少林寺拳法は、1947(昭和22)年に創始者・宗道臣によって自信と勇気と行動力、そして慈悲心と正義感を持った社会で役立つ人を育てる、「人づくり」の道として香川県において創始された日本の武道*です。
自分の心と体を養いながら、他人と共に助けあい、幸せに生きることを説く「教え」と、自身の成長を実感し、パートナーとともに上達を楽しむ「技法」、そしてその教えと技法を遊離させないための「教育システム」が一体となっています。 人間は大きな可能性を秘めています。少林寺拳法はその可能性を信じ、物心ともに平和で豊かな社会を築くために行動できる人を育てることを目指しています。
少林寺拳法に流派はなく、世界中どこへ行っても、同じ教え、同じ技、同じ教育システムです。現在では約40ヵ国に普及し、これまでに約180万人の方々が学んでいます。
*日本の武道―少林寺拳法は、日本武道館が認定する9つの武道の1つです。武道とは次の通り定義されています。「武道は、武士道の伝統に由来する日本で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化で、心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、人間形成の道であり、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の総称を言う。」(武道の定義/日本武道協議会)
「半ばは自己の幸せを、半ばは他人(ひと)の幸せを」 …これが少林寺拳法の理念です。
● 半ばは自己の幸せを ― 可能性を信じ、より良い方向へ自分を育てる(自己確立)
● 半ばは他人(ひと)の幸せを ― 自分の力を他人や社会のために役立てる(自他共楽)
自分の力を他人のために役立てて、喜びや感謝が生まれれば、より大きな喜びが自分のもとに還ってくる。そうして他人とともに幸せに生きる道を目指すものです。
少林寺拳法は、修練を通じて、自信と勇気と行動力を習得し、思いやりと正義感を養うことを目標とし、体系化されています。
少林寺拳法ではそれらの特徴を以下の6つで表現し、修練のあり方、修練する者の行動のあり方、技法運用のあり方、技法の特徴を整理しています。
■拳禅一如(けんぜんいちにょ)
「拳」は肉体を、「禅」は精神を意味します。身体と心は別々のものではなく、互いに影響を及ぼす一体のものです。少林寺拳法では、身体と心を、どちらに偏らせることなく、バランスよく学習することを目指します。
■力愛不二(りきあいふに)
慈悲心や正義感に溢れていても、力がなければ、誰かの役に立ったり、助けたりすることはできません。また、どれだけ力があっても、誇りや信念がなければ、正しい力の使い方はできません。力と愛、理知と慈悲の調和こそ、少林寺拳法の行動規範です。
■守主攻従(しゅしゅこうじゅう)
少林寺拳法の技法は、不正な暴力から身を守るためにあります。そのため、まず守り、それから反撃する技法体系となっています。また、確かな守りの体勢を築くことで、相手の弱点を冷静に見極め、有効な反撃ができると考えています。
■不殺活人(ふさつかつじん)
少林寺拳法の技法は、誰かを傷つけるためのものではなく、自分や他人を守り、生かすためのものです。少林寺拳法の技法は、人の可能性を実感させ、成長の喜びを味わうために修練されます。
■剛柔一体(ごうじゅういったい)
少林寺拳法の技法には、突き・蹴りなどに対し、受け・かわしから当身で反撃する「剛法」と、手首を握る・衣服をつかむなどに対して、抜き・投げ・固めなどで反撃する「柔法」があります。剛法と柔法は、互いの特徴を生かし合い、巧みに組み合わせることによって、効果を倍増させることができます。
■組手主体(くみてしゅたい)
少林寺拳法の修練は、二人一組で行うことを原則とします。これは、相手の行動に適切かつ柔軟に対処できる実戦的な技法を養うためであると同時に、共に協力して上達し、その喜びを分かち合うためです。