信州代数セミナー

セミナー (今後の予定)

日時:2024年 5月 9日 (木) 16:30 - 18:00 

会場:理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)

題目:量子ループ代数の有限次元加群圏における拡大T系の一般化について

講演者:直井 克之 氏 (東京農工大学)

アブストラクト:

量子ループ代数はHopf代数であり, その有限次元加群圏はモノイド圏となる。このモノイド圏構造は, 団代数などとも関連する興味深い研究対象である.

拡大T系(extended T-systems)はこのモノイド圏(のGrothendieck環)における関係式であり, MukhinとYoungにより発見された.

本講演では量子ループ代数の有限次元加群圏に関する基本的事項について述べたのち, Kang-Kashiwara-Kim-Ohにより導入された強双対データ(strong duality data)を用いた, Mukhin-Youngの拡大T系のある種の一般化について紹介する。


セミナー(2024年度の記録) 

セミナー(2023年度の記録) 

会場: 理学部A棟4階 数理・自然情報合同研究室(A401)

題目:一般化団代数と一般化マルコフ方程式

講演者:行田康晃 氏(東大・学振PD)

アブストラクト:

方程式x^2+y^2+z^2=3xyzはMarkov方程式と呼ばれる方程式です。この方程式は正整数解をVieta jumpingという操作で自明解(x,y,z)=(1,1,1)から芋蔓式に全て列挙できるという特徴を持っており、この整数解の組み合わせ構造が整数論をはじめ双曲幾何学、連分数理論、組み合わせ理論などと深い関わりを持っています。近年、このVieta jumpingが団代数理論における変異と呼ばれる操作の特別な場合であることが発見され、団代数理論との関連を調べる研究が進んでいます。この講演では、マルコフ方程式の一般化である


x^2+y^2+z^2+k(xy+yz+zx)=(3+3k)xyz (kは非負整数)


という方程式の正整数解が、古典的なマルコフ方程式(k=0)の場合と同様にあるクラスの(一般化)団代数の変異で記述できることを説明したのち、古典的マルコフ方程式に関連がみられるいくつかの現象の一般化についても紹介します。

 前提知識なしで、学部生の方にも最初から最後までフォローできるような説明を心がけます。

セミナー(2019年度の記録)

題目 : 単純グラフィックマトロイドの強レフシェッツ性について 

講演者 : 矢澤 明喜子 氏(信州大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

マトロイドに付随する環の強レフシェッツ性を考える. これには, マトロイドの基底母関数のヘッセ行列や対数凹性を考えることが有効である. 最近Anari, Oveis Gharan, Vinzantによってマトロイドの基底母関数の対数凹性が示された. 本講演では, 単純グラフィックマトロイド$M$に対しその基底母関数の狭義対数凹性を示すことで, $M$に付随する環の$1$次の強レフシェッツ性を示す. 本研究は長岡高広さんとの共同研究による. 

セミナー(2018年度の記録)

題目 : Representation theory of the N=2 superconformal algebra 

講演者 : 佐藤 僚 氏(東京大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 Virasoro 代数に 2 種類の odd な生成元たちを追加することによって得られる N=2 超共形代数は,2 次元 N=2 超共形場理論と呼ばれる場の量子論の構成において中心的な役割を果たす.(超)共形場理論のアイディアを介することで,N=2 超共形代数の然るべき表現論においてはフュージョン積と呼ばれるテンソル積の存在や指標のモジュラー不変性の存在が期待される.実際に,N=2 超共形代数の表現がユニタリである場合には,フュージョン積の存在は Huang-Milas によって,指標のモジュラー不変性は Ravanini-Yang によって示されている.

N=2 超共形代数の表現は,頂点作用素超代数のコセット(可換子)構成を用いることにより,アフィン Lie 代数 $\widehat{\mathfrak{sl}}(2)$ の表現から構成できることが知られている.本講演では,この構成から誘導される関手が,それぞれの(必ずしもユニタリとは限らない)表現圏の然るべき忠実部分圏の間に圏同値を定めることを概説する.その応用として,N=2 超共形代数の既約最高ウェイトの指標公式や,フュージョン積と指標のモジュラー変換則を関連付ける Verlinde 公式について述べる.


