでも探査的であり、すべての「ハーフ」「ミックス」等の人々の実態を示すものではない。調査結果にバイアスが生じざるを得ないこと、一般化や普遍化に限界があることなどの限界点も挙げられる。しかしながら、「ハーフ」「ミックス」等の人々は現実にこの社会に暮らす一人一人であるにもかかわらず、これまで統計や調査から無視され続けた結果、あたかも社会的に「存在しないもの」であるかのように扱われてしまう場合さえある。少しでもこの現実を変えるための一助となるよう、アンケート調査委員会を設立し、調査を実施した。
提言
「人種差別」や「民族差別」に限らず、「差別」は人間意識の中に避けようがなくあるのが前提という認識が必要です。日々の自己省察や学びの姿勢、そして制度や組織においてはチェックシステムがなければ間違いなく差別は起こるものであると言えます。
現在、学校の先生や医療・行政に関わる人の中に、いわゆる「ハーフ」「ミックス」等の人々は少ないかもしれませんが、それらのサービスを受ける側の人々や特に若い世代の中ではますます増えているのが現実です。
特に、人を対象にする、教育や医療やケアや行政に関わる人々が、差別的態度(意識的・無意識的どちらでも)を示すことは、次世代に差別の芽を植え付けることにつながります。
現在そして未来の差別防止対策の一環として、
国・政府、医療機関、学校などの一員として広く市民とかかわる人たちにこそ、人種差別撲滅の徹底に努めてもらうことは喫緊の課題です。
アンケート調査に関するQ&A
Q「アンケートは日本のルーツがどこかにないと答えられない?」
A いわゆる日本にルーツがないミックスのかたも日本での生活が合計1年以上あれば対象となっております。アンケート内の表現によって不安感を与えてしまい大変申し訳ありません。