ポスドク(大学の研究員)としてアメリカに来るまでの経緯や、アメリカにおける生活の立ち上げ、ラボでの日々について、いつか誰かの役に立つこともあるかと思い記録していきます。研究記というよりは滞在記かと思います。
途中でStaff Scientistに昇格しましたが、給料がいいポスドクみたいなものですので、Staff Scientist時代の話もポスドクと表現しています。
特に項目ごとに分けたりしないので読みづらいかもしれませんがご容赦ください。いつか消すかもしれません。
また、ここに書いてあることについて一切の責任を負いません。参考程度にお願いします。
(最終更新日:2024/08/03)
最初のポスドク先(結局最初で最後になりました)は、アメリカのカリフォルニアにあるStanford University。結構有名な大学で、大阪大学を知らなかった地元の友達ですら知っていた。
受入教員は何回か一緒に実験をしていた教授で、実験結果の議論をZoomでしていた時に、ポスドク先を探しているから受け入れろと遠回しに言ってみたら、Stanfordのfellowship (Stanfordのポスドク向けの学振PDみたいなやつ)に応募するなら受け入れてやるとのことだったのでそれで決定。fellowshipは2つ出したもののどっちもダメだったので結局は教授の研究費で雇われている。Fellowshipを持っていると1年あたり大体$85000とかを2年か3年もらえることが多い。持っていないと、経験(ポスドク年数)によって異なるが、一年目はたいていの場合Stanfordが定める最低賃金である$69000- (2022年)とかになる。なお一年で最低賃金が40万/年とか上がる。物価を考えると、一人暮らしなら貯金ができるが、収入のない妻がいると切り詰めてもトントン、子供が産まれようなものなら大赤字なので注意。シリコンバレーにおいて世帯年収1000万円は貧民層というのは全く誇張ではない。僕も学振DC(+諸々+妻の給料)で暮らしていた頃の方がよっぽど余裕があった。fellowshipをとるメリットはもちろん給料が高いことと、CVに書けること、プロジェクトの研究に縛られ辛くなること、クビになりづらいこと。デメリットは、応募する手間、種類にもよるだろうけど進捗をプレゼンしたり、書類報告があることぐらいかと思われる。
話が逸れたが、D3の時にポスドクをやると決めたなら、当然だがさっさとポスドク先を決めたほうがいい。よく覚えていないけど、D3になった直後の4月ごろにはもうStanfordに行くと決まっていた気がする。直前になって気持ちに切り替わる可能性も考慮して学振PDも出していた。が落ちた。もしかしたら自分には申請書を書く才能がないのかもしれないとは気づき出したのがこの頃である。何はともあれ、選択肢は残せる限り残すのが良いと思われる。特にアメリカの教授なんて研究費が切れたら誰かのクビが切れるサインなので注意。教授が持っている研究費は場合によってはデータベースに上がってくるがそれだけではないので調べるだけでは分からなかったりする。30歳そこそこの教授が何億も持ってたりするので分からないものだ。
海外学振でアメリカの高物価エリアに来ると、大学が定める最低賃金を大きく割るので注意。あまりちゃんと知らないが、Stanfordでは海外学振のみでは雇ってもらえないので、受入教員に給料を補填してもらう必要がある。その教員にとって書類手続きが面倒なのであまり喜ばれないと聞いたこともあるし、そこら辺をよく理解している日本人教員だったり、お金のない教員だったりには歓迎されるとも聞いた。Stanfordだと給与の50%以上がStanfordから払われないと保険に入れず問題になるために、50%を出してくれるケースがあるらしい。その場合は海外学振の2倍の給与がもらえることになるので、ポスドク界隈でもトップクラスの給与になる。一方で海外学振だけの給与でvisiting scholarとして滞在することも可能らしいが詳しくは知らない。
また話が逸れたが、海外大学に知り合いの教授なんていませんって人も多くいると思うので、Stanfordで知り合った他のポスドクがどのように来たかを少し。まず圧倒的に多いのが、教授同士の紹介。身元もはっきりしているし安心なんだと思う。指導教員が世界的に有名な人の場合にオススメ。他には日本企業からvisiting scholarで来ている人も多いがポスドクとも少し違うので割愛。次に考えらえるのがとりあえずメール作戦で、具体的には関連分野の教授に自分のCVを送りつける。東大卒でCNSに論文を出した人とかはこれでいけるのかもしれない。この時にfellowshipとか海外学振とか出すから籍を置かせてくれって伝える作戦もあるのかもしれない。受け入れる教授としては無料で労働力が手に入る訳であってwin-win。fellowshipに通らなかった時のプランBが必須になる。
実はStanfordに行く前に4ヶ月だけ阪大でポスドクをさせてもらった。ちょうど日本の免許証の更新がその年にあったのでそれだけ済ませてから行こうと思ったから。今思うと滅茶苦茶な理由だが後悔はしていない。
渡航に渡り最初にやることはパスポートの期限確認とビザの取得。ポスドクで行く場合は大抵J1ビザだと思われる。Stanford側に書類手続きをしてもらう必要があるので先送りせずに行動すること。他の人のブログを見ていると大学側の事務員が適当な感じだとこの書類準備で苦労するっぽい。有難いことに僕の書類を担当してくれたStanfordの事務員はめちゃくちゃ手際が良かった。有名大の方が海外からのポスドク受入が多くある分だけ慣れているのかもしれない。
日本を出る前に証券口座や銀行口座を閉じる。証券口座に関しては多分全部閉じないといけない。積み立てNISAとかもストップさせられるはず。銀行口座は銀行によるが、住民票を抜く(海外に居住する)場合は建前上は基本的にはどの口座も閉じないといけないはず。大手の銀行だと、月何円とか払って口座を保持する海外在住者向けのプログラムがある。正直クレカ使えなくなると困るし日本円を全部引き出すわけにもいかないので、ぶっちゃけ銀行口座に関しては特に手続きせず渡航しても問題ない。と書いてある記事をどこかでみた気もする。銀行口座がマイナンバーに紐づいている場合は問答無用で口座を閉じた方がよいとも書いてあった気がする。各自で確認してください。クレカは閉じなくてもいいはず。
アメリカの銀行口座はUnion Bankで開いた。UFJを通して日本からアメリカの口座を開けるのでとても便利だったのだが、2023年にその仕組みは無くなったと聞いた。今後渡米する人がどうすればいいかは知りません。アメリカの大学から給料をもらう際にアメリカの銀行の口座がいるはず。最初の数ヶ月ならチェックでもらうこともできると聞いた気がするけど、銀行口座がなければチェックの換金ができないのでチェックの期限が切れるまでに開く必要がある。アメリカのクレカはANA card USAを契約した。ついた後で住所の証明みたいなのをしろと言われるのだが、光熱費の請求書とかでいいらしい。ただし後述の通り、当初光熱費込みの部屋に住んでいたので住所の証明が出来ずに苦労した。結局Stanfordのオフィスにカードを送ってもらう事で解決した。JAL USA cardというのもあるので好きな方を選んだらいいと思う。最寄りのサンフランシスコ国際空港がユナイテッド航空のハブなので、ユナイテッドと提携しているANAを選んだ。
