第二十九號

特集「川」 2011年10月


表紙の言葉


 水は低きに向い流れるものと考えていた人々の常識を無視するが如き大津波の発生により、多くの人々を失った三陸の不条理を思っていた矢先に、「川」の特集のデザインを行うことになってしまいました。私の心の中に、この津波の形が生まれてしまいました。



◇作品解説


2011年、東日本大震災の惨劇を目の当たりにした山口は、犠牲者への鎮魂の想いを込め、30数点からなる絵画作品のシリーズ『三陸レクイエム』を制作しました。本作品もそのうちの一つです。同シリーズはオリジナルの絵画作品と映像作品(個々の絵画のイメージを時間軸上で再構成したもの)の二種類が存在しますが、表紙の作品は映像作品には使用されていません。圧倒的なパワーを持つ津波を、大きな塊(円)で表現している点が特徴的です。