題目 : グラフのHessianとグラフの木の母関数から構成された環のLefschetz性 <br />

講演者 : 矢澤 明喜子 氏(信州大学)  

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 次数付きArtin環$R=\bigoplus_{i=0}^{c}R_{i}$, $R_{c}\neq 0$, を考える. $L\in R_1$が存在して, 任意の$i\in\{0,1,\ldots, \lfloor\frac{c}{2}\rfloor \}$に対し, 掛け算写像$\times L^{c-2i}:R_{i}\to R_{c-i}$が全単射であるとき, 環$R$は強Lefschetz性をもつという. 本講演ではグラフの木の母関数から構成された次数付きArtin Gorenstein環の強Lefschetz性について考える. 主結果として, 頂点数が5以下の完全グラフで定義される環は強Lefschetz性をもつことがわかった.  本講演では証明に用いた種々の定理や手法を例を交えながら紹介をし, 証明の概略を述べる. 

セミナー(2017年度の記録)

題目 : アフィン最高ウェイト構造とDynkin箙型量子アフィンSchur-Weyl双対性 

講演者 : 藤田 遼 氏(京都大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 ADE型のDynkin図形に向きづけを与えて得られる箙Qに付随して2つの重要なモノイダル加群圏が定義される。1つは箙Hecke環(別名KLR代数)の有限次元加群圏であり、もう1つはDynkin図形に付随する単純Lie代数gの量子ループ代数の適当な有限次元加群たちのなすモノイダル部分圏(Hernandez-LeclercのカテゴリーC_Q)である。両者のGrothendiek環はともにgに付随する極大冪単部分群の座標環と同型になる。Kang-柏原-KimはA型の場合におけるアフィンHecke環とsl_nの量子ループ代数の間の量子アフィンSchur-Weyl双対性の構成を一般化する形で両者を結ぶモノイダル完全関手を構成し、それがGrothendiek環のレベルでは同型写像を導く良い対応であることを示した。本講演ではより強くこの関手が圏のレベルでも同値であることを、圏のホモロジー代数的構造(=アフィン最高ウェイト構造)を比較することによって説明する。

セミナー(2016年度の記録)

題目 : Cherednik algebras and quantized Coulomb branches 

講演者 : 小寺 諒介 氏(京都大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 1以上の整数$n$と$l$に対して,$W$を$G(l,1,n)$型の複素鏡映群,すなわち$n$次対称群と位数$l$の巡回群とのwreath積とする.spherical cyclotomic rational Cherednik代数は,商特異点$\mathbb{C}^{2n}/W$の量子化を与える代数としてEtingof-Ginzburgによって導入された.一方,Braverman-Finkelberg-中島は3次元ゲージ理論のクーロン枝とその量子化を数学的に定義し,ジョルダン箙に付随する場合にはクーロン枝が$\mathbb{C}^{2n}/W$となることを示した.こうして$\mathbb{C}^{2n}/W$の量子化の二つの異なる構成が得られたため,その二つの代数を比較せよという問題が生じる.この問題に対する答えとして,中島啓氏との共同研究で,spherical cyclotomic rational Cherednik代数とジョルダン箙に付随する量子クーロン枝との間の明示的な代数の同型を構成し,パラメータの対応を決定した.講演では,同型射を構成するためにCherednik代数側でどのようなことを証明するのかを中心に紹介する.


題目 : 有限次元対称多元環上の片側傾斜複体の両側化について 

講演者 : 小境 雄太 氏(東京理科大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 本講演は,東京理科大学の功刀直子氏との共同研究に基づく。  k を代数的閉体とし,A, B を k 上の有限次元対称多元環とする。自己準同型環 B をもつ A-加群の片側傾斜複体が与えられたとき,A-B-両側加群の両側傾斜複体が存在することが知られている。しかし,これをはっきりした形で書くのは容易ではない。本講演では,片側傾斜複体と両側傾斜複体に関する基本的事実を述べたあと,最近得られた,Brauer樹木多元環上の両側傾斜複体に関する結果を紹介する。


題目 : 台$¥tau$-傾加群の変異構造による多元環の復元について 

講演者 : 加瀬 遼一 氏(奈良女子大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 Adachi-Iyama-Reiten により導入された台$¥tau$-傾加群およびその変異は古典的な傾加群およびその変異の一般化であり, 様々な多元環のクラスでその変異構造が調べられている. 本講演では台$¥tau$-傾加群の変異構造からどの程度元の多元環を復元できるかという問題に関して, 最近得られた結果を具体例をもとに紹介したい. この講演の一部は東京学芸大学の相原琢磨氏との共同研究にもとづく.