住民票は市役所に行って海外に引っ越すことになったので住民票を抜きたいですと言えば良い。その前に戸籍謄本1~2枚もらっとくと、アメリカの領事館で何か手続きする時とかに役に立つかも。マイナンバー失効の手続きを同時にする。年金の手続きもする。色々と調べた結果、年金は海外にいる間も払うように設定した気がする。国民保険の加入者はその解約手続きも行う。確定申告をするための納税管理人の届出もした。
銀行や奨学金返還(スカラネット)、クレジットカード会社などの住所を実家に設定。郵便の転送設定もオンラインでしておく。郵便の転送設定は1年で切れるが、またオンラインで同じことを繰り返せば半永久的に転送できる。引越しから1年ではない。
車やバイクを持っている人はその処分方法を考えておく。自動車保険も解約(残りの月数ぶん帰ってくる)。
電気、ガス、水道、インターネット、NHKの解約を済ませる。
アパートの退去日までに引っ越しや粗大ゴミ回収の手配を済ませる。引越し業者よりも粗大ゴミ回収業者の方が高い。研究室の片付けも忘れずに。
アメリカの旅行者用SIMカードを購入。2ヶ月分購入しておいて、切れるまでにGoogle Fiを契約した。Google Fiは今のところアメリカでしか(?)契約できないSIMで、設定不要で世界のほとんどの国でネットが使える。例えば日本に帰った時は、softbankの通信網に自動で繋がる。便利だが電波が弱い気がする。これはiPhoneで使っているからで、Google Pixelとかだと爆速だと知り合いとの会話で判明した(要検証)。価格は二人で毎月$100ぐらいなので電波の貧弱さから考えるとやや高い。
アメリカの医療は保険が効いてもなお高いので細かい治療とか済ませておいたほうがよい。常備薬も日本の方が安いので最低限買い揃えておきたい。虫歯に関しては、日本ではセラミックの詰め物が保険対象外だが、アメリカでは保険が効くのでアメリカの歯医者で治療してもらった。ベイエリアの歯医者はどこも(n=3)レベルが高い。
渡航の前に下宿先だけは決めておく必要がある。Stanfordが他国から新規にやってくるポスドク向けに最大4ヶ月まで貸し出してくれるアパートがあってそこに最初の4ヶ月お世話になった。爆速のネットほか光熱費込みで毎月$2400-。築50年だがPalo Altoの真ん中という好立地を考えるとこれでも格安である。当初の予定より一日早い便にしてしまったので初日はAirbnbで一泊$250の部屋を取った。トイレとシャワー供用の部屋でこの値段は狂気だが、Stanfordのまわりでは最安値だった。「びびなび」という掲示板で日本人が部屋を借りる人を募集してたりするのでそれをチェックするのおすすめ。また、多くの大学では海外から来る人がアパートを契約できるように仲介してくれるシステムがあるはず。
空港から宿まではタクシー。UberかLyftを使うのが普通だと思う。Uberは日本でアプリ設定して日本のクレカを登録しておけば(つまり日本で通常使うように設定してあれば)、そのままアメリカでも使える。僕の場合は、SIMのアンロックをしたつもりができておらず、スマホが使えなかったので割高なタクシーを使う羽目になった。運賃は日本のタクシーよりやや高いけれども物価の差を考えるとそこまで割高ではない。UberとLyftはダイナミックプライシングで価格が決まるが、両方を同時に開くと20%ぐらい価格が違ったりする。平均したらどっちも同いような価格帯なので、とりあえず両方開いてその時に安かった方を使う。
アメリカに旅行する際は必ず旅行者保険に入るべきだが、帰りの便が決まっていないと大抵の日本の保険会社は旅行者保険を提供してくれない。後から知ったが、Stanfordのポスドクは着任後1ヶ月ぐらいしてから保険の手続きをするのだが、着任初日まで遡って保険が効いてくれるので、着任日になるまでは病気や怪我に十分気をつけよう、みたいな感じだった気がするがはっきりと覚えていない。
その後SSNを取得した。いつかそのことについて書こうと思っていたがもう何も覚えていない。
San Franciscoがある一体のエリアをベイエリアと呼ぶ。Stanford大学のあるPalo AltoのあたりをSan Franciscoと呼ぶのは間違いらしい。どのベイのエリアだってベイエリアだろうに分りづらいものだ、と僕は思う。
肝心の交通機関だが、公共交通機関に関していうとCaltrainが使いやすい。San FranciscoからSan Joseのちょっと先まである電車で、StanfordにちかいPalo Alto駅も通る。Stanfordで働いていて、かつStanfordに近すぎないところに住んでいる人は、Caltrainが無料になるGo passなるものがもらえる。土日も無料だし、通勤路区間以外も無料で超便利。Caltrainの運賃は意外と高いのでありがたい。Go Passは学生も使えたが、経費削減なのか2022年後半から勤務している人だけになった。San Francisco国際空港からCaltrainは出ていない。Bartと呼ばれる鉄道で乗り継ぐことはできるが大きな荷物を持って空港から移動するなら大人しくUberかLyftを使ったほうが良い。
Palo Alto stationからStanford U.まではStanfordの無料バスが出ている。Line Pというのに乗れば、Ovalと呼ばれるStanfordの中心にノンストップで連れて行ってくれる。他にも7種類ぐらいの路線があるが全部無料。乗る時も降りる時も何かタップしないといけないとかなく、Stanfordに関係ない観光客でも普通に乗れる。乗るときにHiとか降りるときにThank youとかって運転手に言う人が多いので僕も一応言っている。平日の6-19時ぐらいしか運行していないはず。
また、Amtrakを使えばさらに内陸側に行ける。州都であるSacramentoや、UC Berkely、UC Davisなんかに行く人はお世話になることがあるかもしれない。日本で言うところの高速バスみたいなのもあるが、かなり治安悪めなので使うなとアメリカ人の知り合いに言われた。
分からないことがあったり、道に迷った時は、周りの人に聞いたら大体の人が優しく教えてくれる。
