国道4号線沿いの五郎沼北東部堤体上にあり、紫波町指定文化財「箱清水石卒都婆群」の板碑1 3基中の1基です。
延文六年供養碑は、高さ210cmの長大なものであり、碑面上半部には薬研彫りで種子が大きく刻まれています。「パイ(薬師如来)」に涅槃点を加えた種子であり、「パク(釈迦如来)」にも似ますが種別が分からない種子です。
偈頌、あるいは願文と推測される文字が紀年銘の左右に二行ず つ、併せて四行刻まれています。不明瞭な部分が多くありますが、「行若ヵ成佛 千偶▢▢ 皆ヵ同ヵ▢▢ 六道迷法ヵ」と判読されます。紀年銘は「延文六年 辛丑 八月四日」と刻まれています。延文は北朝年号で、延文六年は西暦1361年に相当します。 この碑には、土手の決壊を妨ぐため人柱となった娘の悲哀と、後世これを弔う村人の行いが語られている「夜泣き石」の伝説や、 佐々木喜善の「五郎沼から出た古碑」の伝承があります。