本学の大学院工学研究科応用化学専攻(博士課程・修士課程)は、応用化学の分野において広い視野にたち精深な学識と技術を身につけた研究者または、高度技術者を養成する目的で設立されたものです。
豊かな現代社会を支える技術は、資源、エネルギー、食糧の大量消費に依存しており、これからは持続可能な社会を実現するための技術転換が必要です。化学は持続可能な社会を実現するために最も期待される分野です。例えば、省エネルギー照明を実現させた発光ダイオード(LED)や表示パネルに欠かせない液晶、有機EL、ポリマーレンズなどの材料、電気自動車を高性能にしたリチウム電池材料について開発の歴史を見ると、化学が技術革新を先導していることは明らかです。さらに化学技術はバイオ分野の発展に欠かせない技術であり生命科学や薬科学との融合が進んでいます。
本専攻は以上の理念に基づき無機、有機、高分子、反応工学、環境・分析化学の各観点から医薬品を含む高性能・高機能物質の分子設計、および合成、それらの物質の高純度分離精製、環境に配慮した生産システムの開発、資源の効率的なリサイクル、および各種物質の機能評価などについて、系統的かつ総合的に教育、研究を行います。
本専攻では未踏の高機能性ナノ材料の創製とその実用化を目的とした研究の発展と、次世代のナノテクノロジー・ナノバイオ分野に貢献する人材の育成を担う教育研究拠点の構築を目指しています。さらに、薬科学分野の教育、研究を充実させるために、2009年度から薬学部の教員が修士課程指導教員として加わり、工学部ナノサイエンス学科教員と共に、工学から薬学まで幅広い分野で活躍する人材育成を実施しています。さらに、グローバル人材の育成に力を入れており、外国人留学生の教育研究環境の充実や協定大学からの交換留学生の受け入れ、また、大学院生の国際学会発表の支援を積極的に推進しています。