公共交通機関以外だと車が圧倒的に便利。次点で、自転車や電動スケボー(コナン君の乗ってるやつ)、電動キックボードとかがある。近場に住んでいる人とか、学生とかは自転車他が多い。Caltrainには自転車と一緒に乗ってよい車両が常にあるので、自転車+Caltrainで通勤する人も多い。自転車他が欲しいなら、SU postとか、facebookのbuy & sellグループとかでよくいらなくなった自転車を売っている人がいるのでそれで掘り出し物を見つけるのが良いかも。
車の免許があるが車がないという人には、Zipcarというアプリで予約するレンタカーのサービスもある。国際免許でも乗れるが、カリフォルニアは最初の1週間だか2週間だかしか国際免許は有効じゃないという謎のルールがある。
これは分野や研究室、そして実験系か否かによって大きく異なるかもしれないが、少なくとも僕の場合は日本にいた頃とほとんど変わっていない。週3で10am-5pmぐらいラボに滞在して、あとは在宅勤務。時間の50%は書類やメール処理に追われる。残りの時間はミーティングや、学生とのディスカッション、自分の研究。正直言ってアメリカのトップクラスの大学の教授を目指していないのであれば、精神的にはかなり楽。少なくとも今いるラボでは、成果(高IF論文)さえ出していれば、厚遇を受けるし、仕事のスタイル等についても何も言われない。ただし、ハラスメントとかには非常に厳しく、他人を不快にさせるような言動をするとすぐに居場所がなくなる。もしかしたらそれが日本の大学との最も大きな違いかもしれない。
Stanfordの今いる部署では、毎週月曜はフリードーナツ、毎週火曜はフリーベーグル&フルーツ、毎週金曜はフリーピザとかあってとても良い。あとラボのグループミーティングでも当たり前のようにご飯が用意される。
ランチは基本大きめのおにぎり一つ持っていって食べている。夕飯の残りで簡単に作れるし、作業しながら食べられるので良い。他のポスドクや学生は、キャンパス内に食べに行く($10-20)か、自分でタッパにパスタやサンドウィッチなどを詰めてくる。
興味があったので、周りの大学院生に話を聞いてみました。人に聞いた話なので必ずしも正しいとは限りません。
学部生とはほぼ関わりがないのでどのようにStanford"大学"にはいるかはよくわかりません。”大学院"に入る話だと思ってください。学部も大学院もほぼ例外なく、Essayを書かされると思います。そこで今までにどんなユニークな人生を歩んできたかを盛り込みます。良い大学に入るために海外でボランティア活動をしたりするのがあたりまえ(で、それは筆記試験よりもさらに親の資金力次第なのではと思う今日この頃)です。Diversityはかなり重要視されていますが、これで日本人が優遇されるということはないそうです。なんならアジア系で括られるので超不利、中国人やインド人との戦いになります。
大学院生は基本的に優秀な印象を受けます。教科書に書いてあるようなことを深く・正確に理解しており、例外なく基礎がしっかりとしています。優等生が多い。なお、教授たちは例外なく群を抜いた頭脳と体力を持つ超人たちで、かつ社交性が高いイメージです。
日本の大学院は多くの場合、修士課程を2年した後にさらに博士課程を3年だと思います。アメリカは最初に修士2年か、博士5年かを選びます。博士の5年間(もしくは課程修了するまで。6年7年はよくある話。逆に飛び級するケースもまれにある。)はずっと給与が出ます。2024年で$50,000/年とかだったはず。ですが、修士は出ませんのでリサーチアシスタントなどのバイトをして凌ぎます。修士2年を終えた後に、博士課程の3年目に入るという選択もあります。この場合3年目から5年目までは給料が出ることになります。逆に博士で入り、給料をもらいながら途中で収支を取って出ていく事も可能だとは聞きました。
大学入試はSATという共通テストみたいなやつを受けます。一人の学生から聞いた話なので情報の正確さに保証はないけど、1600点満点でStanfordクラスに入るにはほぼ満点が必要。その学生は1580点でそれは上位0.05%(0.5%って言ったかも)に相当するけども、それだけとってようやく足切りを突破できるって形。ただ人種でMinorityだったりすると、もう少し低いスコアで通る人もいるそう。また、アメリカの中でもどの州に住んでいるかも影響するそう。大学がある州に住んでいると受かりやすく、これは特に公立に顕著だが、私立でも同様のことが言えるらしい。また、田舎の州に住んでいる方が通りやすい。つまり、例えばCaliforniaに住んでいるなら、MITやHarvardを受けるよりも、StanfordやCaltech, UC系を受けた方が通りやすい。StanfordやMITに学部で受かろうと思ったら、数学オリンピックとかで成果出したりっていう優れた個性のアピール勝負。ボランティアとかはみんなやっているので差別化につながらないとのこと。ここにさらにEssayが入るがこれも攻略法がある程度確立されていて、結局は全てでトップクラスになった上であとは運頼みらしい。Competitiveすぎて制度が崩壊しているとみんな愚痴る。あとは私立だと寄付金だとかレガシー枠(親がStanford出身だと入りやすい)とかある。スポーツ推薦もあるはずだけど詳しくは知らない。
一方で大学院は、少し運要素は減るらしい。また学部に比べるとトップ校に入りやすいとのこと。基本的にどんな研究をしてきたか、どんな研究がしたいか、みたいなところが戦いのポイントらしい。またアメリカの学部生で国際紙に論文を通すような人は稀なので、筆頭著者の論文があれば有利だそう。大学のGPAも影響。日本であれば有名大で4.0を取りましょう。あとは推薦書が重要で、当然Stanford級の大学の教授や、自分の分野で世界的に有名な研究者の推薦書がもらえると強い。でも結局は全てを揃えたとしても運ゲーなので、多めにアプライするものだそう。
運よくポスドク2年目にしてScienceに筆頭&コレスポで論文が出たのでその時のお話。実験自体は博士課程にした内容で、研究自体には4年ぐらい費やした。
まず、NatureかScienceのどちらに投稿するかというのはいつも悩ましい。過去の関連論文がどちらに出ているかを統計的にみて、どちらのジャーナルに好まれるかを判断するのが普通だろうが、NatureとScienceはライバル関係にあるため、例えばインパクトのある論文が近年Natureに出たのであれば、Scienceもそれに関連したり反論したりする論文を載せようとする傾向がある、みたいな話も聞いたのでよくわからない。また、正規のsubmissionはせずに両方のEditorにメールでmanuscriptを投げつけて反応を伺うという荒技もあるらしいが、Editorが知り合いである前提だと思われる。一昔前のアメリカの大御所PIはEditorに電話するとTwitterで聞いたが、そんな話は自分の周りでは聞いたことがない。とても面白いのでもしそんなPIが身近にいたらぜひ教えてほしい。