題目 : On generalized q-Schur-Weyl duality and Kazhdan-Lusztig bases 

講演者 : 渡邉 英也 氏(東京工業大学)

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 q-Schur-Weyl duality is a remarkable relation between the quantum enveloping algebra and the Hecke algebra of type A. This result was extended to other classical types (duality between a coideal subalgebra of $U_q(\mathfrak{gl}_n)$ and the Hecke algerba of type B, C, and D) and to affine type A by Bao-Wang and Varagnolo. In these settings, Kazhdan-Lusztig bases ("canonical" basis of some modules of the Hecke algebras) are naturally viewed as "canonical" bases for some modules of the quantum enveloping algebras or its coideal subalgebras. In this talk, we further generalize the above results and explain that Kazhdan-Lusztig bases are naturally regarded as "canonical" bases in the sense of representation theory for coideal subalgebras.

セミナー(2015年度の記録)

題目 : 楕円ルート系について 

講演者 : 斉藤 義久 氏(東京大学)

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 半単純リー代数の理論は,``ルート系"と呼ばれる離散的なデータによって完全にコントロールされているといって良い.半単純リー代数の一般化であるKac-Moodyリー代数は,この対応を逆手に取ることで定義される無限次元リー代数である.すなわち,Kac-Moodyリー代数の理論では,『最初に離散的データ(ルート系)を一般化しておき,そこからリー代数を構成する』という方法を取る.これによりKac-Moodyリー代数は,半単純リー代数の理論を特殊ケースとして内包する形で定義され,現在では見事な一般論が構築されている.ただし,Kac-Moodyリー代数は数ある無限次元リー代数の一例に過ぎず,それに属さない重要なクラスも数多く存在するということも,また事実である.

他方,1980年代半ば齋藤恭司は,特異点理論をその動機として楕円ルート系の概念を定義した.これは,古典的意味でのルート系の拡張概念であるが,上に述べたKac-Moodyリー代数の理論に現れるルート系とは拡張の方向性を異にする.さらに,楕円ルート系をそのルート系として持つリー代数として,トロイダルリー代数と呼ばれる無限次元リー代数があり,近年理論物理学とも関連して脚光を浴びつつある.

本講演では,楕円ルート系の定義とその基本的な性質を,Kac-Moodyリー代数に付随するルート系の理論との対比を行いつつ紹介したい.また,時間が許せば最近の進展についても言及する予定である.


題目 : Remarks on quantum unipotent subgroups and the dual canonical basis.   

講演者 : 木村 嘉之 氏(神戸大学)

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 Quantum unipotent subgroup is the quantum coordinate ring of the unipotent subgroup associated with a finite subset which is defined by a Weyl group element of a symmetrizable Kac-Moody Lie algebra. By the works of Geiss-Leclerc-Schroer and Goodearl-Yakimov, it is known that it has a quantum cluster algebra structure. In this talk, I explain about the quantum coordinate ring of the pro-unipotent subgroup associated with a cofinite subset given by a Weyl group element and its compatibility with the dual canonical basis and the multiplicity-free property between the dual canonical basis element in the quantum unipotent subgroups and the one in the opposite. This talk is based on arXiv:1506.07912.


