5年前の大地震で崩落した阿蘇大橋の架替えが終了し,2021年3月7日に新阿蘇大橋として開通式を迎える.大橋につながる国道の交差点整備などを含めた総事業費は約160億円とのことである.以下に地元紙(熊本日日新聞)の記事(3月7日)を示した.
熊本日日新聞 | 03月07日 08:37
2016年4月の熊本地震で崩落した阿蘇大橋の下流で再建が進んでいた国道325号新阿蘇大橋(南阿蘇村)が7日、開通する。震災から約4年11カ月を経て、熊本都市圏と阿蘇地域をつなぐ幹線道路の復旧が全て完了する。車両通行は午後3時から可能になる。
新阿蘇大橋は、崩落した旧橋から約600メートル下流に建設。片側1車線で全長約525メートル。最大高低差は97メートルあり、旧橋にはなかった歩道が、新たに橋下流側に整備された。同村立野と同村河陽を結び、立野交差点で昨年10月に開通した国道57号と接続する。
国交省熊本復興事務所(同村)によると、九州自動車道熊本インターチェンジから南阿蘇村役場までの所要時間は約33分。震災直後から約半分に短縮され、代替路として利用されてきた阿蘇長陽大橋ルートより約2分早くなるという。
新阿蘇大橋は16年11月に着工。24時間態勢での施工などにより、通常より工期を約1年4カ月短縮した。総事業費は約160億円。(上杉勇太)
新大橋
旧大橋
架橋位置は崩落した旧大橋の位置より約600m下流側である.詳細は以下の資料図(国土交通省九州地方整備局熊本復興事務所)を見てほしい.
構造としては,今後も発生する可能性のある地震に対して,被害を最小限にとどめる工夫(単純桁の採用)がなされている.
架替え工事にあたっては,作業を効率化するため,以下のようなな工法が採用され,全体で約1年4ヶ月の工期短縮が実現したたとのことである.
○ 昼夜(24時間)施工の実施
○ クライミング工法の採用 ・高い橋脚において、足場と型枠を 一体化し、作業を効率化
○ インクラインの採用 ・風の影響を受けず大量の資機材運搬を安定化
○ 超大型移動作業車の採用 ・橋桁の張出において、施工ブロック を大型化し、ブロック数を削減
詳細は参考資料の動画を見てほしい.
平成28年4月14日,16日の震度7の大地震は筆者の誕生日を挟んで起こったので忘れることはできない.新阿蘇大橋開通を機に阿蘇復興の全貌を一見したいが,昨年運転免許証を返納したので,阿蘇へのドライブが不可能になった.コロナ禍の状況下,目下ウエブ情報を利用したオンライン阿蘇観光を行っている状態である.
参考資料
国道325号阿蘇大橋ルートが3月7日15時に開通~熊本と南阿蘇方面とのアクセスルートが回復~
【平成28年熊本地震】阿蘇大橋地区斜面対策事業完成・国道57号現道部開通までの軌跡(動画)
旧阿蘇大橋(2009年)の写真は Wikipediaに掲載されているものです.
南阿蘇村ライブカメラ みなみあそ観光局
国道325号阿蘇大橋ルートの新橋梁名称の決定及び展望所の完成(令和3年(2021年)2月2日 熊本県)
阿蘇大橋地区斜面防災対策工事サイト(熊谷組)阿蘇大橋地区の斜面崩落の写真や動画と共に,無人化施工技術を駆使した工事等が掲載されている.
推定活断層を踏まえた阿蘇大橋 の橋梁設計について - 国土交通 ... 損傷制御について説明されている.
(2021.3.5)