元々Nature はlettersとaritcles、Scienceはreportsとarticlesという形式があり、aritclesはletters/reportsに比べて少し長めという区分があった。しかし数年前にNatureもScienceも通常の投稿論文はarticlesのみとなった。図が3つだろうが5つだろうが同じフォーマットになった、というだけで、だからなんだというものでもない。
下に、誰かの役に立つことを願って、Scienceにアクセプトされた論文のCover letterを貼っておく。なお、文中のXXXは必ずしも単語ではなく、長い文が入る場合もある。これにStanfordのレターヘッドがつく。僕はいつもA4のpdfで1ページに収まるようにしているけど2枚派の人もいるらしい。過去にNature/Scienceに通している人からかき集めたcover letterを元に最適解を導き出した結果がこれのつもりだけど、それらの中でも結構ばらつきがあったので何が正解かは結局分からず。よく似たスタイルでPRL等に何回か通っているので悪くはないんだと思う。要点を箇条書きにする人もいた。
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April 1, 202X
Dear Editor, (知っているEditorならDr. XXX)
I write this letter to the manuscript entitled “論文タイトル” to be considered for publication as a research article in Science.
Our study measures XXX. Analysis of our images reveals XXX. From careful analysis of the time-progression of these features, we directly quantify how XXX. To our knowledge, our work is the first experimental evidence of XXX.
The broad readership and high-impact of Science is appropriate for our study as it provides the first direct experimental evidence solving a century-old debate: what is the XXX? Understanding how XXX in material is crucial to accurately model, predict, and control the XXX, as XXX. A century of previous studies has contested whether XXX. Our result provides a key foundational experiment to open a field of experiment-theory research establishing material models relevant to engineering, XXX.
We have no conflicts of interest in this work and confirm these results have not been published previously. Thank you for your consideration.
Sincerely yours (on behalf of all co-authors),
Dr. 名前
役職
部署、Stanford University
Email、電話番号
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Stanfordの教授を含めてこの短い文章を校正するのに1時間のミーティングを4回繰り返した。Abstractはもっと時間かけた。
論文本体にfirst evidence!とかground breaking!とか書いてはいけないのは常識だが、それらはcover letterに書いたらいい。
論文本体に関しては、とにかく近年のScience のarictlesを読んで読んで読みまくって、どのような書き筋が好まれるかを理解した。100近くダウンロードして、その中から良さそうな論文を40ぐらい選んで読んだと思う。分野の違いが図に表れていたりして学びがある。NatureとScienceとで書き筋に違いがあるかと言われると、それは誤差の範囲内かと思う(Natureに通る書き方であればScienceにも通る、逆も然り、という意味で)。ただ、NatureはAbstractの部分がNature Summaryに沿っていないとダメだが、Scienceはやや自由度が高いと思われる。また、ReferenceにはNatureやScienceの論文を多めに入れるといいらしい。
たしかSubmitして1週間ちょっとでreviewに回ったと思う。Reviewerは二人で、review commentから推測するに、一人は中国にいるシミュレーションの大御所、もう一人はアメリカのNational labにいる理論の研究者でほぼ間違いないと思われる。論文の内容は完全に実験系だったので実験の専門家がreviewerにいないことには驚いた。Editorが元々近い分野で実験系の研究をしていた人だからかもしれない。Reviewer2人もEditorにもすごく好印象で、review commentsを見た瞬間に通ると確信した。理論のreviewerによるcommentは特に素晴らしく、今まででみてきた中でもトップクラスのクオリティであった。他人の論文をreviewするときは短時間でざっくりとしかしない僕であるが、このようなreviewが(短時間で)できるようになりたいと思う。Submitからacceptまで5ヶ月程度だったと思う。早かった。
論文がアクセプトされてからは、handling editorの勧めもあり、カバーアート(雑誌の表紙の絵)に挑戦することになった。僕はStanford以外にNational labにも所属があり、そこがそういう研究に関する絵を描く専門の人を雇っていたので、その人に頼んで一枚の絵を描いてもらい、Editorにメールで送信。残念ながらカバーアートには選ばれなかったが、その絵は日本とアメリカでのプレスリリースに使わせてもらった。知り合いの教授でNatureやScienceを連発している人は、学生が自分で書くと言っていたので、絵のセンスがあれば普通にイラレか何かで自分で書くのだと思う。