題目 : N=1超対称Virasoro代数のWhittakerベクトルの自由場表示   

講演者 : 柳田 伸太郎 氏(京都大学数理解析研究所)

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

Desrosiers-Lapointe-Mathieuは2012年にAGT予想の超対称版に関連して、N=1超対称Virasoro代数のWhittakerベクトルのJack超対称函数による明示公式を予想した。講演ではN=1超対称Virasoro代数とそのFock表現の復習から始め、Desrosiers-Lapointe-Mathieu達が2000年代から研究している古典的な対称函数やJack対称函数の超対称版について解説する。また従来知られていなかった(と思われる)Jack超対称函数のPieri型公式などについても説明し、Whittakerベクトルの明示公式の証明を概説する。


題目 : Affine Yangian action on the Fock space  

講演者 : 小寺 諒介 氏(京都大学数理解析研究所)

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 Jack対称函数と$\mathbb{C}^2$上の点のHilbertスキームのトーラス固定点のクラスとを対応させることでFock空間とHilbertスキームの同変ホモロジー群が同一視できることはよく知られている。Uglovは、スピン$N$の対称性を持つCalogero-Sutherland模型の研究からJack($\mathfrak{gl}_N$)対称函数と呼ばれるFock空間の基底を導入した。この函数はMacdonald対称函数のある退化とみなすことができ、$N=1$のときはJack対称函数を与える。また幾何学的には、Jack($\mathfrak{gl}_N$)対称函数はアファイン$A_{N-1}$型箙多様体のトーラス固定点のクラスと対応する。この講演では、Uglovの構成したFock空間への$\mathfrak{gl}_N$ヤンギアンの作用と、Varagnoloによる箙多様体の同変ホモロジー群へのアファイン$A_{N-1}$型ヤンギアンの作用が、上で述べた基底の対応と整合的であることを紹介する。


題目 : Representations of quantized function algebras and the transition matrices from Canonical bases to PBW bases    

講演者 : 大矢 浩徳 氏(東京大学)

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

 Let $G$ be a connected simply connected simple complex algebraic group and $\mathfrak{g}$ the corresponding simple Lie algebra. In this talk, I will explain our method for investigating the transition matrices from the canonical basis to the PBW bases of the positive part $U_q(\mathfrak{n}^+)$ of the quantized enveloping algebra $U_q(\mathfrak{g})$. We use the common structure of $U_q(\mathfrak{n}^+)$ and the specific irreducible representations of the quantized function algebra $\mathbb{Q}_q[G]$, which has been pointed out by Kuniba, Okado and Yamada (SIGMA. 9 (2013)).I will mention also the relation between our method and another method.

セミナー(2014年度の記録)

題目 : 代数的誤り訂正符号の復号法について   

講演者 : 中島 規博 氏(豊田工業大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

代数的な誤り訂正符号の理論は無人の惑星探査機の開発とともに発展し、現在ではDVDやハードディスク、二次元バーコードなどに応用されている。本講演では、特にグレブナー基底の理論と離散フーリエ変換を用いたアフィン多様体符号や射影Reed-Muller符号の復号アルゴリズムを解説し、その復号法の計算量と訂正能力を評価する。


題目 :  The cyclic homology of truncated quiver algebras and notes on the Hochschild homology dimension and truncated cycles  

講演者 : 板垣 智洋 氏(東京理科大学)

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

本講演の内容は東京理科大学の眞田克典氏との共同研究に基づいた内容である. Cyclic homologyはConnesによって導入さており,多元環のcyclic homologyは森田同値における不変量であることが知られている. 具体的な多元環のクラスに対しては,そのcyclic homologyの加群構造が研究されている. 例えば, Sköldbergは可換環上のtruncated quiver algebra のHochschild homologyの加群構造を決定し,その結果を用いて,Tailleferが標数0の体上のtruncated quiver algebraのcyclic homologyの加群構造を決定している. 本講演では,一般の体上のtruncated quiver algebraのcyclic homologyのスペクトル系列を用いた計算とその結果について説明する. また,計算過程の一部を利用して得られた結果についても説明したい.


題目 :  Hochschild cohomology of $q$-Schur algebras  

講演者 : 塚本 真由 氏 (大阪市立大学)  

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

$\mathbb{C}$ 上の $q$-Schur algebraを $S$ とする.このとき $S$ に対して $S$ の $n$ 次 Hochschild cohomology group ${\rm HH}^n(S):={\rm Ext}^n_{S^e}(S,S)$ ($n \geq 0$) が定義される. ここで$S^e$ は $S$ の enveloping algebra $S\otimes_{\mathbb{C}} S^{\rmop}$ とする. 本講演ではこの Hochschild cohomology group の次元について述べる.

