第26
「「人新世」のマルクス研究」
斎藤 幸平

第26回 一橋大学哲学・社会思想セミナー

日時 2021年11月26日( 13時15分開始・17時00分終了

場所 Zoomによる開催 参加希望者は担当者(m.igashira[at]r.hit-u.ac.jp)までご連絡ください

講演者 斎藤 幸平(大阪市立大学)

タイトル 「人新世」のマルクス研究

要旨

マルクス研究はソ連崩壊後衰退の一途をたどっており、その影響は一橋大学の社会学研究科や経済学研究科にもはっきりと見受けられる。しかしながら、近年ではラテンアメリカのみならず、欧米でもマルクス主義・社会主義はアカデミアや社会運動として、復興の兆しを見せるようになっている。それは資本主義が良い生活を提供するという約束を破り、格差や気候変動問題を深刻化させているためである。こうした状況を前にして、マルクスがすべてを予言していたと唱える必要も正当性もまったくないが、一方で、ソ連崩壊を理由に、マルクス主義の知見をすべて捨て去るのも一面的である。マルクスの理論の意義と限界を確定するためにも、まずはマルクスをしっかりと理解しなければならないというだけのことである。そこで、MEGAと呼ばれる全集を頼りに、マルクスを「人新世」の時代に継承していくための可能性を考えてみたい。