論文発表後に競合しているグループからCommentaryが発表された。CommentaryをarXivにあげるのにScienceには投稿されていないようだったので不思議だったが、後々Scienceのeditorから、もうScienceではtechincal commentsとtechnical responseはもう取り扱わないことにしたと知らされた。ScienceにeLettersとして投稿することもできるが、基本的にはarXivにあげることをお勧めします、とのこと。
まあ偉そうに書いたが結局はよく分からない。ただ、いい研究をすることが小手先のテクニックよりも重要だと実感させられた。EditorもReviewersもプロである。
実はアメリカで妻が出産したのでその時の経験談。Stanfordにある病院で出産することになった。日本の産婦人科医から英文の紹介状を書いてもらったのだが、Stanfordの病院側ではシステム上受け入れられないとのことで、また新規に診断を受けたというスタンスで始まった。アメリカの医療ログはオンライン化されていて、病院同士でそのログを共有するシステムがあるらしく(この表現は正確じゃないかも)、その点で日本のカルテをオンラインシステムに組み込むことができないため、といった主旨の説明を受けた。
まず受診したい産婦人科をネット等で探したら、電話で予約する。病院によってはweb上でフォームを提出する場合や、書類を書いてFAXで送るように指示される場合もある。Stanfordの産婦人科には電話したらFAXで登録書類を送れと言われたが、いざ送ってみたら不達になった(多分番号を聞き間違えた)ので書類を直接病院の受付まで持ち込んだ。このタイミングで既に保険に入っている必要があるはず。
最初のうちは2週間か1ヶ月に一度ぐらいの頻度で通院。そのうちの数回はエコーでお腹の中の赤ちゃんを見る。基本的には何かおかしな点はないかということの確認で、日本と比べるとあっさりしてるかも。ただし患者の意見が強いので、あれをしてほしいこれをしてほしいといえば(i.e., 金を出せば)やってくれるのだと思われる。
出産が近づいてくると通院は1週間に1度の頻度になる。病院も忙しいのかなかなか予約が取れず、3日前になってキャンセルがあったから来てと言われたり、朝の7:30に来るように言われたり。基本平日だしこっちの都合を聞くような余裕は病院側にはなさそうで、旦那さんが企業勤めとかで時間に融通が効かないと結構大変かも。僕たちは毎回二人で病院へ通っていた(妻は車の免許ないので)。周りを見ても6~7割の妊婦さんはパートナーと病院に来ているよう。旦那が一度も病院に顔を見せないなんてあり得ないので注意。
通院のたびに$40ぐらい払った。前回の診療費の一部を保険のco-payとして払う形。あるときにDNAテストを受けたのだが、保険会社のマイページを見るとその検査会社から100 万円近い請求が来ていて焦った。保険会社はその支払いを拒否(deniedと書いてあった)したため、お前が100万払えよみたいな感じで書いてあって、paymentのdueがきてるぜってメールまであった。が、色々調べたところこれは無視でいい模様。そのうち検査会社がより安い価格に直して再度保険会社に請求、これも保険会社にdeniedとされたが$600程度だったので自分でカードで払った。
出産の前にZoomでオリエンテーションを受けたり、有料のパパママ講習見たいのを受ける。僕たちはベイエリアに住む日本人の助産師やラクテーションコンサルタントが日本語で講習をしてくれるサービスがあったのでそれを利用させてもらった。大変有意義だったので何らかしらの講習を受けることをお勧めする。
出産の時は陣痛が頻繁に来るようになったらまず病院に電話。それ専用の電話番号が事前に通達されていた。荷物まとめて1時間後には病院着くよ〜って感じで伝えて自分の車で向かう。この時に乳幼児用のカーシートを忘れると赤ちゃんが退院できなくなる。カリフォルニアではカーシートなしに赤ちゃんを乗車させてはいけないと法律で決まっているので助手席の人が抱っこして乗るとかは禁止。カーシートの有効期限もあるので中古で手に入れる場合は確認すること。
着いたらそのまま出産用の部屋に向かうように指示があり、その晩には無事生まれた。翌日にLabor & DeliveryからMatanityのunitへ移動。より広い部屋に変わった。どちらの部屋にもパートナーが寝るようの簡易ベットがあった。出産前も後も深夜を除きいつでもご飯を注文できるようになっていた。味はまあまあだが、メニューは結構豊富でフルーツとかもあった。エビの乗ったサラダが美味しかった思い出。DoorDashみたいなアプリで頼む宅配も病院の入り口までは来てくれる。パートナーは出入り自由なので、出産翌日の昼には寿司を買ってきた。最近のベイエリアでは金さえ出せば旨い寿司が食えるのでありがたい。
出産後には入れ替わり立ち替わり人がやってきて色々してくれる。基本的には説明聞いてハイハイいうだけ。カリフォルニアだけかもしれないが、病院では通訳をリクエストしたら必ずオンライン通訳サービスが提供されるように法律で決まっている。結構便利。専門用語は難しいのである程度英語ができる人でも通訳をつけて貰った方がいいかも。ジャパニーズインターポーレーターといえば伝わるが、辿々しい英語を喋っていたら向こうのほうから通訳いるか聞いてくれる。
SSN(日本でいうマイナンバー、アメリカでは必須)の申請をするか聞かれるので、よほどの理由がない限りみんなYESと答える。それだけで(書類にサインするぐらいはしたかも)、あとは病院が勝手に申請してくれるので、あとはSSNカードが家まで郵送されてくるのを待つだけ。郵送されるまでに数週間かかると言われたが、実際に生まれてから3週間経った頃に郵便受けに入っていた。
もう一つ重要な書類がBirth Certificate。これは病院が出生をカウンティー(たぶん日本でいう郡のこと。数個の市が集まって一つのカウンティー。)に登録してくれるので、その後に自分で請求しなければならない。オフィスに行っても請求できるらしいが、ネットで完結するのでそっちの方が便利。その過程で書類にサインしてNotarizeしてもらう必要があるのだがこれが面倒。Notarize serviceをしているところに書類を持っていき、Notaryと呼ばれる資格を持った”その人の目の前でサインをし”、Notarizeしてもらう。この書類に嘘偽りはありませんというサインにお墨付きをいただくという仕組み。The UPS storeに行くと(その時Notaryさんがいれば)すぐやってくれる。UPSでは$15だった。Notarizeしてもらった書類はスキャンしてカウンティーの担当宛にメール。ここらへんの手続きは正直カウンティーや州ごとに大きく違うだろうから各々調べてみてください。産まれた3日後に申請を済ませたが2週間経った今のところまだ音沙汰ない。申請直後に申請を受け付けましたが申請の数がとても多いから遅れるかもよ、と定型文のメールはきた。(結局4週間ぐらいできた。)
