第二十三號

特集「道」 2008年9月


表紙の言葉


 今号の特集テーマの「道」といえば、私自身が芸術の世界に踏み込んだ十代後半の頃を思い出します。そこで、頭に渦巻いていた道なき道を手探りで歩き始めたあの頃の思い出を描いてみました。まさしく混迷の世界でした。ああ、懐かしの友よ、何処にありや、です。そして私は八十にして、未だ混迷が続いているのではないでしょうか。しかしその道筋は一本であるのです。



◇作品解説


大学予科に通っていた10代の終わり頃、山口は自ら学内で美術サークルを立ち上げ創作活動を始めました。そして20歳の時(1948年)に学外の美術講習会に参加し、そこで岡本太郎や瀧口修造、北代省三ら、自身の人生を大きく決定づける人物との運命的な出会いを果たします。特に前衛芸術家・岡本太郎は山口にとって非常に大きな存在でした。芸術の道に進むことを決断できず思い悩んでいたある日、岡本から掛けられたある言葉が胸に突き刺さり、芸術家として生きてゆく決心をするのです。以後60年以上、前衛芸術の最前線で活動を続けてきましたが、「八十にして、未だ混迷が続いている」という言葉からは、芸術家として常に進化し続けたいという意欲が伺えます。本作品も『イカロス』シリーズの一つです。