2023年8月某日
法公会 総本山
愛知県知立市西町亀池24-2
駐車場あり(無料)
非信徒参拝可能(声かけ必要)
立教1973年(昭和期)
前日に電話をし、見学を申し込んだ。
どっしりとした声の男性が対応してくださった。
「うちは南無妙法蓮華経を唱えます。仏教にはいろいろあるでしょ?おたくは自分の宗派をご存じ?」
と、仏教にはさまざまな宗派があり、この教団が仏教に属することを早速説明してくださった。
当日。
正面の本殿に入る。
60代ぐらいの男性が出てきた。
おそらく電話で話した人だろう。
私が名乗る前からすぐに「◯◯さん?」と分かったようで、玄関横の事務室へ通された。
部長の席のようなところにその男性は座り、私は来客用の席に座らされた。
本殿
そこから40分ほど、どうして来たか、なにを生業としているかといったことから始まり、新宗教に興味を持っている(つまり入信希望ではないという含み)と述べたところから,現在の法公会の話まで及んだ。
話の流れから分かったことだが、前日の電話口の男性はこの方で、また、この教団のトップ「会長」のようだ。
正直言うと、宗教者らしい雰囲気がない。
強いて言えば、企業の相談役ぐらいか。
聞くところ、一般企業に長く勤めていたところ、創始者(初代会長・開祖)である父が亡くなり、息子である自分が急きょ後を継いだとのこと。
本人なりの葛藤があるらしい。
父はカリスマだった、
ただその時代に自分が父の立場だったら病んでいただろう、
企業に勤めたことは自分にとって無駄ではなかった、
この世界(宗教界)の非常識に気づけるから、
と。
現在この教団は高齢化甚だしく、新しい信者が増えない。
財政も厳しいらしい。
父の時代に納骨堂の管理費を取らなかったため、貸したきり、収入源が少ないそうだ。
コロナ前は近所の人たちも撞きにきた除夜の鐘。
もち投げには多くの人たちが集う、地域に開かれたところだったそう。
それがコロナになり、4年も行えていない。
今年も無理だろう、と。
鐘楼堂
昔は時代がイケイケドンドンだった、
自分も努力しているがなかなかねぇ、
とため息をつく会長。
その努力の一つにおそらくホームページのリニューアルがあろう。
それを聞いてみると、
「2年前にリニューアルした、その前は変なホームページだった、しかし普通の人はみないだろう、
と驚き発言。
なかなかの悲観主義者だ。
しかしホームページは金がかかっている。
施設をバーチャルツアーできるmatterportとやらを導入しているし、SDGsとコラボしてなんか契約しているし、こちらが心配になる。
(いらん心配か)
開祖榊原法公先生御尊像
突然「そろそろ中、見にいく?」と会長。
2階に上がると大広間。
木彫りの仏像、立派な格天井と豪華な祭壇。
続いて、狭い廊下の先には「教祖殿」。
巨大な半球状のシャンデリアがぶら下がっている。
会長、ボソッと「大乗教も杉山教祖だっけ?」と。
大丈夫?
この法公会という教団は、愛知県名古屋市の金山駅近くにある「大乗教」という教団からの分派である。
その「大乗教」の教祖は「杉山辰子」で、この法公会も教えのルーツとして杉山辰子を教祖としている。
大乗教は、前身が明治末創設の「仏教感化救済会」である。
これもまた、杉山辰子を教祖としている。
杉山辰子は、仏教(法華経)の精神的療法と医学的療法の組み合わせにより人々の救済を試みた。
戦後、支部の幹部らが杉山辰子の意思を継いだ後継者だとして多くの分派が生まれた。
そのうちの一つが「大乗教会」で、後に宗教法人「大乗教」として文部省に認可される。(※)
(※)「仏教感化救済会」の本流は、日本福祉大学の経営母体である「日蓮宗 法音寺」となる。
法公会の開祖・榊原法公は、この大乗教の教会長を務め、のちに独立し、1973年に法公会を立教。
このとき初代会長に指導したとされる柴垣法隆は、法公会において「師祖(恩師)」とされ、ブロンズ像が境内に建立されている。
恩師柴垣法隆先生御尊像
続いて、「聖仏舎利宝塔」へ。
外観からは金色の五基の相輪が目を引く。
塔内には「納骨堂」があり、天井は寄進者の家紋入り。
屋上はドームとなっており、3枚の窓にはステンドアートが施されている(釈迦正道・初転法輪・涅槃の図)。
屋上に安置された仏舎利殿に、その3枚のステンドグラスから鮮やかな光が降り注ぐ。
(こちらは普段信者さんも上がれないところだそうで、今回特別に案内していただいた。ありがとうございます。)
聖仏舎利宝塔
玄関に戻り、お別れ。
会長が
「毎週日曜に法話があるからよかったら」
と控えめにお誘いを受けた。
「結構いい話するよ」と。
また、玄関には護摩木があったので、
「護摩なさるんですか?こんな夏だとお暑いですよね?」
と聞くと、
「扇風機あるから大丈夫」と…。
そういうキャラなんだ…ね?
くすくす二人で笑ったあと、「でも、願いは叶うんだよね」と、会長は無表情で護摩木を見つめていた。