Birth Certificateと別に、病院発行のverification letterがA4サイズの紙切れ1枚で発行してもらえるのでそれも取っておく。できればスキャンしておきたい。サンフランシスコの領事館に日本宛の出生届を提出する際、Birth Certificateを送る必要があるのだが、Birth Certificateの発行を待つ時間がない場合(3か月以内にパスポートが必要とか)の場合は、このverification letterを代わりに使っても良いとのこと。詳しくは領事館に電話かメールで聞いてみると良い(とても丁寧かつ正確に教えてくれる)。日本の出生届はアメリカにある日本領事館に提出する場合は、戸籍に登録されるまで1月半から2ヶ月ほどかかるので、かなり急ぐ場合は親(自分)の本籍役場まで(つまり日本にある市役所まで)直に郵送する方法もあるとのこと。
追記:日本のパスポートと米国のパスポートの両方を申請した。産まれた日から手元にパスポートが届くまで、日本は2ヶ月、米国は4ヶ月ほどかかった。パスポートの申請方法はいろいろなサイトでまとめられているので助かった。米国のパスポートは早くプロセスしてもらえるように追加料金を払ったのに申請から届くまでに9週間かかった。審査中とかプリント中とかいうステータスはウェブサイトから確認できる。メールアドレスを打ち込んだらステータスが変わった時にメールしてくれるというサービスに申し込んだが申請から手元にパスポートが届くまで一度もメールは来なかったから便利なものである。
海外に引っ越して地味に悩むのは散髪かもしれない。日本では大体30-40日おきに美容院でよくあるツーブロック にしてもらっていた。Stanfordに来て1ヶ月ぐらいしたら髪が伸びてきたが、美容院(床屋)を探すのが億劫でさらに1ヶ月近く放置した結果ボサボサになったので覚悟を決めて初美容院へ。基本はGoogle Mapで口コミを見ながら、自分の勘を信じて選ぶしかない。価格はメンズのカットのみがチップ込みで$60ぐらいが相場だと思われる。なおStanford大学内にある床屋は安いが信じられないぐらい低クオリティだと聞いた。選び方としてベストなのは、周りにいる日本人でまともな髪型をしている人にどの美容院に行っているか聞くことだと思われる。その点に当初気づかなかった僕が選んだのはPalo AltoにあるLike! hair salonというところで、選んだ理由はアジア系のお姉さん(とおばさんの間ぐらいの年齢)がスタイリストだから。結論から言うと想像していたよりもよっぽどよかった。アジア系は頭の骨格がアメリカ人と全然違うので、スタイリストはアジア系にした方がハズレにくいとどこかで聞いたからで、まあその通りかもしれない。日本でいう"髪をすく"という考え方が一部のクラシックなアメリカン床屋にはないと聞いた。僕が行った店は、すいてくれといったらがっつりすいてくれたのでよかった。その後すぐにSan Mateoに引っ越したのでPalo Altoの美容院には結局一度しかいかなかったがまあままオススメできる美容院だと思う。San Mateoには 大勝軒のすぐ近くに日本人のおじさまがやっている美容院があってそこでお世話になっている。そのお店は日本の美容院とほぼ同じシステムとクオリティでとてもオススメ。Google Mapで検索したらすぐ出るはず。
虫歯になりやすい僕にとっては、歯医者選びも重要だった。San Mateoにはこれまた日本人の先生が経営されている歯医者があって、そこにお世話になっている。子供の頃から虫歯だの親知らずだの歯軋りだので随分と歯医者にはお世話になってきた。日本で10 を軽く超える数の歯科医にかかってきたが、San Mateoの歯医者さんはこれまででベストのクオリティと思われる。歯医者は比較しやすいのもあって、アメリカ(もしくはベイエリア)の医療は進んでいるというのを直に体験できる。なお、日本でセラミックの詰め物は保険適用外なので貧乏学生だった僕は複数の銀色をした詰め物が入っていたのだが、アメリカの保険はジルコニアセラミックをカバーしてくれるので現在絶賛付け替え中である。この歯医者では、虫歯を削ったら1時間ぐらいでレーザープリンターでセラミックの詰め物をプリントして詰めてくれる。感動ものである。日本でも大きな歯医者だとあるのだろうか。ちなみに保険が効いても虫歯削る&ジルコニアセラミック入れるで$300~400は取られる(ちなみに大学のおかげで相当良い保険に格安で入れている)。Google検索したところ、日本だと保険適用外で10万はするようなことが書いてあるのでまだ安い方だ。ちなみに定期検診とクリーニングは1年に2回まで保険で無料になるけどこれは保険によるかも。
歯医者に関連して日本とアメリカのオーラルケアグッズだけれども、歯磨き粉はアメリカの方が高品質だと思われる。値段は結構高いけども、虫歯になって歯医者にかかるよりは安いと思ってちょっといいやつ(1本$10とか)を使っている。コストコでまとめ買いすると安い。フロスはたいして変わらないから日本で使い慣れているものを持って行っても、アメリカで買ってもいいと思われる。歯ブラシはアメリカのスーパーで買えるものは日本よりヘッドが大きいので、人によっては使いづらいと感じるかも。そして結構いい値段する。だから僕は日本に行くたびに歯ブラシだけまとめて買ってくる。
アメリカの免許はDMVと言われるところでテスト受けることで取れる。細かい手続きは他の人のブログ等を見れば出てくると思うので割愛するが、まず初めに筆記試験を受けて、通ったらドライビングテスト(driving test)を受けることができる。日本の免許取得と違って高いお金を払って数週間かけてとるわけではないので、楽っちゃ楽。筆記試験は、博士号持ちの皆様が1時間予習していけばまず受かる。ただ予習しないと絶対知らないような問題も多いので必ず予習するべし。ネット上に問題はたくさん落ちているし、日本語で問題をまとめたサイトもあるので問題ないはず。筆記試験そのものも日本語で受けられるときいたが英語でもそんな難しい単語は出てこないので余裕と思われる。DMVのウェブサイトを見ると、オンラインで筆記試験を受けてからDMVのオフィスに書類提出に来いと書いてあったのでそのようにしたのだが、再度現地でテストを受けさせられそうになった。オンラインでもう受かった旨を伝えたところ、受付の人はオンラインで受けられることを知らなかったと言っていたので意味がわからない。オフィスに免許取得に来た人たちはみんな現地で試験を受けていたので、オンラインで受けてくるような変人は僕だけだった模様。オンラインで受けるのはcovid関連でできたシステムのようだが、カンニング防止に自分のパソコンのカメラで目線チェックされながらで結構やりづらかった。現地で受ければよかった。