セミナー(2013年度の記録)

題目 :  量子群の標準基底(概説)

講演者 : 木村 嘉之 氏 (大阪市立大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

量子展開環の標準基底とは、Ringelによる箙の表現の圏を用いた量子展開環の構成(Ringel-Hall代数)を動機付けとして、Lusztigにより幾何学的に導入された量子展開環およびその可積分最高ウェイト表現の基底である。また、柏原により代数的に導入された大域結晶基底と一致することがGrojnowski-Lusztigにより、証明されている。本講演では、Ringelによる構成から、できれば近年の進展まで概説したい。


題目 :  巡回KLR代数におけるKLR冪等元の挙動  

講演者 : 小西 正秀 氏 (名古屋大学)  

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

Khovanov-Lauda-Rouquier代数(KLR代数)にはKLR冪等元という冪等元が存在する。KLR冪等元が全て原始冪等元であるための条件は定義から即座に求められるが、巡回KLR代数上ではその条件は簡単には求まらない。本講演ではこの問題への部分的な解決について述べ、時間が許せばそこから生じる組合せ論的な問題についても触れたい。


題目 : Quiver に付随する UD-代数の導入と、その群論への応用  

講演者 : 澤辺 正人 氏(千葉大学)

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

部分群族と包含関係から成るポセットの順序複体を部分群複体と呼ぶ。部分群複体の情報から元の群がどれだけ分かるか?この研究の一環として Quiver に付随する代数を新たに定義し、その応用を解説する。


題目 : 量子アフィン展開環上のレベル・ゼロextremalウェイト加群の結晶基底のパス模型 

講演者 : 石井 基裕 氏 (筑波大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

量子展開環の可積分最高ウェイト加群の結晶基底は, Lakshmibai--Seshadri (LS) パスと呼ばれる組合せ論的対象を用いて, ルート系の型に依らずに, 統一的に実現されることが知られている. 一方, 可積分最高ウェイト加群の自然な一般化であるextremalウェイト加群の結晶基底に対する組合せ論的実現は, 現在までのところほとんど知られていない. 本講演では, 量子アフィン展開環のextremalウェイト加群の結晶基底に対する, LSパスの類似物を用いた組合せ論的実現を紹介したい. この構成には, semi-infinite旗多様体から来る, アフィンWeyl群上のsemi-infinite Bruhat順序や, 旗多様体の量子コホモロジーの環構造から来る, 量子Bruhatグラフと言った組合せ論的構造が利用される. (東京工業大学の内藤聡氏, 筑波大学の佐垣大輔氏との共同研究.) 


題目 : 曲面の写像類群に付随するJohnson準同型への表現論的アプローチ 

講演者 : 榎本 直也 氏 (奈良女子大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

種数gで境界成分を1つ持つ向き付けられたコンパクトリーマン面\Sigma_{g,1}の写像類群は、1次の整数係数ホモロジー群H_1(\Sigma_{g,1},Z)に自明に作用するトレリ部分群を持つ。Johnson準同型とは、この写像類群やトレリ部分群を「次数付きリー環」によって近似する理論である。本講演では、このJohnson準同型の理論に、GLやSpの表現論を用いてアプローチすることにより得られるいくつかの結果について紹介したい。


題目 : Derived equivalences and Gorenstein dimension 

講演者 : 古賀 寛尚 氏 (筑波大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

For derived equivalent left and right coherent rings,  we show that the triangulated categories of complexes of finite Gorenstein dimension are equivalent. 


題目 : アソシエーションスキームのクリフォード理論について 

講演者 : 宮崎 泰明 氏 (信州大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

アソシエーションスキームの表現論を考える上で,有限群の表現論に対して知られていることが,どのように一般化されるかを考えることは自然なことである.有限群の表現論には群とその正規部分群の表現の間の関係性について述べたクリフォード理論というものがある.この講演では,そのクリフォード理論のアソシエーションスキームへの拡張について紹介したい.

