SSDのTrim操作

最近のパソコンはハードディスクドライブ(HDD)に換えて,ソリッドステートドライブsolid state drive, SSD)が使用されるようになった.SSDとは,集積回路を用いた補助記憶装置の一種であり,安価に入手できるようになったことで急速に普及している.私は古いMac mini (2012, late)の内蔵HDDの読み書きが遅く感じるようになったので,2018年4月から外付けSSD(Transcend SSD 2.5インチ 480GB SATA-III対応 6Gb/s)をUSB(3.0)接続して起動し,使用している.これとは別に,32ビットOSと64ビットOSの両方に対応するため.2021年6月から500GB SSDを外付補助記憶装置として使用してきたが,最近500GB SSDの読み書き速度がめっきり遅くなってきた.

これを機に,常時回転しているだけの内蔵HDDを取り外し,500GB SSDを内蔵にして高速化を図った.SSD内蔵化は,種々の記事を参考にすることで,思ったより簡単に実行できた.私の場合,メモリーを外すことなく作業できた.

シリアルケーブルとマザーボードをつなぐコネクターは2個存在し,外側に接続されていた.マザーボードとシリアルケーブルをつなぐコネクタは非常に外れやすい.カバーパネルを固定した後に,宙に浮いたSSDをネジ止めする際.注意が必要である.別記事によると,カバーパネルに SSD を固定して付けたほ方がスムーズと書かれている.

換装後,高速起動を期待して起動ボタンを押すと順調に起動したが,読み書き速度は時間の経過に伴い,徐々に低下し,内蔵化する前と変わらない状態になってしまった.

     速度低下の原因とその対応法については,情報が多すぎてかえって何が有効なのかわかりにくい.いろいろ試したが,結論としてSSDのtrim操作で解決した.

     Trim操作とは,SSDに特有の操作であり,Macの場合は最近コマンド化された操作である.簡単に言えば,HDDではデータは上書きされるが,SSDでは上書きはできないので,データは残ったままである.放置されたデータを取り除かないと,新しいデータは書き込めず,取り除く作業が必要である.それに当たるものがトリム(刈り込み)である.詳細は参考資料をみてほしい.

Trimの実行

[アプリケーション]→[ユーティリティ]→[ターミナル]を起動.

「sudo trimforce enable」と入力してreturnキーを押下.

管理者権限で強制的にTRIM機能をON/OFFするコマンドtrimforceを実行し,有効化enable).

「自己責任」の警告文が表示されるので,「y」を入力してreturnキーを押下.

「再起動の可否」が表示されるので「y」を入力してreturnキーを押下.

しばらくすると自動的に再起動する.待ち時間は整理するデータ量に依存する.

再起動後に,Trimがサポートされているかどうかを確認するには[option]キーを押しながら,画面左上のAppleメニューを選択し[システム情報]の[ハードウェア]でSATAを選択[TRIMサポート]に[はい]が表示されていることを確認する.

以下は改善後の結果である.改善前のデータは1/3程度であった.右図は外付けSSDの速度である.外付けSSDより処理速度は幾分速くなった.内蔵SSDには32ビットOSのMojave,外付けには64ビットOSのCatalinaを入れて使用している.換装により劣化したHDDを除去できたのは精神衛生上よいことではあるが,必ずしもMac miniの換装作業は必要ではない.書き込み速度が1,6倍位になる程度で,外付けSSDでもストレスは感じていない.

内蔵SSDのアクセス速度

外付けSSDのアクセス速度

内蔵されていたHDDを取り外し,外付け状態でアクセスした場合の速度

(2023.1.24)

SSDの特性:ホスト側でファイルを削除した際,ファイルシステムのインデックス上では該当するデータ部分を無効とし,上書きをしても構わないものとみなすが,上書きしても構わないことがSSDに通知されるとは限らない.SSDは,データ部分が上書き可能であることを知らされていないので,そのデータが記録されている場所を再利用することはできない.このため,SSDにデータ書込みを繰り返すと.SSD上にはファイルシステム上では無効となっているデータ(ゴミ)が増えていくことになる.