筆記試験に受かると仮免許がもらえる。仮免許を携帯しており、かつ助手席にカリフォルニアの運転免許証を持つ人が乗っている場合に限り、公道を走ることができる。こうして既に免許を持つ人に教えてもらいながら練習する(親が子に教える)のがアメリカにおける運転の練習方法な訳だが、アメリカに友達でもいないと厳しいシステムに感じる。もちろん他の国で日頃運転していたので練習なんて必要ありませんという人は練習する必要はない。運転にある程度自信がついたら、DMVにて実技試験を受ける。この時に試験を受けるための車(自動車保険加入が必須)は自分で手配する必要があり、かつDMVまでの運転には必ず免許を持った人が同伴しなければならないので結構大変。僕は実は過去にカリフォルニアに留学していた経験があり、ホストファミリーが近くに住んでいるので、その人たちに練習と試験の同伴をお願いした。聞いたところによると、車の提供と試験の同伴を行うことをビジネスにしている会社もあるらしいのでお金を払えばなんとでもなるのかもしれない。もしくはラボメイトに泣きつけばいい。
試験自体は簡単で、日本で日常的に運転していた人なら受かると思う。テストコースはDMVの周りを回るコースが数種類あるようで、都会のDMVならYoutubeにテストコースを解説した動画があったりする。なお、赤信号では基本右折が可能だったり、4-way stopサインでは先についた人が先に渡るシステムだったり、日本と少なからず違うところがあるのでそこら辺もYoutubeでチェックしておくと良い。田舎のDMVの方が簡単だと思われる。また試験官によって難易度が結構違うらしく、運要素も強い。僕は一度で受かったが、2回落ちたとかも聞く。
免許を取ってすぐ、2022年の年末あたりにトヨタカローラを買った。2012年製で20万km近く走っていて$12,000ぐらい。日本でこれだけ走行距離あれば廃車レベルだが、アメリカではハイウェイが発達しているために高速&ノンストップで走行すること、そして湿度が低い車に優しい気候であることもあり、20万km程度ではまだまだ現役である。Toyota runs foreverなんていう人もおり、日本車は長持ちするという認識は誰もが共通で持っているようだ。2022年あたりは半導体不足による新車の供給量低下のため、中古車相場も稀に見る売り手市場であり、10年落ちカローラ150万円は相場より安かった。アメ車やドイツ車も走っているが、中古車市場は耐久性の観点からか日本製と韓国製が熱い模様。日本と比べて、アメリカでの中古車の価格は買う時も売る時も高い。
基本的な購入手段は、車屋に行くか個人売買かである。アメリカでは中古車の個人売買はかなり盛んに行われており、大学で知り合ったポスドクや学生もまずは個人売買でいい車がないかを探すそう。個人売買なんて騙されそうだと思うが、この国では中古車屋も全く信用ならない。個人売買の良い点は比較的安く手に入るところだと思われる。友人のつてなどで信頼できそうな売り手がいるor車を見る目があるのであれば、選択肢として十分にあり得る。StanfordにはSU postという売買できる掲示板があり、そこではStanfordのメールアドレスがないとやり取りできないので、詐欺紛いの取引に遭うことは少ないと聞いた。
車屋のメリットは、DMVに行って手続きをしなくても良い(車屋がしてくれる)点と、比較的ネット検索などがしやすい点かと思われる。欲しい車種が決まっている場合や、予算がある程度ある場合は近くの中古車屋に行ってその場で買えばいい。僕がカローラを買ったときは、まずGoogle Mapで徒歩圏内の中古車やからreviewがまともそうな店をピックアップし、ウェブサイトに乗っている車に目星をつけて試乗をお願いすることからスタートした。1ヶ月ぐらいかけて結構念入りにサーチして、最初に試乗したのがカローラだった。エンジン音がまともだったののバックモニターがあったこと(数ヶ月で使えなくなった)、そして事故歴が皆無だったことが気に入って、試乗したその日のうちに契約してそのまま乗って帰ってきた。新車を買う金銭的余裕があり、事故らない技術があるなら普通にディーラーに行って新車を買えばいい。日本と違い高く売れるので。
事故や点検、補修の経歴はCarfaxというサイトから見ることができる。車屋に行くなら大抵の場合は聞いたらCarfaxを見せてくれると思われる。個人売買の場合は買う前に自分でwebsiteからお金を払って見ておくべき。日本人からなら安心だろうと、個人売買で車を買ったら事故歴があるのに無事故(クリーンタイトル)ですなんて言われて騙されたという話も聞いたので警戒すべし。その人はその車を売った時に初めて事故歴を知り(買取業車に事故歴があると伝えられ)、買取価格が大幅に下がったそう。
職場であるStanfordと住んでいたPalo AltoやSan Mateo周辺おおすすめレストランリスト。$は<30ドル、$$は30-80ドル、$$$は80ドル以上のつもり。
Stanford周辺:
Zareen's Palo Alto ($): カレーやナンの店。安くて美味しいので学生に人気。研究室の学生曰く、The best restaurant in Palo Altoらしい。California Avenueにある。
Terún ($$): イタリアン。ピザがうまい。名前は忘れたがトマトソースベースで中心にチーズの塊が乗ったピザが美味しかった。California Avenueにある。
Jin Sho ($$$): 寿司。Steve Jobsが通ったとか通ってないとか。実は行ったことがないのだが日本人の間でも有名な寿司屋なので載せておく。 California Avenueにある。
The Mandarin ($$): 中華料理。仲良くしていた中国人ポスドクがこの辺りで一番うまいとおすすめしてくれた店。 辛くないし万人受けする中華料理。Menlo Parkにある。
Ramen Nagi ($): 東京発の(?)ラーメン。豚骨系だったと思うがベジタリアンや辛い系のラーメンもあっていつも行列ができている。最近のベイエリアのラーメン屋は日本のチェーンが進出していて、クオリティの高いラーメンが食べられる。Palo Altoにある。
Verve Coffee Roasters ($): カフェ。今まで飲んできたコーヒーの中でもトップクラスに好きな味。Palo Alto駅のそばで待ち合わせなんかにもちょうどいい。
Philz coffee ($): コーヒー屋。ここもかなり美味い。チェーンでそこらじゅうにある。
Salt & Straw ($): アイスクリーム屋。オリーブオイルとかラベンダーとかよく分からないフレーバーが多い。
The Melt ($): ハンバーガー。数あるハンバーガーチェーンの中でも個人的におすすめ。いろいろな人におすすめのハンバーガーチェーンを聞いたりしてみたが、大抵はFive guys、In-n-out、Shake shack、Chick-fil-Aあたりが挙がる気がする。The MeltはStanford shopping centerにあって色々と便利だった。
Blend ($): Stanfordのキャンパス内にある店。米とか野菜とか肉とかを選んでいわゆるボウルを作ってもらう。安くてヘルシーで美味しいがまあまあ並ぶ。