セミナー(2012年度の記録)

題目 : 標準的な基本不変式系  

講演者 : 中島 規博 氏 (北海道大学大学院理学院) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)  

アブストラクト : 

有限鏡映群の不変式環の代数的に独立な生成元は基本不変式と呼ばれている.FlattoやFlatto-Wienerによって,標準的と呼ばれる基本不変式の系が存在することが証明されている.またIwasakiやIwasaki-Kenma-Matsumotoにより,E型を除く有限既約鏡映群の標準的な基本不変式系の明快な表示が与えられている.本講演では標準的な基本不変式系の統一的な表示について講演する.また,本講演は北海道大学の辻栄氏との共同研究に基づく.


題目 : グラスマン空間上のデザイン理論  

講演者 : 栗原 大武 氏 (京都大学数理解析研究所) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

デザインとは、ある空間内の有限個の点集合で全体を「うまく」近似するような性質を持ったものである。「良い」デザインは、対称性が高い、様々な分野の重要なものから得られる、アソシエーションスキームの構造が付随する、など興味深い性質を持つ。これまでにデザイン理論は球面やQ多項式アソシエーションスキームなど多くの空間の上で考えられてきた。本講演では主にグラスマン空間上のデザイン理論を中心として、現在知られていることや、講演者によって得られた結果を説明したい。


題目 :  量子アフィン代数のminimal affinizationについて 

講演者 : 直井 克之 氏 (Kavli IPMU) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

量子アフィン代数はアフィンリー代数の普遍包絡環の量子変形として定義される。量子アフィン代数の有限次元既約加群はChariとPressleyによりDrinfeld多項式を用いて分類がなされたが、個々の既約加群の構造については現在においても多くのことがわかっていない。本講演では量子アフィン代数の有限次元加群に関する基本的事項について解説した後、minimal affinizationと呼ばれる特別な既約加群に関して、指標公式など最近得られた結果について紹介する。


題目 :  Atom spectrum and classification of subcategories 

講演者 : 神田 遼 氏 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

The atom spectrum of an abelian category is a topological space consisting of all the equivalence classes of monoform objects. It can be considered as a generalization of the prime spectrum of a commutative ring.  In the case of a locally noetherian Grothendieck category,  we show that subsets of the atom spectrum classify localizing subcategories and E-stable subcategories closed under direct sums and direct summands. 


題目 :  Chambers and freeness of line arrangements 

講演者 : 阿部 拓郎 氏 (京都大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

A finite set of lines in the real plane is called an arrangement of lines. An arrangement divides the plane into the finite set of connected components, called chambers. If we consider a family of arrangements the number and directions of lines of which are fixed, then we can give a lower bound of the chambers of arrangements belonging to this family. A proof is given by algebraic method, and the relation to the freeness of arrangements will play an important role.  


題目 : Cyclotomic q-Schur 代数の Drinfeld 型の表示について 

講演者 : 和田 堅太郎  氏 (信州大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)  

アブストラクト : 

cyclotomic q-Schur 代数は,Ariki-Koike 代数 (G(r,1,n) 型の複素鏡映群に付随した cyclotomic Hecke 代数) の quasi-hereditary cover の1つである。r=1 であるとき,Ariki-Koike 代数は対称群に付随する Iwahori-Hecke 代数であり,対応する q-Schur 代数は A型の量子群の商代数であることが知られている。A型における古典的な表現論の結果を,G(r,1,n) 型の複素鏡映群に付随する cyclotomic q-Schur 代数の表現論へと拡張したい。

講演では, cyclotomic q-Schur 代数の表現論の基本的な事を説明した後,cyclotomic q-Schur 代数の(加算無限個の)生成元とその間の関係式を与え, 表現論への応用をお話ししたいと思います。 


題目 : Association scheme の表現と Terwilliger algebra の代数構造について 

講演者 : 前川 悠  氏 (信州大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

Association schemeは代数的組合せ論の一つの研究対象である。現在Association schemeの表現と呼ばれているものは、Association scheme から得られる隣接代数の表現であり、そこには組合せ構造の情報が抜け落ちてしまっている。そこで、Terwilliger氏は1992年にTerwilliger algebra (subconstituent algebra)と呼ばれる隣接代数に点の情報を付加したalgebraを研究した。今回の講演では Terwilliger algebraについての基本的事実を述べ、最近の研究状況について紹介する。 

