「中小企業金融に関する研究会の設立趣旨 」
研究会設立趣旨
中小企業に対する円滑な資金供給は、日本のみならず先進国、新興国、途上国に共通する政策課題である。特に近年金融危機、自然災害、パンデミックなど多くのショックが生じており、その影響を受けやすい中小企業金融への注目度は高い。
学術研究においても、中小企業金融は金融における主要な分野の一つとして扱われ、数多くの研究が行われている。この分野は実務と学術研究とが密接に関係しつつ発展する性格を有しており、広範な知見(専門知)と分析のための情報(データ)が欠かせない。
これらの状況を踏まえると、海外研究者によるものも含めて現実に即した中小企業金融に関する学術・政策研究を発表・議論する場や、実務家や政策担当者との定期的な交流を通じて研究者が新たな研究テーマを着想する場を設ける必要性は高い。近年のEBPM重視の潮流やフィンテックの発展は、その必要性を更に高めている。
日本金融学会や地域金融コンファレンスは、これまでこうした機能に近いものを果たしている。しかしながら、頻度が限られていること、個人による研究報告と懇親の場にとどまることが多いことから、学術研究と実務の相互のフィードバックを通じて価値を創出するためには、新たな取り組みが必要である。
そこで今回、この趣旨に賛同する研究者が集まり、中小企業金融の分野の実務家や政策担当者と交流しつつ、政策立案やその評価の基礎となるような学術成果の提供を目指して本研究会を発足することとした。
具体的な研究会の目的や内容は、以下のとおりである。
目的
本研究会の目的は、①中小企業金融に関する研究活動を推進すること、②中小企業金融に関する内外の研究者、実務家、政策担当者間での交流を図り、その中から新たな研究課題を見出すこと、である。
研究会の内容
研究者による中小企業金融もしくは隣接分野に関する研究発表、政策担当者によるレポート・政策等の報告、実務家による活動報告。また、海外での中小企業金融の現状と課題を知るため、海外の研究者、政策担当者、実務家の発表を募るようにする。
発表者・内容については、政策担当者・実務家を含む参加者の意見を聞きつつ、研究者を中心とする幹事が調整・決定する。
想定される発表例:
・大学研究者と民間企業・政府系金融機関が連携している進めている共同研究
・政策金融公庫総合研究所で進めている中小企業金融に関する研究
・日銀の金融システムレポート、中小企業庁の中小企業白書などの報告
・フィンテック企業における業務紹介と研究者との意見交換
幹事
根本忠宣(中央大学)
植杉威一郎(一橋大学)
小倉義明(早稲田大学)
小野有人(中央大学)
鶴田大輔(日本大学)
安田行宏(一橋大学)
岩木宏道(神奈川大学)