Namaste Indian Cuisine ($$): ラボのネパール人が絶賛していた。僕は行ったことがない。
Drunken Monk ($$$): 誰かが絶賛していた。僕は行ったことがない。
San Mateo周辺:
Taishoken ($): つけ麺とラーメン。大勝軒。高クオリティなのでつけ麺好きなら行くべき。
Backhaus ($): パン屋。olive loafが個人的なおすすめ。クロワッサンも美味しい。
Ox 9 Lanzhou Handpulled Noodles ($): いい感じ。
Pacific Catch ($): そこら中にあるチェーン。 シーフードが食べれて良い。昼なら子供が騒いでもいい雰囲気がある。
Urban Momo ($): ラボのアメリカ人のおすすめ。ライチカレーが美味い。
Noodles & Things ($): 美味しい。中華系の麺。
Sweetgreen ($): サラダボウルの店。結構美味しい。
Uncle Tetsu ($): スフレチーズケーキ。Hillsdale shopping centerにある。大阪のリクローおじさんみたいな感じ。安いからショッピングセンターにいくたび買っている。
Fieldwork Brewing Company ($$): ブリューアリー。Hillsdaleの駅のそば。ビールの種類が豊富で美味しい。新しい建物で屋外のテーブルで飲めるので天気のいい日におすすめ。
他のエリア:
Barbara's Fishtrap ($$): シーフード。クラムチャウダーが有名だと思われる。Flied Oyster Sand whichがおすすめだけど何食べても美味しいと思われる。生牡蠣もある。Half Moon Bayにあるので車がないと行けない。
Hon's Wun-Tun House ($): ワンタン麺など。サンフランシスコの中華街にある。安くて美味しい。
Matcha Cafe Maiko ($): 抹茶ソフトクリーム。サンフランシスコの中華街にある。ちゃんと抹茶ソフトの味がして、たまに行きたくなる味。あんこトッピングもある。
Long Men Bay Hotpot ($$): 火鍋。Fremontにある。中国出身の同僚と行ったがベイエリアで一番の火鍋だそう。
New Port Dim Sum and Chinese Food ($$): 点心。Cupertinoにある。駐車場が狭いし分かりづらい。色々な点心があってけっこう楽しい。近くに鼎泰豐もあるのでそっちも行ってみたい。
Red Hot Chilli Pepper ($$): San CarlosとFremontにある。ラボのインド人が絶賛していた。いつか行ってみたいとは思う。
丸亀うどん($): ショッピングセンターとかによくある。安くて美味い。天ぷらが食べたい時とかにいく。子供連れでも行きやすい。
Black Bear Diner ($): 郊外のハイウェイ沿いにあるアメリカンダイナー。クマがいっぱいいる。なぜか家族のお気に入り。
今後書きたいことリスト for me:
Tax return、スタートアップ風土、食事、家探し&引越し、
家の契約解除:退去の1ヶ月前ほどにテキストでアパートのマネージャーに連絡。契約書に何週間前までに連絡するようにと書いてあるはず。何日の何時に退去確認しにきてくれ、と伝えたらok!とだけ返ってきた。
不用品の処分:持って帰る・売る・捨てるで仕分け。持って帰るは企業の人であれば会社が出してくれるだろうが、大学所属は実費なのが辛いところ。日通で船便をお願いしたところ、送るものを回収する際に不用品があれば全部処分してくれると言う神対応だった。売るのはびびなびやfacebook、大学のフリマサイトなどが一般的かと思われる。
インターネット解約: Astoundを使っていた。解約のためには電話が必要。自動音声の後すぐに繋がった。名前と現在の住所を聞かれて、いつ解約するかと解約したい理由を聞かれた。3分ぐらいで終わる。モデム等は貸し出しなので返却が必要。Astoundの店に持って行くか、Fedexのボックスを送ってくれるのでそれに機器を入れて返せばよい。ただFedexの箱は2週間で期限が切れるらしい。電話をしたのが3週間前だったので2週間前にまた電話してくれとのこと。面倒だったので近くの店を教えてもらって、契約が切れる当日までに店に持って行き返却することに。
電気解約:PG&Eの解約はネットですぐできる。解約する日を指定する以外特に何も聞かれない。また水道やガスは家賃に含まれていてたので特に手続きなし。
クレジット・銀行口座解約:クレカやデビットカードの解約をした。基本電話が必要で面倒。デビットとかは放置してもいい気もするけど、更新されたカードが送られてきたりするし、悪用されないように一応解約。銀行口座の解約は日本に帰国してからしようと思って保留中。US bankは日本からでも解約できるらしいことは確認した。まだやってないけれども、US bankは日本に帰国して新しい住所と電話番号が手に入り次第、日本語カスタマーセンターに電話したらいいらしい。Amexのクレカはチャットから日本の住所と電話番号に変更した。Amexのページでログインした後、住所変更のページに行ったが、ZIPが5桁限定だったので、Webサイト右下のChatからチャットを開始。最初AIにつながるが役に立たない。3回ほどAIにお前ではダメだと伝えていたら、じゃあ人間に繋げるから待っててねときた。カスタマーサポートの人はとても手際良かったがたぶん英語でしか対応してくれない。
Fastrak解約:カリフォルニアで使われているETCカードみたいなやつ。オンラインで解約手続きをしたら、USPSの郵便ポストに機器を袋にも入れずそのまま放り込むだけ。簡単。
車の売却:車を手放す前にFastrakを忘れずに外すこと。売却先に関しては探せばいくらでも先人たちの経験談が見つかると思われるので省略。自分はCarmaxとガリバーUSAで見積もりして高い方に売った。大抵の場合Carmaxの方が高く売れるが、ガリバーUSAは書類手続きや空港への送迎などのサポートがある、って感じらしい。僕の車は、信用できる知り合いの知り合いが買いたいと言ってくれたので個人売買した。ピンクスリップという紙に必要事項を売り手と買い手がそれぞれ記入し、切り離した上半分を売り手が、下半分を買い手が保管する。支払いはZelleで銀行に直接振り込んでもらった。売った後にDMVにNotice of Transfer and Release of Liability (NRL)ってのを提出する必要がある。Chat GPT曰く、これは車を誰々に売ったのでもう所有してませんし税金も払いませんよ、とDMVに伝える作業だそう。カリフォルニアだとオンラインでできる。
帰国の飛行機の3日前に車を売却、2日前に家を退去、そこからホテルで2泊したのちに帰国した。車売却後はUber/Lyftで移動した。