セミナー(2011年度の記録)

題目 : 関手圏と導来次元 

講演者 : 相原 琢磨  氏 (千葉大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)  

アブストラクト : 

三角圏の次元はRouquierによって定義され、近年盛んに研究が行われている。特に、導来圏の次元(導来次元)は環の表現と密接に関係していて、非常に興味深い。講演では、簡単な例と基本的な事実をあげ、最近得られた結果として、関手圏を用いた導来次元の上からの評価を紹介する。 


題目 : ポテンシャル付き箙とAPR傾加群 

講演者 : 伊山 修 氏 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

箙(クイバー)の道多元環の表現論では、BGP(=Bernstein-Gelfand-Ponomarev)鏡映関手が古典的であり、今日これはAPR(=Auslander-Platzeck-Reiten)傾加群として理解されている。箙の道多元環は、大域次元が1であることで特徴づけられるが、より一般の大域次元を持つ多元環に対して、これらの古典理論の類似を追求することは興味深い問題である。講演では、最近得られた結果を紹介したい。


題目 : 分割の数え上げと対称群のカルタン行列 

講演者 : 鈴木 武史 氏 (岡山大学大学院自然科学研究科) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)  

アブストラクト : 

自然数の分割の数え上げや組合せ論に関して, 安藤・山田両氏との共同研究により得られたいくつかの等式を紹介する. これらの等式は, 対称群もしくは岩堀Hecke代数のモジュラー表現論を背景として持ち,  カルタン行列(より正確には, Khovanov-Lauda-Rouquierの意味での次数付きCartan行列)の行列式の表示を2通りのアプローチで計算することで得られる.


題目 : Demazure加群とX=M予想 

講演者 : 直井 克之 氏 (東京大学大学院数理科学研究科) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

量子アフィン代数の有限次元表現であるKirillov-Reshetikhin加群のテンソル積には、フェルミ型公式と呼ばれる分解公式が知られています。これを結晶基底の言葉を用いてq-変形したものが、X=M予想です。今回の講演ではX=M予想がどのような予想であるかを述べた後に、最近得られたDemazure加群を用いたD型の場合に関する証明について概略を述べたいと思います。


題目 : Symmetric space over a finite field and Kato's exotic nilpotent cone 

講演者 : 庄司 俊明 氏 (名古屋大学 多元数理科学研究科) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト : 

Bannai-Kawanaka-Song により、有限体上の対称空間GL<sub>2n</sub>(F<sub>q</sub>)/Sp<sub>2n</sub>(F<sub>q</sub>) に付随した Hecke環 H の既約指標が GL<sub>n</sub>(F<sub>q</sub>) の既約指標と結びつけて詳しく調べられている。 一方、GL<sub>n</sub>(F<sub>q</sub>) の既約指標は Lusztig による指標層の理論によって再構成できる。講演では、BKS 理論に対する Grojonowski-Henderson による指標層を使った幾何的アプローチについて説明し、さらにその幾何的な一般化の試みについて述べる。また Kato によって導入された exotic nilpotent cone との関係についても触れる。


題目 : クリティカルレベルにおけるアフィン W 代数の局所化 

講演者 : 桑原 敏郎 氏 (ソウル大学) 

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427) 

アブストラクト :

アフィン W 代数は半単純 Lie 代数とその冪零元に付随する頂点代数であり、アフィン頂点作用素代数の Drinfeld-Sokolov 簡約として構成される。我々は Slodowy 多様体の arc space 上に ACDO と呼ばれる頂点代数の層を構成し、その (C<sup>*</sup> 不変) 大域切断の成す頂点代数がクリティカルレベルにおけるアフィン W 代数の単純商に一致することを示した。この講演は京大数理研荒川知幸氏および Univ. of South. California Fyodor Malikov 氏との共同研究に基づく。


題目 : Clifford Theory for Association Schemes 

講演者 : 花木 章秀 氏 (信州大学理学部 数理・自然情報科学科)

会場 : 理学部 A 棟 4 階 数理攻究室 (A-427)